84話
「そんなわけで水の中でなー」
「・・・?」
「ああ、海はしょっぱいんだよ。本当はな」
ユニちゃんと一緒にお散歩中。といっても庭をグルグルしてるだけだけど。
もっと広い所があればそこで走らせてあげられるんだけど、流石にな。うちの庭でもユニちゃんが走り回るにはちと小さい。
あと、ダンジョンの海はしょっぱくないのに浮力がある。謎である。水は持ち帰ったから近いうちに結果もでるだろう。
「ダンジョンの中でもいいんだけど、それはもうちょい大人になってからな」
「・・・!!」
「ダメダメ。せめてスキルがあればいいけど」
一人でモンスターに会っても、俺たちが来るまでの時間稼ぎができるようなスキルがベスト。
それがないなら流石にちょっとなぁ。出来るだけ早めに用意してあげたいんだけど、そもそも俺たちの戦力強化のために集めるのも苦労している中では厳しいか?
それに、ユニちゃんはその生まれからまだ外で本気で走ったことがないんだ。走らせてあげたいなぁ。
「どっかの広場貸切るか?」
研究所の研究の一環ってことで予算出来ないだろうか。それも親父に聴いてみるか。
「・・・」(クイクイ
「おう!悪い。歩くか」
「でもうまくいけば早いのはここだよな」
「ワン!」
「ちゅ!」
「おおう。やる気満々だな」
21層にちゃんと来るのは久しぶりか。最近は通り過ぎるだけだったし。
ここに来た理由は簡単だ。俺たちの経験値稼ぎだ。
何故ここか。ここの敵は魔法を使う鷹と狼人間の二種。この二種は気を付ければそんなに強敵でもない。
鷹は自分の魔法を潰されないように攻撃すればいいし、狼人間は数が厄介だが、増加を超える殲滅力があれば問題なし。
俺は鷹は余裕だし、コロちゃんとねっさんも狼人間は余裕。これじゃ全く稼げないな。
「まぁそれは戦場を分けた場合でな」
「グゥゥゥ」
「「「「ちゅちゅちゅ」」」」」
「いやーさっそく囲まれてるね。上にも・・・五匹かな?」
上からは様々な属性な魔法。地上では速くて数の多い敵。まとめて相手にすれば十分脅威だ。
対して、俺たちは一人と二匹。俺、ねっさん、コロちゃん。残りの子がいるとどれだけいてもあっという間に終わっちゃうから意味ないんだ。
他の子はワイバーンと戦ってることだろう。
大丈夫なのか?俺も最初はそう思った。何なら俺たちの前にいる50体近い狼人間を倒すより早く終わるから心配とかもうないよね。
まぁ俺は縛りアリだけどね。
簡単に言うと、魔法なし、殴るのもできるだけダメ。これは『硬質化』の使用頻度を下げるためと剣の練習だな。
ちょくちょくボス宝箱から出てくるでの最近はちょっとだけストックがある。2本だけだけど。
前まで使ってたのは青龍刀ってやつだったが、今はもっと大きい物だ。
「何気に初陣か、これ?」
「ちゅ!」
「いやぁ。危なくなったら殴るからなぁ」
所謂クレイモアってやつだな。デカい重い。もちろんこれも未知の金属でできているそうだが、そこはいい。鉱物の話とかわかんない。
ともかく、今までの物より丈夫なのだ。手に入れたのは一月くらい前だけど、機会がなくて埃かぶってた。だって魔法か殴りが速いんだもの。
「よっし。とりあえず食らえやぁぁぁぁぁ!!!!」
「ワン!?」
「ちゅ!?」
初手、クレイモア投げ。
ちなみに、この技はコロちゃん達に怒られたのでもうやりません。
最初にクレイモア投げちゃったし、素手は基本禁止してるから今の俺に攻撃手段はない。
そうなるとまずは剣取らなきゃな。そこまでは・・・
「ガウ!!!」
「ちゅー!」
「「「「「「「「ちゅちゅちゅちゅちゅ」」」」」」」」」
風ごと切る音と連続で来る爆発音。
俺の周囲ではそんな音しかない。モンスターたちの移動音とか、鷹の魔法の音とか一切しない。
まず地上のモンスターは移動とかしてる暇なし。コロちゃんとねっさんの殲滅力が早くてそうなる。モンスターも戸惑うのだ。
鷹は狙いが定められずに魔法が使えてないのだ。ねっさんはなんか大量にいるし、コロちゃんは早くて影も追えない。そうすると残りは俺になるが・・・
「ほーれ」
「ガァ!?」
魔法使用を感知したらあらかじめ拾っておいた石を投げて妨害。奴らは狼人間どもを倒し終わったら魔法でまとめてやる。
でも5匹って少ないから倍くらいになってくんねぇかな。これだとすぐに剣まで行けちゃう?
