第百六十一話 根拠が気になる件
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皇帝の一番打者、若林が右打席に入った。
彼は東雲との二打席は凡退に終わっていた。
だが前の打席、セカンドゴロでも一塁間一髪のアウトとなっており、右打者ながら足がかなり速い。
守としては確実に抑えておきたいバッターである。
――そんな中、駄覇が出したサインは、ど真ん中のストレートだった。
守は何かの見間違いと思い、再サインを要求した。だが直ぐに見間違いではない事が理解できた。
守は思わず首を振ろうとした――が、抑えた。駄覇には何か考えがあるのだろう。彼の野球に対する姿勢は本物だからこそ、守は信じる事にした。
――スパァァン!!!
「ストライク!!!」
若林は、ど真ん中の甘い球を悠々と見逃した。
「おい若林!! ど真ん中振らなくてどうする!!」
「甘い球なら初球から振っていけよ!!」
案の定、皇帝ベンチから想像通りの声がかかった。若林も打席から外し、顔をしかめた。
守は見逃さなかった。その光景を見た駄覇が、またしてもマスク越しに笑っている事を。
二球目はまたしても高め、ボール球のストレートだった。
守は先程同様、強く腕を振り、ボールを投げ込んだ。
――キィィン!!
「ファウルボール!!」
ボールはバックネットに突き刺さった。タイミングはバッチリだが、コースが高めのボール球だったので、前に飛ばされずに済んだ。
駄覇はまたしても皇帝ベンチ、そして若林の様子を確認してからサインを送った。
――スパァァン!!!
「ストライク!! バッターアウト!!!」
守は三球目の低めボール球になるチェンジアップを振らせ、またしても三球三振に討ち取った。
守は自身訳がわからないうちに、スンナリとツーアウトを奪っている事実に頭が追いついてこない様子だった。
――そして。
――キィィン!!
「山神!!」
初球打ちされた打球は、ショート山神の正面のゴロになった。山神はそれを難なく処理し、スリーアウトとなった。
「スゲー!! 千河っちメッチャ調子いいじゃん!!」
青山が守にグラブタッチをした。
「ケッ、調子に乗んなよ」
東雲が不機嫌そうに守を横切った。
「ヒヒッ……ナイスピッチっす。千河さん」
駄覇が満足げに守に話しかけた。
「こちらこそ、ナイスリード」
「てか千河さん変わってるね。俺の無茶なサインに一切首振らないなんて」
「僕の球だと、キャッチャーのリードが無いと通用しないのがわかってるから。駄覇を信じただけだよ」
千河は笑顔で答えた。それが面白かったのか、駄覇はケラケラと笑っていた。
「そっか……信じたらこんなリードにもついてくるのか……面白れぇ」
「なぁ駄覇。お前にはさっきのイニング、何が見えていたんだ」
千河は、駄覇の野球脳が気になって仕方なく、思わず聞いてしまった。それを聞いて、駄覇はまたヒヒヒと笑っていた。
「頼むよ。僕ももっと知りたいんだ。ピッチングの事も、駄覇の事も」
「ヒヒヒ……マジで意識高い系なんすね千河さん。まぁ良いっすよ、教えてあげますわ。打席回るから少しの間だけ」
駄覇は口を開き始めて、リードの根拠を説明し始めたのであった。
六回表 終了
皇帝 ゼロ対ニ 明来
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