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79話

間違えて一回投稿したけど見た人はいないはず・・・

「うわー育ってるー」


「・・・ワン?」


「クゥ?」


「いいや、あの時の子供であってる・・・と思う」



魔力反応は間違いなくあの子だ。もうちょっと前の事になるが、今までにないことだったのでよく覚えている。



「だけど明らか子供じゃないねぇ!」


「・・・?」


「わぁお無口」



先生の困りごと、それは梅子の子供の成長速度にあった。

親父にはすでに伝えてあるようで、明日には見に来るとのことだ。

でも先に俺が来たから、いろいろ説明しておこうかと、というわけだ。



「急に成長したのはここ二、三日です」


「それまでは普通に?」


「ええ、特に他の事も変わりなく。本当に急にでした」



普通に一日の業務を終え、飼育員たちも帰宅。次の朝に見たら大きくなってたと。



「本気で理由不明な感じですか・・・」


「そもそもどうしてこの子が生まれたかも不明ですが・・・」


「わからないことだらけですよね」



この子に関してはニホリもよくわかっていないのだ。

生まれた理由も、急な成長の理由もわかっていない。


ここにきてこんな話をするのもあれなんだが、この子が本当にダンジョンのモンスターなのかも不明なのだ。

前にこの子に会った時、俺はこの子をモンスターの赤ちゃんだと思った。どこかの階層にこいう子がいるのだろうと。

ただよく考えてみるとそうじゃないかもしれないのだ。

ニホリの知識はダンジョンの50層までの知識になる。そのニホリが知らないのだ。

ダンジョンがどこまであるのかいまだかけらも分からないが、いきなり50より下のモンスターがいきなり生まれるか?

確かに、何らかの奇跡や偶然が重なった結果って可能性もある。


ただ、やはり普通に考えてもおかしいのだ。

そこで考えた新しい可能性。



「この子はモンスターではない?」


「ええ。もしかしてって話ですけど」



梅子が妊娠して状態で、何か魔力に触れる機会があった。そういった何かしらの外的要因で、普通の馬の子供が魔力に適応して生まれてきた。

かなりぶっ飛んでる発想だとは思うが、あながち間違っている話でもないと思うのだ。



「その根拠は?」


「俺とか母さんとかです」



俺はレベルを得て魔力を手に入れたタイプ。そして母さんは魔石の魔力を吸収して少ないが魔力を得たタイプだ。

母さんに自覚はないし、魔力を感じることもほとんどできないが、俺とか姉ちゃんのレベルなら母さんの魔力を感知することができる。

今はその話は関係ないが。



「まぁ俺の方の話も可能性的には薄いんですけど」



なにせレベルを手に入れて魔力を使えるようになったのではこの子との状況が違いすぎる。


今問題なのは、レベルがないことだ。



「魔石・・・ていうか魔力全体に言えることなんですけど。生き物にすぐに根付くんですよ」


「根付く?」


「正確に言うと、簡単に魔力を貯められる器が体に出来るんです」



母さんがいい例だ。たかだか魔石一つで微量だが魔力を宿すようになった。

これが生き物の体の働きによって魔力が宿るのか、魔力が体に働きかけることで宿るようになるのか。

そこは不明な部分だが、どちらにせよ、魔力は非常に生き物に宿りやすい。



「生まれてくる前の子供ならなおさら影響受けそうですし」


「なるほど・・・」



恐らく梅子に魔力がないのは、この子がすべて吸い取ったからだろう。


それにしても無口な子だ。動物はもうちょいおしゃべりなのが多いんだ。特に馬は。

なのにこの子は話さない。こちらの言っていることは理解できているのか、問いかければ反応はある。

まるで赤ちゃんのままみたいだ。生まれた日から考えてもこれはおかしい。



「これも魔力の影響かな」


「うー?」


「・・・」


「言ってることはわかるな?」


「・・・」(コクコク


「知能的には問題ない。むしろ梅子より理解できてるくらいか?」



こちらに目線を合わせてうなずき返してきた。ちゃんと俺を認識している証拠だ。



「梅子は元気か?」


「・・・」(コク


「ちゃんと面倒みてもらってるか?」


「・・・」(コク



うーむ。完全に理解してる。

もしかして、喋らないんじゃない?。喋り方がわからない?



「話せるか?」


「・・・?」


「そっちか・・・」


「うー?」


「声が出せないのか?」


「・・・」(フルフル


「声は出せる。言葉?もしかして・・・」



この子は人間の言葉を話そうとしている?

いや、違う。人間の言葉しかわからないんじゃないか?



「・・・梅子がなんて言ってるのかわからない?」


「・・・」(コク


「そうか・・・」



馬の子供が親の言葉がわからない。そんな話は聞いたことないし、会ったことがない。

なんでわからなくなった?


思い当たる節は一つ・・・




「俺のせいか・・・」


「う?」


「?」


「多分。俺の魔力だ・・・」



俺は魔力を大きくひとくくりで呼んでいるが、正確には少し違う。

魔力にはそれぞれ違いがある。


人間には人間の特徴があるし、狼には狼の特徴がある。とは言うものの、大した違いではないんだけどな。

精々が色が違う程度で、その差もかなり少ない。生き物に宿る魔力は大抵は同じなのだ。


だがそれでも違いはある。

生まれたばかりの赤ん坊に対して、俺の魔力はレベルも上がり、生物として比べるものがいないレベルにまで来ている。

その大きな力の差が、この子の魔力に甚大な影響を与えたとしたら?その影響で人間に近くなっていたらどうなる?



「笑えねぇなこれは・・・」


「う・・・」


「??」



俺のせいだ。俺がこの子の人生を曲げた。

この子の急成長も、俺が関係してないとは言い難い。

魔力は未だ不明な点が多い。否定しきれないのだ。



「ごめんな」


「・・・」


「ごめんなぁ」



俺は謝ることしかできなかった。

一度こういう風に育ってしまったこの子に対して俺は何もしてやれない。

すぐに梅子の言葉をわかるようにするのはできない。時間をかければできるかもしれない。だが、それができるようになるのは一体いつだ。

その間にもこの子は成長し続けるだろう。子供の期間はあっという間に過ぎていく。その時間は二度と戻らない。


こうやって、撫でながらは謝ることしかできない。




そんな時












「ヒン!」


「オボッ!?」



急に横からの一撃。

ダメージが入るほどではないが、急な衝撃に吹き飛ばされる。

コロちゃん達は反応しなかったのか?

そう思いながら俺を吹き飛ばした相手を見る。




すると、コロちゃん達が反応しなかった理由がわかった。

俺を吹き飛ばしたのは、梅子だった。

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