第百六十四話 イメージを再現する件
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六回裏、ノーアウトニ、三塁。点差は二点、明来がリードしている。
ここで追加点が取れれば流れを一気に引き寄せることができる場面である。
守は打席の中でイメージを膨らませていた。
『基本的にはサードに捕らせる。ただインコースの場合はファースト方向もオッケー。まずは絶対にバットに当てること……!』
皇帝のサウスポーは、肩越しにサードランナーをみて、そして足を上げた。
投球モーションと時を同じくしてサードランナー氷室、そしてセカンドランナー駄覇は一斉にスタートを切った。
「スクイズ!!!」
若林はすぐさま大声を上げ、サードの選手とファーストの神崎も一気にホーム一直線にチャージをかけた。
ピッチャーのボールは、咄嗟のウエストボールにしては悪くない、外のボールゾーンへ外されている。
――だが守は、この外のボールゾーンのバントは徹底的に練習していた。
――コツッ……
完全に勢いのなくなったボールは、三塁線に力なく転がっている。
「……ファースト!!」
若林はホームを諦め、一塁でアウトを取るように指示を出した。
サードは丁寧にボールを捌き、送球方向に目線を移した。一塁ベースカバーにはセカンドの選手が入っている。守も一塁まで全力疾走で走っていた。
サードは一塁へ送球した。ボールは一塁へカバーに入っているセカンドの選手に向かって一直線に投げ込まれた。ただ送球の高さは少し低い。
――パシィッ!!
「アウト!!」
ショートバウンドになる送球だったがセカンドの選手は体を伸ばし、上手く捕球した。
――その時だった。
「バックホーム!!!!!」
若林は再び大声をあげた。
セカンドランナー駄覇が三塁ベースを蹴り、全速力でホームベースを狙っていたのである。
セカンドは捕球の為に少し体勢を崩していたが、すぐに送球フォームを作り、ホームへ転送した。
――パァァァン!!
若林の胸元にボールが返ってきた。そして彼はすぐさま駄覇のタッチアウトを狙った。
だが、それを嘲笑うかのように駄覇の左手は、降ろされたミットの下を掻い潜り、ホームベースに触れていた。
「セーフ!!!!」
明来はツーランスクイズで、二点の追加点を叩き出した。
六回裏 途中 ワンナウトランナーなし
皇帝 ゼロ対四 明来
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