表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/567

90話

夜分一話です

「山と雪が深い!」


「うー」


「表現的に並べるのはおかしいのか?」


「ワン」


「愚痴も言いたくなるわ」



一面雪しか広がってないわ。いや、木は生えてるし斜面だけど。飽きることはないけど疲れる。後寒い。

迷子になることはないのは救いだ。じいちゃんの家にピッちゃんとバトちゃんとねっさんを置いてきたからみんなの魔力を追える。帰るときはまっすぐ帰れる。



「コロちゃん変わった匂いとかある?」


「ワン」(フルフル


「やっぱり雪でわからんよなぁ」


「ぴー!」


「魔力の反応はあるんだな?」


「ぴ」


「むしろない方がよかったぞおい」



ないならないで俺がわざわざ探すこともなくなったわけだし。一応魔力の後を辿ってはいるんだけど、どんどん山奥に入るし。



「てか魔力の跡が薄すぎてなぁ」


「うー」


「ぴ?」


「お前は感知しやすいってだけだろう?俺からしたらまるでわからん」



なんというか、薄いって表現が的確な状態だ。だいぶ前に魔力をある程度持った存在がここら辺を通った感じか?

狸たちじゃない。魔力が宿ってるというか、誰かの魔力の名残が移ってる感じだった。



「俺はすでに面倒な予感がしてるぞー」


「う?」


「ワン?」


「考えてもみろ。冬の間にダンジョンみたいな洞窟に入りそうな動物が山には結構いるだろう」


「・・・ワフー」



熊とか猪とか。洞窟だと思って入り込んでもおかしくない。もしくは、冬眠用に穴を掘ってたら見つけたって話もありそうだ。



「でもそうすると狸たちの説明がつかないけど」


「・・・う」


「・・・それ一大事じゃね?」


「うー」


「ああ、そういやうちにもいたわ・・・」



ニホリの危惧したこと。ダンジョンからモンスターが出てきたってことだ。

普通のダンジョンモンスターたちは自分たちの階層から動くことはないが、極稀に、しーちゃんのような例外がいる。

そういう子は、普通に外に出てくるそうだ。



「狸のモンスターが出てきて、あいつらに何かしたと?」


「う」


「否定しきれないのが嫌だなぁ」


「ワン!」


「!!何かあったか」


「ワンワン!!」


「あっちだな。戻ってこい!!」



周囲を探していたみんなを呼び戻してコロちゃんが何かを見つけた方向に向かう。


大体10分ほど山を登ったり下ったりしていると、明らかに違和感の出ている洞穴にたどり着いた。



「うわぁビンゴ」


「うー・・・」


「グゥゥゥ」


「しかもなんだこの魔力・・・」



うちで一番の魔力を持つふーちゃんの3・・・いや、下手すりゃもっと上の魔力を感じる。それも、明らかにその魔力の持ち主はここにはいないのだ。

つまり、この場所に残っている魔力の名残でそれほどの量ということになる。



「こりゃあ、手に負えないかな」


「う」


「ワン」


「クゥ」


「すらっぴ。周辺にはいないな?」


「ぴー」(ブルブル


「よし、帰ろう。場所がわかれば・・・!?」



帰ろうとしたその瞬間



「なんや。もう帰るんか?」


「・・・は?」


「ちと遊んでったらええのに」



俺のすぐ後ろ。そこに誰かがいた。俺も、コロちゃんも誰も気がつかなかった?

それに・・・



「なん・・・だよ・・・これ」


「あら?ああ、ごめんなぁ」



比べることすら嫌になるほどの巨大な魔力。ふーちゃんの数倍とかそういうレベルじゃない。俺たち全員の魔力を足しても全く届かないほどの差。

声の高さから女性。おそらく本人は全く意識していないのだろう。無意識で漏れ出る魔力だけで話すことも難しくなる。



「これで話せるやろ」


「・・・ハァッ・・・ハァッ」


「ああ、堪忍なぁ。あんまり人とおうたことなくてなぁ」


「クゥ・・・」


「かわええ子やないの。みんなよー可愛がられとる」


「・・・あなたは」


「お、もう話せるんか。もうちょい休んでてもええで?」


「そうできたらよかったけどな」



敵かどうかわからない存在が目の前にいるのだ。敵対したら全くかなわないだろうが、それでも全く抵抗しないわけにもいかない。上手くやれば、みんなは逃がせるかもしれない。


そんな俺の心境を見抜いているのか、クスクス笑いながら俺から離れていく。

そして、初めて相手の姿を確認できた。

ショートカットだ。それに巫女服っぽい物を着ている。

だが、問題はそこじゃない。しっぽだ。狸のしっぽがある。



「・・・・・・・」


「ふふ。見とれてしもたか?」


「・・・・・・・」


「・・・あら?」


「・・・・ない」


「ん?」


「そうじゃないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」



なんでもかんでもしっぽ生やしたり耳つけりゃいいってもんじゃないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!


















「すまん、取り乱した」


「せ、せやなー」


「がっつりひかれてるんですけど」



いや違うんだ。

俺は別にケモ耳少女とかを否定はしない。ただし、それがつけ耳とかだったらぶん殴るけど。



「本物や!」


「うっそだろお前」


「見てみぃ」


「んー」



ひょいっとしっぽを向けられたので根元を観察。

・・・んー。確かに生えてる・・・?



「何かでくっつけてるとか」


「疑いすぎやろ!」


「いやだってな・・・」



動物好きの俺の前にそんなこびこっびの状態で出てくるとか喧嘩売ってるとしか。



「いや、自分とは初対面やろ」


「それもそうか」


「どんだけや・・・」



可愛いなぁとは思うけど、なんかこう・・・あるんだよ。



「うー?」


「知り合い?」


「う」


「会ったことはないなぁ。そもそも、うちはここの出身やし」


「ここって・・・ダンジョン?」


「そやで」


「じゃあ・・・」


「そそ。あんさんらが言うところのモンスターってやっちゃな」



うえぇ・・・マジか。完全に人型・・・それも格上かよ。

今までも人型はいたけど、ゴブリンとかコボルトとかで人間って感じじゃなかった。

でも目の前にいるこの存在は明らかに人間・・・コスプレしてる人間だ。



「まだ言うか」


「心まで読めるのか」


「うちには余裕やな」


「スキルってことか?」


「そやでー。そもそも、うちらにできることは全部スキルやしな」


「へぇ・・・」



サラマンダーの耐熱性能とかもスキルってことか?



「あれはただの性質やな」


「ややこしいな」


「そんなもんやで?人生」



なんで俺はこすp・・・狸人間に人生を説かれているんだ。


ちょっと特殊な子が追加。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