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第百五十四話 全ては勝つ為な件

 前回の続きです!

 今回もよろしくお願いします♫


●初めての読者様●

 この度はアクセス頂きありがとうございます!

 少しでも楽しんで頂ける様、一生懸命書いております!


 よろしければ第一話から読んで頂けると、より楽しめると思います。ぜひご覧下さい!

「氷室が盗塁なんて……珍しい。監督からのサインですか?」


 ベンチで守が驚きながら戦況を見守っていた。


「いえいえ、あれは恐らく駄覇君からの指示でしょう」


「駄覇の?」


「ええ。ピッチャー中谷君は今、駄覇君にしか意識が入っていませんでした。足の速くない氷室君でも牽制の事を考えないで大きくリードを取れれば三盗くらいできますよ」



「なるほど……流石だ、駄覇は」


 守は再びグラウンドの方へ目線を戻した。



 グラウンドではマウンド上の中谷がカリカリしていた。



「義経ェ……どれだけ俺をバカにすれば気が済むんだッ!! お前と違って俺がポンコツだからかぁ!!!」


「ちげーよ。勝つ為だ」


 駄覇はハッキリと答えた。



「お前ならそんな小細工をしなくても打てるだろうが!!! 才能がある奴に俺の苦しみがわかるか!!!」



「……才能だけなら、お前の方が数段上だよ」


 駄覇はボソッと呟いた。側にいる若林だけはその声が聞こえていた。


「あああああ!! もうやめろぉぉぉ!!!」


 中谷は奇声をあげながらボールを投じた。今度はアウトコースややボールゾーンだ。



「悪いな」


 ――スカァァァァァン!!!



 駄覇の打球はまたしてもレフトに放たれた。レフト線上に打球が落ちた。



「よし!!」


 氷室が悠々とホームに帰ってきた。



「っしゃぁぁぁ!!!」


 駄覇も悠々と二塁へ到達した。これで二打席連続のタイムリーヒットの大活躍だ。



「ああああ……うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


 中谷は思いっきり髪を掻き乱していた。


 若林は困り果ててベンチに目を向けた。他のピッチャーがアップをはじめたが、まだ交代させるつもりはないようだ。



「中谷! 大丈夫だ、この後を抑えるぞ」


 若林の声は中谷に聞こえているのか、彼にはわからなかった。



「六番、キャッチャー、不破君」


 不破が打席に立っても、変わらず中谷は二塁ランナーの駄覇に意識がいっていた。



 ――その時だった。



 


 ――バコォォォォッ!!!




 

 ――ズサッ……


 ――カラカラカラ……






 中谷の投じたストレートが不破の頭に直撃したのであった。



 四回裏 途中 ランナー 一、二塁


 皇帝 ゼロ対二 明来

 今日もご覧頂きありがとうございました。


 毎週土日に更新しております。


 もし少しでもこの作品が面白ければ、ブックマークして頂けると励みになります。


 高評価やコメントなども、絶賛募集中です……!

 

 初めてご覧頂いた方は、宜しければ第一話からお読み頂けるとより楽しめます!

 

 この作品が、少しでも皆様の楽しみになれますように。

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