第百七十三話 不破最大の試練 開始な件
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――五月後半。
「っしゃああああ!! みたかコラァ!!」
野球部の部室内でユニフォーム姿の東雲が威勢のいい声をあげていた。
部室にあるテーブルに各々のテスト用紙が置かれていた。どうやら点数争いをしているようだ。
「フハハハハハハ!!! 何だよ千河、現代文三十六点だぁ? お前仮にも日本人の癖に日本語すら怪しいのかよ!!!」
そう言いながら東雲はこれ以上ないドヤ顔で自身のテスト用紙を見せつけた。点数は四十二点だった。
「何だよ対して変わらないだろ! よく四十二点なんかでマウント取れるもんだな!」
「はぁ? 赤点ギリギリのお前と同じ立ち位置な訳ねーだろうが!! 見誤ってんじゃねーよこのバカ野郎が!!」
「アンタら辞めろよ、余りにレベルが低すぎる」
駄覇が見かねて東雲と守の喧嘩を止めに入った。
「んだよテメェ! そんな偉そうに言えんのかよ!!」
案の定東雲が駄覇に突っ掛かり、駄覇のカバンを勝手に奪い、テスト用紙を広げ始めた。
その点数を見た駄覇は無言でプルプルと震えていた。
「数学が九十六点、現代文九十三点、英語は――すごっ満点!!」
興味本位で点数をみた守は、高得点の数々に目を見開いた。
「ハンッ……べ、別に一個下のテストなんて……俺らには関係ねぇ。俺たちの方がテストの難易度が高いんだ」
東雲は謎の年上マウントを振りかざした。
「ちなみに今は高三の範囲まで予習してるすよ。だから別に同じテストやっても俺は負けないっすよ〜」
「このクソが……いちいちムカつく奴だぜ」
駄覇のすまし顔を東雲は歯をぎりぎりならして睨みつけていた。
「そういや今日が不破さんのテスト日じゃないっすか〜?」
駄覇は敵意剥き出しの東雲をスルーして守るへ確認した。
「うん……確かそのはず。パソコン室で受けるんだよね」
「ま、俺らがいても不破さんの邪魔になるだけだし? 俺は大会に向けて準備しよ〜っと」
そう言いながら駄覇は道具をもって部室を後にした。
「そ……そうだね」
「チッ、偉そーに語ってんじゃねーよ」
他の部員も駄覇につられて部室を後にした。
――明来高校パソコン室。
パソコンの前に不破が座っており、その後ろに不破の母と上杉監督が並んで立っている。
「改めて確認しますわ。今回のテストでIQ百九十以上に行かなかった場合……盾はこの学校を去るという事で宜しかったかしら」
「ええ。問題ありません」
不破の母と上杉監督は再度今回の条件を確認した。
――ビビビビビ!!
上杉監督のスマートフォンが勢いよくアラームを鳴らした。
「時間になりました……試験を開始してください」
上杉監督の声を聞き、不破はマウスを動かした。
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