第百三十話 合宿先を発表する件
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「じゃあお待ちかねの、合宿先を発表します!!」
「ゴクリ……」
守は固唾を呑んだ。
「学校内です」
一同静まり返った。
「へっ?」
「学校?」
一同、意外な合宿先だった為、唖然としていた。
「はい、本校には合宿用の宿舎があります。そこで一週間合宿をしましょう」
「えぇ……これじゃあ今までと変わらない系じゃーん……」
青山が明らかにテンションを下げていた。
「切り替えろよ青山。ガキじゃねーんだから」
東雲が青山に厳しい一言を放った。先程まで前傾姿勢で合宿先を問いただしていた男の変貌に皆驚いていた。
「え……だって東雲っち一分前までメチャはしゃいでたのに……」
一同同意の頷きをした。
「はしゃいでねーよ、バカにすんな! どこだって野球はできるんだよ! それに……」
『瑞穂と一つ屋根の下での宿泊……風呂イベ、部屋侵入、その他諸々……これが合宿のお楽しみだろ』
東雲は破廉恥極まりない思考をしながら、チラッと瑞穂の顔を見つめた。
「それに……なに?」
守が東雲のいやらしい目線に感づいたようだった。
「んんっ……何でもねーよ!」
東雲が焦り口調で返答した。
「あっ……ちなみに白川さんと千河くんは自宅からの参加になりますので」
「はぁっ!?」
また東雲がデカい声をあげた。今日の彼は普段以上に元気いっぱいなようだ。
「な……なんで二人は家から通うんだよ!! ふ、不平等じゃねーか、ふざけんな!!!」
「白川さんは女性ですからね、学校ないとはいえ万が一があったら大変です。千河くんは家庭の事情で、基本的に泊まりの練習はなしを条件に入部してますので」
「ぐぬぬ……!」
「では練習を始めます! まずはアップをしてください!」
東雲の下心は虚しく崩れ去り、練習開始となった。
「学校内で万が一があったら大変なのでね、片思いの東雲くん」
すれ違い様に守はニヤニヤした表情で東雲に囁いた。
東雲は膝から崩れ落ちた。
その日は一日中、彼の動きにキレがなかったのは言うまでもないだろう。
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