第百三十八話 心配無用な件
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神崎は東雲の方へ歩み寄り、声をかけた。
「東雲、久しぶりだ。野球部に馴染んでいる様で安心したぞ」
「はぁ? 何でテメーも来てんだよ。去年の太刀川みてーに二軍の子守か?」
東雲は相変わらずぶっきらぼうな態度で応対していた。
「貴様……いくら転校したからと言って先輩を呼び捨てにするとは……帰ったら先輩方に報告せねば」
「はぁ……相変わらずクッソうぜえな。で、何で来てんだって聞いてんだよ。テメーなら楽勝に一軍だろうが」
東雲は頭を掻きながら問いかけた。
「……東雲、俺は二軍選手として足を運んだんだ」
「えっ!? 神崎が二軍!?」
突然、守が話に割って入ってきた。
「うげっ!!? ウゼーのが更に増えた。勝手に割り込んでんじゃねーよ千河ァ!」
「仕方ないだろ、驚いちゃったんだから」
神崎は守と東雲のやりとりを微笑ましく眺めていた。
「あ? テメェ何笑ってんだコラ。舐めてんのか?」
そんな視線を感じた東雲が神崎に突っかかる。
「違うよ……。あの問題児だった東雲が楽しそうに部活をやっているのが嬉しくてな」
神崎は笑顔で……しかし少しだけ寂しさを残しながら頷いていた。
「あ、問題児なのは変わってないよ」
間髪入れずに守が手を横に振り補足する。
「黙れ千河。で、何でお前が二軍なんだ」
神崎は少しの間無言になり、そして口を開いた。
「……右肩を壊した。もうピッチャーはできない」
「……!?」
明来のピッチャー二人は、神崎の突然の告白に言葉を失った。
「以前から肩に違和感はあったんだ。そして甲子園が終わって、すぐ太刀川さんに肩痛が見つかってしまい、それからは医者に通いながらノースローの調整を続けた」
「ただ、どうしても投げたい欲を抑えきれず、痛みを隠しながら秋季大会を投げて……ある時、肩が上がらなくなった」
「……ッ!」
神崎の話は、ピッチャーにとって恐怖体験でしかない。流石の東雲も口出しをすることはできず、黙って話を聞くことしかできなかった。
「だが心配無用だぞ。肩は壊したけど野球はできる。今日まで猛練習してようやく実践復帰だ」
そう言って神崎は左投げ用のファーストミットを二人に見せた。恐らく左投げ転向のために新調したのだろうが、既にボロボロになっていた。彼の練習量は、そのミットを見るだけでも十分に伝わってきた。
「野手デビューの初戦がお前たちで光栄だ。今日はよろしく頼む」
神崎の目の奥はメラメラとやる気に満ちていた。
そして二人は直感していた。同情なんて彼には余計なお世話であり、全力で望まないと足元をすくわれることに。
実際利き手じゃない方で投げるのは難しいんですよね。当然人によりますが……私の場合は体が開きまくってしまいます。
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