おまけバレンタイン
単純に、思いついたので起きてささっと書いてみました。
あんまり盛り上がり的な物はない。そして、ここで書かれた内容で本編に活かされるものはほとんどない。時系列も考えてない。
「ううーうーうーううー♪」
ニホリが朝からなーんかボールの中身をヘラでかき混ぜてんなって思ったら、この匂いはチョコか。
今は湯煎も終わってるのかどうなのか。まぁ近くに型が置いてあるし、もうちょいなんだろう。流し込んで冷やす前かな。
「ぴー」(ジー
「きー」(ジ
「ちゅー」(ジー
「う!」
じっと見つめる三匹。君ら前にチョコ食べたことあるでしょ。
作るところが面白いのか、ただ食べたいだけなのか。ニホリに怒られたから、あれ食べたいだけな気がしないでもないが。
まぁ俺にとって問題はそこじゃなくてだ。
(冷蔵庫に、皆用のチョコあるんだけど・・・)
何なら昨日とかこっそり作った。もちろんチョコ食べられない子達には別の物を用意してある。
そっちは卵とかチーズとかお肉の燻製だ。便利だよね。今は家で簡単に作れるようなグッズも売ってるし。
それで、まさかニホリもチョコ作り始めるとは思わず、このままだと冷蔵庫のブツがバレる。一応ドッキリだからそれは避けたい。
ただ、今のニホリに話しかけて邪魔するほどドッキリしたいわけじゃない。どうするか。
「・・・」(クンクン
「・・・どったの?」
「・・・ワン」
「・・・シー」
コロちゃんには俺の匂いでバレた。おかしいな、作ったの昨日だから匂いとかないと思ったんだが、まぁコロちゃんだしな。
「それで、なんとかこっそりどうにかしたい」
「・・・ワフ?」
「だよなぁ。んー別のところに移動ってもなー」
基本浮いてるニホリに死角って物はないので冷蔵庫の中に隠すのはちょっと難しい。となると根本的に別の場所に隠さなきゃいけないんだけど。
「・・・ワフ?」
「・・・いや、そこまでドッキリ欲があるわけじゃないけどさ」
一回隠したんだからなんかこう・・・くやしいだろ!
「・・・」
「そんなあきれた目をすると肉あげないぞ」
「!?クゥーン」
「わかりやすぅい」
肉お預け宣言したらすぐに甘えてきたぞこいつ。
「あれ、そういやうちの女の子の片割れがいない」
「クゥ!」
「え、なんて?」
バレンタイン仕様?ダンジョン?・・・わけわかんないからちょっと今日は近寄らないでおくね。
うんそうしよう。なんか今日入ったらいろいろ大変なことになりそうだし。
「うー」(フィー
「あ、終わったな」
「ワン」
「・・・あ、そうすりゃいいのか」
単純に俺が冷蔵庫に行って中身動かして見えないようにすればいいのか。
思い当たったがなんとやら。ささっと冷蔵庫に移動。ニホリはまだ何かしているようでこちらを見向きもしない。
さてさて、中身は何があったか・・・
「・・・るー」
「・・・そうなるか」
ピッちゃんここにいたかぁ。なんか冷蔵庫の中見て固まってるし。あ、これ見ちゃダメなやつやんって感じの顔で固まってるし。
あ、こっち見た。
「・・・る~」
「いや無理があろう」
何も見てない~じゃぁないよ。見事に俺の準備した奴バレてるじゃないの。
「秘密ね」
「る!」
「それにしても・・・うちの子たちはいろいろなんだろうか」
隠し事しにくいって言うかなんていうか、コロちゃんは匂いで大体気がついちゃうし。あれ、ふーりんちゃんは?
「ちゃんと用意してあるんだけど」
「にゃーんにゃん」
「なにその媚ボイス」
「にゃー」
「え」
こうすればいっぱい貰える?なるほど?
「でもみんなの分、均等に用意してあるから量とか一緒だけど?」
「・・・にゃー」
「そうきたか」
これが僕のチョコです。ってさ。いや、チョコではないけど、チョコの代わりってことだろう。
「ピッちゃんは?」
「るる♪」
「あらま」
「る~」
ピッちゃんがくれたのは何かの結晶のようだ。魔力があるからダンジョンの何かなんだろうけど、俺こんなの見たことないよ?
それに、感じる魔力的にはふーりんちゃんそっくりだ。
「にゃ!」
「おお!?・・・入れるのか」
「るー!」
ふーりんちゃんはピッちゃんのスキルで呼び出された精霊なので基本的にはピッちゃんが毎回呼び出している状態だ。
だから出てくるのもピッちゃんの近くの空間に現れることになる。そこでこの結晶らしい。
これに魔力を込めておけば、ふーりんちゃんはこの結晶を介して俺の近くに出てこれるらしい。ふーりんちゃん限定の瞬間移動のようだ。
「でもよくこんなの作れたじゃんか」
「る!」
「ああ、『精霊喚起』のほうか」
あのまったく何に使われているかわからなかったスキルってここで使うのか・・・
でも全く喚起って部分が関係ないんだけど、名前変えた方がよくない?
