第百三十一話 合宿が始まった件
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――合宿初日。
と言うもののいつも通りの学校グラウンドに集合しているので、合宿感はあまり感じられないのが正直なところだ。
ただ、これから一週間でチーム全体の課題を潰していくであろう、大切な期間である。
初日はまず荷物を宿舎のロビーに預け、部屋で着替えをした。
守は実家から通うが、着替え及び休憩用で一部屋確保してもらっている。
これから周りに女子だとバレるリスクは限界まで下げられる。
ただ主に東雲が守だけ個室を用意されていることに異議を唱えていた。
「集合してください」
グラウンドに全員集まったところで上杉監督か招集をかけた。
「さて、今日から合宿をスタートさせるわけですが……」
「実は何にも企画していない完全ノープランです。どうしましょう?」
そう言って上杉監督はテヘペロポーズを見せつけた。
「ハァァァッ!? ッざけんなよテメェ!!!」
東雲がいの一番で上杉監督に食ってかかった。
「何のための合宿だよ!! これなら海辺を走ったり少し海水浴でチーム内のコミュニケーションを取ったり、あと温泉で疲労回復させた方が良かっただろうがクソ野郎が!!!」
普段の東雲からは決して出てこない単語が出てきて、守は思わず笑ってしまった。
「東雲……今コミュニケーションっていった? エイプリルフールは先月だけど」
「黙れ千河!! お前はチームワークの重要性をこれっぽっちも分かってねぇんだな!!」
東雲がそれっぽい理屈を並べて怒り狂っている。未だに海と温泉のない合宿に不満があるのだろう。
「監督、それなら私が先導していいですか?」
突然、瑞穂が挙手して名乗り出た。
「実は以前から選手、内外野ごとなどで課題点をメモしてきました。メニューもある程度考えてあるので、まずそれをこなすのはどうでしょう?」
「おぉー!」
一同、瑞穂に拍手を送った。
「ふふ……流石白川さんですね」
上杉監督は笑みを浮かべた。
「この合宿は今何をすべきか……それを選手とマネージャーだけで考えて取り組んでみてください!! これは自主性を育む合宿です!!」
ドンっ!!
上杉監督は内心、決まった……と思っていた。
「要するにアンタは何も考えてなかっただけってことっすね」
駄覇はあからさまに溜息をついた。
「ま……まぁまずは白川の指示を聞いて、実践していこう、やるぞみんな!!!」
「お……おう!!」
声がけした氷室も、応答した他の皆も内心不安になりながら、合宿はスタートしたのであった。
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