75話
昼一話。夜二話で。今日は大丈夫なはず・・・
「鹿を飼うとかどう」
「クゥ?」
「やはりか・・・」
ネックはせんべい・・・
「いやそこじゃないだろ」
「おおう」
「クゥ」
「ワン!」
「おかえり。どうだった?」
「特に異常なしだな。まぁ身体能力はまた上がってたが」
「それはレベル的な話だしなぁ」
研究所によく遊びに行っている・・・そう思ってませんか。
残念。健康診断でした。半分身体測定なんだけどね。
「他の子は?」
「ん?。そのまま遊んでるみたいだが」
「あらま」
帰って来いと言うたのに。帰り支度は出来てるんだぞ。
「いや、実はちょっと付き合ってほしくてな」
「うん?」
「そのために遊んでいいと言ったんだが」
「ほほう」
「時間あるなら断らないだろう?」
「ていうか、基本的に変なことじゃなきゃ断らないよ」
「例えば」
「どっかでパーティとか」
「俺も行きたくないなぁ・・・」
社交界のパーティとかって興味ないと本当に苦痛なんだよなぁ・・・。
基本的に、立ちっぱなし。これはまだいいが、今のうちの現状だとひっきりなしに挨拶やらいろいろ来るわけで。
日本唯一のダンジョン研究機関の人間だからしょうがないのかもしれないんだけど、露骨につながりを求めてくるからな・・・。普通にうちの娘を!ってやつがある世界だしな。
「今もまだあんなんあるんだなって関心したレベル」
「あれはレアなパターンらしいぞ」
「だよねぇ」
たくさんあっても困るレベル。
「でもお前向けのお見合いの話とかは腐るほど来てるが」
「なんだそれ!?」
「大体会長が止めてくれてるがな」
「ありがとうじいさん・・・今度ニホリ連れてくね」
「いないときに言っても・・・」
お見合い・・・うーん。ちょっと今はいいかなぁ・・・
「って。そんな話じゃないんじゃないの?」
「おお!そうだったそうだった実はあれを試してほしくてな」
そう言って、親父は何かのケースを指さす。
部屋の端っこに置いてあるものだが、ずっと邪魔だろうとか思ってたんだけど。
「気になってはいたけどさ」
「なんだと思う」
「・・・俺が試すってことはダンジョンで使う物?」
「もちろん」
「サイズ的に、武器じゃない。多分中で使える機材でもないかな」
「なんでそう思った?」
「だって、今だって一応携帯とかは使えるわけだし」
もちろん、中に通信の中継機材を置かないと使えないが。
一応、山のダンジョンの中は自衛隊の協力の元その機械が置いてある。
家の方は未だに秘密にしてあるからそんなハイテクな物はない。
「ていうかさ、サイズと形的に考えて。服・・・ていうか防具?」
「正解だ。相変わらずの察しの良さだな」
「随分前に俺が相談したから作ったんだろ?」
「まあそうなんだがな」
まぁしいて言うなら困っていることってレベルの相談だったんだが。
簡単に言うと、服がすぐにボロボロになるって話だ。自分の動きと相手の攻撃。俺も一応避けるけど、スキルの関係上受け止めることの方が多い。
手で止められたならそれでいいんだけど。腕でオーガの攻撃を止めたり、最近だとワイバーンの噛みつきに対して防御してみたり。そらボロボロにもなりますわ。
「でも20層とかだと既存の素材じゃ意味ないと思うけど」
「ふっふっふ」
「おおう・・・」
「俺たちも、お前の持って帰ってきた素材で遊んでいたわけじゃないんだぞ」
「むしろ遊んでたら殴り込み案件」
人が一応命がけで持ってきたもので何してんねんって感じになる。
「とりあえず開けてみろ」
「ほいほーい」
言われたとおりに開けてみよう。
ケースの中身は想像通りの防具。服っぽくはないな。基本は蛇皮・・・この色はサラマンダー?
「これって・・・」
「そうだ。お前が持ち帰ったサラマンダーの皮を利用したものだ。
関節部には伸縮性に優れた既存の素材を使用しているから、動きを阻害することもないはずだ」
「こっちの籠手はゴーレム?」
「その通りだ。魔力を通してみろ」
半透明のカバーでゴーレムの砂が覆われている部分がある。まだ固まってないようだが、俺が固めるのか。
魔力を通すと、ゴーレムの砂特有の感覚がある。それに加え、魔力がたまる感覚もある・・・!?
「魔石入ってんの!?」
「流石にわかるか」
「いや、一応俺ナンバーワンなんでね?」
むしろわかんなかったら問題なんだが・・・ってそうじゃない!!
