78話
今日は二話。明日21時に二話で水木はお休みです
「もっふもふーもっふもふー。今日も今日とてもっふもふー」
「うー」
「るー」
本当はしーちゃんかコロちゃんかふーちゃんの誰かをモフりながら歌うんだけど今日はなぜか誰も寄ってくれなかったのでニホリとピッちゃんと並んで歌ってみたり。
特に深い意味はない。
「あ、そうだ。ふーりんは?」
「るる!」
「にゃう」
「おお。いたいた・・・うん?」
「みゅ?」
「気のせいか・・・?」
一瞬普通の猫の鳴き声が聞こえたと思ったんだが・・・。
空耳だったか?
でもかなりいい線までは来ているな。これもピッちゃんの日頃の勉強のおかげってわけだ。
「そういえば、新しいの呼ぶときはまた一から考えるのか?」
「ぴー?」
「う!」
「相変わらず把握できてないのね」
これはもはやスキルうんぬんというよりはピッちゃんの性格によるものなのではと思い始めてきたな。
感覚派とでもいうべきか、ピッちゃん以外だとすらっぴがそうなんだが、自分のスキルに関していまいち詳しくないというか、感覚的に把握してるから説明できないが正しいのか?
まぁそんなわけで聞いてもいまいち要領を得ないのだ。いろいろ研究所にレポート送ってる身としては面倒な物の難易度が上がって大変なことになっている。
ちなみに残りの子だとしーちゃんコロちゃんはバリバリの理論派。自分に出来ることを完全に理解したうえで使っている。説明も分かりやすい。
他の子は半々ってところかなぁ。ニホリに関してはいろいろ知ってる分例外だし。
「そういや、お前みたいなやつって見かけないけどそこんとこどうなの?」
「???」
「そんなわかんないみたいな顔せんでも」
口で伝えてきなさいよ・・・。
まぁわからないのか。随分前の事になるが、うちに来た当初に50層までの知識があると言っていた。
これはニホリが特別なのはわかっているんだが、ニホリのみってことはないだろう。似たような存在はいるはずなのだ。
ニホリは元々ボスの報酬で貰った人形が実態を持った存在。
なら、ボスの宝箱、あるいはタイム報酬何かが怪しいか?。
「でも最近上の階層だと禄なものもらえないしなぁ」
そうなのだ、俺たちのレベルが上がるにつれ、上の階層のボスを早く倒してもいい物がもらえなくなっている。
一層とか二層なんかはもはや何ももらえないくらいだし。
最近、スキルスクロールが出ないとよく思うが、明らかにこれが原因だろう。
戦った者のレベルによっていい物がでる確率が下がるのか、そもそも出なくなるのか。そのあたりはわからないが同じようなものだろう。
でないんだもん。
そうなると下の階層になるんだが、下に行くにつれ安定して倒せないのだ。
いや、これは正確ではない。倒すことは間違いなくできる。ただ、早く倒せないのだ。
恐らくだが、今の俺が良い物狙いでボスに挑むなら適正階層は15より下。下手したら20より下でないとだめかもしれない。
最近突破した階層だから記憶にも新しいが、20層より下のボスの厄介さは飛びぬけている。
ワイバーンは飛んでる分攻撃当てるのが難しい、巨大蛇は速さと耐久が厄介。炎骸骨は簡単と言えば簡単だが、とどめを刺すのには全体を消し飛ばす必要がある分無駄に時間を食う。
まぁともかく。面倒なのだ。
「こればっかりはゆっくりやらなきゃダメかねぇ」
「う!」
「そうだな、死ぬのに比べたら停滞なんて安い安い」
ニホリの言うことももっともだ。じっくり準備をして、確実に進む。
俺の好奇心的には下の階層は気になるが、それで負けて下に行けなくなるなんてアホなことはしたくないしな。
将来的に見ても、今の状態は決して悪い物ではないのだ。
「まぁ外野はうるさいですけど」
「るる~」
俺の進みが止まるってことは、まぁそういうわけで。とやかくうるさい連中はいるものだ。
全く気にしないけどね。
「あ、そういえば。梅子の子はどうなったか」
「うー?」
「そうそう。結局連絡ないし、大丈夫なんだろうけどさ」
便りがないのがなんとやら。
問題があれば連絡は来るだろうし、ないってことは何もないんだろう。
だが、普通の馬である梅子から生まれた魔力持ち。推定ユニコーンだ。もうちょっと気にしておくべきかね。
親父にも報告したけど、先生なら安心できるとか言って基本何もしてないみたいだし。
いや、先生から報告とかはいってるか。流石にそれくらいしてるよな・・・してるよな?
「・・・今度一回行くか」
「うー!」
「るー!」
「まぁ行くのは裏口からだから動物園って感じしないと思うぞ?」
「う!」
「るる!」
「ああ、むしろ近くで見れる。てか遊べるか」
俺の影響か知らんが、普通にあそこの連中と遊び始めるしなこの子ら。おかげでコロちゃんもハラハラして見守ってる・・・。あ、次回からはしーちゃんもいるから少しはマシになるか。
「そもそも、しーちゃんは連れていけるのだろうか」
しーちゃんのサイズは人間とほぼ同じ。俺の身長が今は180近いからそれくらいだ。
基本、うちの子たちが外出する時は車で移動することになる。俺に取ってはゆるキャラでペットなんだが、普通の人から見たらモンスターに違いない。
だから移動は車になる。ニホリとか、ぱっと見でわからない子なら歩いてもいいんだけどな。電車はちょっとマズイかな。
「うし。とりあえず行くか」
「う?」
「梅子のとこ」
「う!?」
思い当たったが吉日ってやつですよ。
「本当に来てやったぜ!」
「うー」
「ぴ」(コゴエ
「ワン!」
「クゥ」
「めぇ」
「まさかお前がそうなれるとは・・・」
現在のしーちゃんは普通の羊と変わらない見た目をしている。大きいくらいだ。
本来はまんまる毛玉なわけだが、スキル『増毛』、恐ろしや・・・。
「触っててわかってたけどやっぱりこうなってるのか」
「めぇぇ」(ブルブル
「ああ寒いのか・・・」
普段と比べたら薄着・・・薄毛?だから寒いらしい。ブルブル震えている。
「君達に決めた!」
「うー!」
「クゥ!」
「る?」
「ピッちゃんはだめ」
何のために俺の服の胸ポケットに入れてると思っているのだ。
とりあえず、ニホリ達はしーちゃんに密着することで少しはマシになるだろう。中に入れば暖かいしな。
「それまでそれで我慢しておくれ」
「めぇ」
「うー!」
「クゥゥン」
「お前らのほうが喜んでるのか」
俺も引っ付きたい。
「おや、新しい子だね」
「あ、こんにちわ先生」
「うー!」
「こんにちわ。ニホリちゃんも元気そうだね」
「うー」(ブルブル
しーちゃんの毛の中からズボッと顔を出してご挨拶。そして寒くて震えてすぐに毛の中に。
こら、挨拶くらいちゃんとしなさい。
「はは。寒いからね。仕方ないよ。中は暖かいからね」
「ん?先に梅子のところ行こうかと思ってたんですけど」
「ああ、それなんだけどね・・・」
先生の顔を困った顔になった。
何かあったようだが・・・。




