8話
「今日はねっさんのレベル上げにするか?」
「ちゅ?」
「それともまた下に行く?」
「ちゅちゅ?」
どちらにするか。
今はねっさんを抱えながら寝転んでいる。昼飯後の食休みだ。
安全策で行くならねっさんのレベル上げしながら探索。発見を優先するならさっさと次に行くなんだが。
どちらにしてもメリットはある。
レベル上げなら第一に安全。戦力強化も確実に見込める。ローリスクローリターン。
次の階層に行く場合は第一に面白い。何かすればスキルスクロールが手に入ることもあるかもしれない。それは前者もそうなんだが。
何か新発見で戦力強化、その他諸々ができる可能性もある。ハイリスクハイリターン。
「どうしましょうかねぇ」
「ちゅ~」「ぴ~」
気が付いたら俺の上の住人は増えている。
「そういえば蛇発見したけど、テイムしてくる~?」
「好きにしていいわよ~」
「わふ~」
コロちゃんは母さんになでられてのんびりしている。バトちゃんどこ行った?
「ふーむ、少し大きくなったか?」
「ききっ!」
なんか測られてる。・・・第三の案を思いついた。
「このままのんびり」
「ちゅ!」「ぴっ!」
「だめか~」
どうも体は動かしたいらしい。反対されてしまった。ならあと30分・・・
「ぴぴぴぴぴ!」
「あー、わかったから。準備は始めるから」
人のお腹の上ではねるんじゃありません。
「水よーし、念のための非常食よーし、鉈よーし、服着てーる、懐中電灯よーし、OK?」
「ついでに地図作ってきてくれるか?」
「地図?」
「簡単なのでいいから、このノートに書いてきてくれ。あと呼ばれたから出かけてくる。夕飯は自分で用意してくれ」
「あいやー、了解」
「気をつけろよー」
「行ってきまーす」
「ぴー!」「きー!」「ちゅー!」
「あらもう行くの?コロちゃんも頑張ってね」
「ワン!」
「急遽頼まれたので地図作りです。全部のルートを行くので道案内よろしく」
「ワン!」
一層は楽だなぁ。今更コウモリは怖くないし。ねっさんもいい具合に倒せてる。さすがに他の子たちが手伝ってるけど。
何か遠距離攻撃の手段あげるか?まぁ、スキルスクロール次第かな。
コロちゃんにもなんか追加したいな。どんなのがいいだろうか。
「ちなみにご希望は?」
「ワン?」
「そうか~」
使えそうなら何でもいいそうだ。流石我が家のエース。大物だ。
「やっぱり普通に回るより時間かかるな」
紙に書いてるし、当然っちゃ当然か。一時間と30分いかないくらいか?
後は・・・扉の方か。
「あら、やっぱり一日一回なのね」
「くぅーん」
「残念だな。数は多いからいい練習になるのに」
「ぴ!」
「早く行こうって?それもそうか」
「チカレタ」
「ワフッ」
「ぴ~」
「二層もしゅーりょー。どんどんぱちぱち~」
「ちゅー!」「きー!」
終わった・・・二層広い・・・。この調子だとこの下ってもっと広いのか。嫌だな。
最短ルートならそこまでかからないけど。
「そういや、コロちゃんや。どうやって道の判断してるの?」
「ワフ?ウー、ワン!」
「帰りは俺たちのにおいで行きはなんとなく違和感のあるにおいのあるところ?」
「ワン!」
「違和感ってなんだ?」
犬・・・じゃねぇ。オオカミが判断できる違和感のある匂いってなんだ。
「ほかのみんなはわかるの?」
「ぴ?」「きき?」「ちゅ!」
「ねっさんのみか・・・嗅覚の問題か?」
考えても仕方ないか?専門的な知識があるわけじゃないし。
これからは・・・とりあえず三層行くか。まだ扉見つけてないし。
「夕飯の準備を考えると、後・・・2時間くらいか?」
それだけあればどうにかなるだろ。いきますか。
「蛇をつかんでドーンッ!」
「ジャッ!」
そこそこの頻度で襲われるのでいい経験値稼ぎになるな。
俺が魔法なしで蛇と戦う場合。『硬質化』で体の強化をした後、蛇が噛みついてくるのを待つ。噛みついてきたら避けて掴む。避けれない場合は腕をかませる。『硬質化』の影響で相手の歯は刺さらない。その隙に鉈を振り下ろして滅多打ちにして終了。
ぶっちゃけ力押しだ。
コロちゃんは・・・まぁ、変わらない。高速移動して爪で攻撃。これでだいたい沈む。時々噛んでるけど食べないように捨てさせてるけど。
すらっぴ、ばとちゃん、ねっさんは全員で戦っている。ねっさんの分身でかく乱、隙を作ってすらっぴとばとちゃんの魔法でとどめ。安定しているから心配いらない。
ただすらっぴの魔法の形が変わってるような。球状じゃなくて尖ってね?今まではウォーターボールだったのに今はウォーターランス的な?
まぁ一番魔法を使ってるのはすらっぴだから変化が早いのは当然か。俺ももっと使うべきか?
「お、扉はっけーん」
1時間で見つかったな。どうも昼に行った道以外のところを歩いてくれたらしい。さすがコロちゃん。
「どうする?戦う?」
「ワン!」「ぴ!」「きき!」「ちゅ!」
「やる気満々じゃないか」
やる気があるのはいいんだけど、油断とかないよな?
「ないよね?」
「ワン!」
「左様か」
若干怒られた。狩りに油断など持ち込まないそうだ。なんかオオカミっぽいことを・・・オオカミだもんな。
「イクゾー」
デッデデデデ
効果音もセルフなのがむなしい。