第百七十七話 騒動が起きている件
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「お前らいい加減にしろや!!!」
青山が歩いている方の男の肩を掴み、止めにかかった。
「テメェ、誰の肩に触れてんだゴミが!!」
――ドスッ!! ドスッ!!
男は青山の顔面を思いっきりぶん殴り、そして腹部へ膝蹴りを決めた。青山はその場に倒れ込み、呼吸を乱していた。
「千河! 千河! 大丈夫か!!!」
「誰か……誰か助けてください!!」
一方、氷室と風見は守の方へ駆け寄り、助けを呼んでいた。
ただ街ゆく人は皆目を逸らし、我関せずといった感じで歩き去ってしまう。
「喚いてんじゃねぇよ!!」
瑞穂に絡んでいる方の男が、氷室と風見に蹴りを入れている。
「誰か……お願い誰か助けてください!!!」
瑞穂は諦めず、大きな声で助けを呼んでいた。
「お、瑞穂じゃん。何してんの?」
「えっ……」
声の先には東雲がいた。自転車に跨っており、背中には大きな保温バッグを背負っている。絶賛宅配稼働中という状態だった。
「東雲君、お願い! 警察を呼んで!」
「あぁ? なんでマッポ何か呼ぶんだよ? 俺嫌いなんだよ」
東雲はそう言った後、ようやく瑞穂以外の人間が目に映ったのか、一気に殺気を纏った表情に変貌した。
「テメェら、何してんだコラ」
「東雲君、ケンカはダメ! どなたか警察を……」
「黙ってろ瑞穂!! テメェら雑魚狩りなんかしてねぇで俺に来いやカスが!!」
東雲は男二人に叫び込んだ。
「あぁ? 舐めてんのかコラ」
「殺すぞマジで」
男二人が東雲の方を向き、メンチを切る。
ただ、互いに顔を見合わせた瞬間、互いに一瞬口を閉ざした。
「テメェ……凌牙か?」
「赤坂、麻布。相変わらずクソみてぇなことしてんだな」
東雲と相手方の男二人は互いに眼光鋭く相手を睨みつけていた。
最初に口を開いたのは真っ赤な髪色をした高身長の男だった。
「凌牙。噂には聞いていたが、オメェ本当に皇帝から逃げてきたんだな」
「殺すぞ赤坂」
赤坂が東雲を指差し、ゲラゲラと笑っていた。
「どうせ真面目ちゃんの環境に馴染めなかったんだろ? このバカが周りに合わせられる訳ねぇんだから」
もう一人の男、麻布も口を開いた。
一見黒髪が似合う目鼻立ちの整った顔立ちをしているが、耳や鼻にピアスを開けていた。
「イキってんじゃねーよ格下が。誰のおかげで全国行けたと思ってんだコラ」
「ハァ? 地区大準決で勝手にキレて四球連発、即降板したバカのケツフキを誰がしてやったと思ってんだ?」
東雲と赤坂が互いの顔スレスレまで近づいて口論をしていた。
東雲以外の明来メンバーはその中に入ることはできず、ただその修羅場を傍観することしかできなかった。
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