「ガルルル」
「おお。一匹残ってるぞー」
「ワン!」
「ちゅ?」
「ああ、そういう気づかい」
俺の運動の為に一匹だけ進路上の敵を残したらしい。いや、俺攻撃手段ない。
「と思ったら大間違いだ!!」
「ギャン!?」
殴りかかってきたからギリギリで避けて懐に入り、毛皮を無理やり掴んで足を払っての一本背負い。
殴るのはダメだけど、投げるのはダメとは言ってない。
「とどめは・・・」
「・・・」(ガク
「いらんか」
まぁ狼人間結構早いし、速度が乗った状態の敵を、勢いを殺さずに俺の筋力でつけた勢いと共に地面に叩きつければそら耐えられんわな。
「そんなこんなで到着・・・うわぁ」
モンスターって倒すと消えるんだが、すぐには消えずに少しの間は残る。
要するに、俺が投げた剣に刺さった連中が残っててな?3体くらいが残っちゃってる。
「流石にびっくり。俺そんなにすごい?」
「ワフ」
「あら?終わり?」
「ちゅ~」
「ええ、また強くなってない?ここもダメか」
一応前までは50体くらいいると倒しきる前に増えるんだけどなぁ。今回は早く終わりすぎて増えなかったか。
一回全滅させると先に進むまで出てこないが、戦闘を続けているとどこからともかく来てくれるのだ。これ楽。
鷹?いやなぁ
「鷹だけならこうなるわな」
「「「「「グエ」」」」」
最近できた新魔法、巨大な手で押しつぶす魔法。小さい魔法だと相殺されるので大きくすればいいのだ理論。
手は10メートルくらい。これだけのサイズなら、不意打ちすれば鷹だろうと避けられない。
これを二つ生み出して拍手の感じでバチーンって感じだ。巨大だから鷹の使ってくる魔法だと有利属性でも相殺されないし。ある種、究極の力押しだ。
「いや、マジで鷹だけだとだめだな。てかこれもう一人でもいけちゃう?」
「ワフ・・・」
「ちゅ・・・」
「そもそも狼人間だけならソロで出来たか。これ数倒すのならトレントの方がいいぞ」
徒歩ゼロ秒のダンジョンと所沢まで行かなきゃいけないのとでは面倒さが違うんだが。
それでも一回に倒せる数はトレントのほうが圧倒的に上だな。ボスさえ倒さなければいつまでも倒せるし。
「魔法なしならワンチャン?」
「ワン?」
「ちゅ!」
「あれは流石にみんないないと危ないか」
後ろにふーちゃん一人いれば問題なさそう。
「ぴー!」
「きー!」
「めぇ」
「ぴ!」
「うー!」
「クゥ!」
「あ、終わったか」
大体同じ・・・本当にここもダメになったか。いい加減23層行くか?
蛇がいっぱいだとやばそうだけど、ここでやっててもしゃーないしな。
「ちなみに宝箱は?」
「う!」
「ええ・・・」
最近、俺がボス部屋入らないで戦わせた方がスキルスクロールが手に入るんだよな・・・。
逆に俺がいると魔石多めになる。一応魔石を集めるのも仕事のうちだからそれでもいいんだけど、あれは藤岡さんたちもやっててくれるから俺はそこまで急がなくてもいい。
まぁ、それとこれは別で、俺がいると出ないから運がないみたいじゃん。ニホリの『幸運』があるのに俺がいると出ないんだよ。むかつく。
まったく関係ないが、藤岡さん達は16層まで来ている。バン君もスキル手に入れたって話だが。
「じゃあ22層で羊に挨拶して帰るか」
「めぇ」
「なーに。俺も役得があるからな」
奴らはなぜか俺に集まってくるからな。適当に食べ物あげて、俺はその間に毛に埋もれると。
完璧だな(自画自賛)