「なに貴重品こんなのに使ってんだ!?」
「いやこんなのってお前・・・」
「もっと別の事に使えただろうに・・・」
エネルギーかとか、医療とか・・・
「まぁいいか。それで、なんで魔石?」
「ええ・・・」
「いいから説明はよ。ふーちゃんが飽きて寝始めたでしょ」
「zzzz」
「・・・はぁ、じゃあ説明するぞ」
アーマーの方はとにかく頑丈性と動きを阻害しないような構造にしたらしい。
それでも、俺の本気の攻撃とかは防げないから余り過信しすぎるなとのことだったが。まぁそもそも着るものにそんな防御力とか求めてなかったし今更なんだが。
それで、肝心の魔石付きの籠手なんだが。
「恭輔は、魔石を持った状態で魔法を使ったことはあるな?」
「もちろん。威力が上がるやつ」
「その通りだ。実はな、ゴーレムの砂に触れた状態だと面白いことが起きてな」
なにやら机の中から一つの石を取り出してきた。
この流れだと、魔石をゴーレムの砂で囲って固めた物のようだ。
「ゴーレムの砂は魔力を通すと形を変えて硬化する。殴ってみろ」
「・・・壊すよ?」
「いいから殴ってみろって」
「じゃあやるけど・・・」
今の俺は砂のゴーレムなら素手で倒せるんだがな。報告はしてるから知ってるはずなんだけど。
疑問に思いながらもいったん親父のデスクから離れる。あのままだとデスク事壊しそうだし。
離れたところで床に置き、床をぶち抜かないようにぶん殴る!!
「痛ってぇぇぇぇぇ!!!!」
「クゥオ!!?」
「はっはっはすごいだろ!!」
「息子の心配は!?」
本気で殴ったが土は欠ける様子もない。感触も、まるで鉄みたいな硬さだ。いや、マジの鉄ならこんなに痛くないんだけど。
ていうか笑うんじゃないよ。あなたの息子が痛くて転がりまわってるんですけど!!??
「クゥ」(ペロペロ
「マッジ痛い・・・」
「お前がそこまで言うなら十分みたいだな」
「・・・これ本当にゴーレムの砂?」
「おう。正真正銘ゴーレムの砂だ」
「なんだこの硬さ・・・」
「魔石の効果だ」
「はいぃ?」
親父の説明曰く、魔石の及ぼす効果は魔力を使うものに関しては何でも効果がでるらしい。
内容はそれぞれだが、ゴーレムの砂の場合、固めた時の硬度が上がるらしい。
「しかも、通す人間の魔力によってその効果の上がり幅は変わる」
「・・・この砂には誰が込めたの」
「藤岡さんだ」
「おおん、なるほどねぇ・・・」
藤岡さんクラスだとこうなるのねぇ・・・。これだけでも十分凶器だわ。
「当然だな。数値上だが、地球上にこれを超える硬度の物質は存在してないそうだぞ」
「・・・俺がやったらもっとすごいのができると」
「その通り、すでにその籠手は世界最高硬度の防具になっているわけだ」
「あー。さっき魔力通したな」
それで魔力を通してみろって言ったのか。
なるほど合点がいった。俺に試せってアーマーよりこっちだな。
ぶっちゃけ、サラマンダーのアーマーに関してはもうデータがある程度取れているんだろう。もう物ができてるってことはある程度実践で試したってことだろうし。
いや、それも含めて俺にやってこいって話かもしれないのか。
ともかく、このゴーレム砂の籠手がどれほどの物になるか。それが一番大きなことだったのだろう。
「あとは、お前がレベルアップしたときの影響とかな」
「興味あるけど面倒そうな」
「いい物には違いないんだ。いろいろやってもらうぞ」
「うへー」
これ使ってダンジョン行くのはいいんだけど、レポートとか書くやつでしょこれ。
仕事だから仕方ないけどさ。面倒な・・・。
「にゃんぴっぴ」
「あら、ふーりんちゃん」
「ぐう?」
「ん?これか?新しい防具・・・武器とも言えそうだけどさ」
「ぷー」
「はっはいいよる」
ふーりんちゃんはイキリ系なんだからもう~。わからせちゃうぞ
「うりうり~」
「むむ~」
「・・・恭輔?」
「ん?」
「今更なんだが、その声どうにかならんのか?」
「無理ぽ」
ピッちゃんがもっと頭よくならんと無理かなぁ・・・
一日一話ずつ投稿した見ましたけど、あんまりこれこちらもなかなか難しいですね。
まとめて何話分かまとめて投稿されるの待ってる方も多そうですし。
前までの感じに戻します。




