第百五十四話 全ては勝つ為な件
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「氷室が盗塁なんて……珍しい。監督からのサインですか?」
ベンチで守が驚きながら戦況を見守っていた。
「いえいえ、あれは恐らく駄覇君からの指示でしょう」
「駄覇の?」
「ええ。ピッチャー中谷君は今、駄覇君にしか意識が入っていませんでした。足の速くない氷室君でも牽制の事を考えないで大きくリードを取れれば三盗くらいできますよ」
「なるほど……流石だ、駄覇は」
守は再びグラウンドの方へ目線を戻した。
グラウンドではマウンド上の中谷がカリカリしていた。
「義経ェ……どれだけ俺をバカにすれば気が済むんだッ!! お前と違って俺がポンコツだからかぁ!!!」
「ちげーよ。勝つ為だ」
駄覇はハッキリと答えた。
「お前ならそんな小細工をしなくても打てるだろうが!!! 才能がある奴に俺の苦しみがわかるか!!!」
「……才能だけなら、お前の方が数段上だよ」
駄覇はボソッと呟いた。側にいる若林だけはその声が聞こえていた。
「あああああ!! もうやめろぉぉぉ!!!」
中谷は奇声をあげながらボールを投じた。今度はアウトコースややボールゾーンだ。
「悪いな」
――スカァァァァァン!!!
駄覇の打球はまたしてもレフトに放たれた。レフト線上に打球が落ちた。
「よし!!」
氷室が悠々とホームに帰ってきた。
「っしゃぁぁぁ!!!」
駄覇も悠々と二塁へ到達した。これで二打席連続のタイムリーヒットの大活躍だ。
「ああああ……うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
中谷は思いっきり髪を掻き乱していた。
若林は困り果ててベンチに目を向けた。他のピッチャーがアップをはじめたが、まだ交代させるつもりはないようだ。
「中谷! 大丈夫だ、この後を抑えるぞ」
若林の声は中谷に聞こえているのか、彼にはわからなかった。
「六番、キャッチャー、不破君」
不破が打席に立っても、変わらず中谷は二塁ランナーの駄覇に意識がいっていた。
――その時だった。
――バコォォォォッ!!!
――ズサッ……
――カラカラカラ……
中谷の投じたストレートが不破の頭に直撃したのであった。
四回裏 途中 ランナー 一、二塁
皇帝 ゼロ対二 明来
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