そして、俺はすっかり忘れていたが。
「うーううー♪・・・う?」
「あ」
「る」
「にゃー」
ニホリが来ちゃった。
「うー」(スリスリ
「クゥ」(スリスリ
「スリスリはいいから食べなよー」
結局普通にばれた。なんのドラマもなしにバレたよおい。現実ってこんなもんか。
そんなわけで、みんなで一緒に食べることに、まぁちょうどおやつの時間だからいいか。
皆で一列に並んでもらって一つずつ手渡しした。アイドルのお渡し会の気分だったよ。
でももうちょい渡し方はどうにかしたかったな・・・来年頑張るか。
「・・・ワン」(スリスリ
「ぴ?・・・ぴー!」(スリスリ
「きー」(スリスリ
「にゃあ?」
「ちゅちゅ」(ガツガツ
「スリスリ組は食べてくれませんかねぇ」
ねっさんを見習え、俺が作った物をうまそうにガッツいてるぞ。
あとふーりんちゃん。別にこれに参加しなくてもいいです。コロちゃんもちょっと考えて参加しないの。ほれ、ジャーキー食え。
「モグモグ・・・バフ」
「ちゃんとできてるか。地味に初めて作ったしなぁ」
倉庫に置いてあったやつだからどうかと思ったが、大丈夫なようだ。
親父がいつか買ってたやつだけど、ここ数年見たことなかったしな。あ、一応ちゃんと使えるかは試してるからな?
皆に食べれないもの渡すわけ行かないし。ちなみに一番苦労したのはしーちゃんにあげたもの。そもそも何を用意すればいいのかわからなかった。お肉そんなに好きじゃないし。一番好きなのは生野菜とか言うし。
「それでわざわざ山に探しに行ったってわけよ」
「・・・めぇ」
「ねばねば~」
がんばって山芋・・・自然薯ってやつだな。それを採ってきた。正確には場所を前日までに特定して、朝早起きして取りに行ったんだけど。
探した場所は・・・まぁいいか、別に。
あと、羊って山芋食べられるの?って話なんだけど、まぁ食べられるっぽい?
基本飼育するのに食べさせることってないからよくわからんのだ。
うーん生態的に・・・とか考えたけど、しーちゃんモンスターなんだよね。本羊からの申告でなんでも食べられるわって言われたし。
・・・しーちゃんに関しては本当にわからなかったから聞きに行っちゃったんだよね。だからバレンタイン贈り物の事知ってた。
「にゃ・・・?」
「ん?いや、流石に猫にチョコは・・・っていう考えで。そもそも君基本食べないしな」
ふーりんちゃんは精霊なだけあって、食事不要。食べられないわけじゃないけど。俺の魔力とか、ピッちゃんの魔力とかを食べれる・・・取り込んでる。そこはニホリと一緒だろう。ニホリも実は食べなくてもいい勢なんだけどな。人形だし。
「じゃあどうするって、そうした」
「にゃあ・・・にゃ♪」
単純に、魔石を大量に用意した。それも今行ける所の一番低い階層の物だ。一人で戦うのって地味に初めてだったから苦戦したぞ・・・
ふーりんちゃんも喜んでくれている。喜びの余り形が若干崩れてるけど、魔石をコロコロしたり、抱えたり飛び回ってるけど。
「・・・落ち着きなさい」(ガシ
「ぶにゃ」
まぁ邪魔になっちゃうから捕まえますけどね。
他の子たちへ用意した物は基本的に普通の物だ。ふーちゃんコロちゃんは流石にチョコダメだからジャーキーだし。他の子はみんなチョコ
普段お菓子なんてぜったい作らないけど、久しぶりにやってもうまくいくもんだね。
「うー・・・orz」
「るーるー」(ポンポン
ニホリが綺麗なorzポーズで項垂れている。
俺が作ったチョコ見たあたりでこうなってたけど、食べてよりその感じが増した。
自分のと比べたのか?
「・・・う」
「まぁそれは単純に経験の差かな」
もちろん料理の経験な?
落ち込んでたのは、前日までに用意しておくべきだったてのと、普通においしくてあれだったらしい。
そらチョコはすぐには出来ないわな。
「来年は一緒に作ろうな?」
「う!うう!!」
「ハハ。どうせならみんな分一緒にやるか」
喜んでくれたようだ。ニホリにとっては、今の言葉の方がチョコよりうれしいらしい。
「・・・るる」
「ん?」
「るーるー」
「・・・流行りの友チョコ的な?」
バレンタインって女の子が渡すんじゃないのー?というピッちゃんの素朴な疑問。
恭輔女の子ー?って言われたけど違います。ちゃんとついてます。いや、俺の答えもどうなんだこれ・・・?
次の日
ちゃんとニホリのチョコは食べました。ニホリと一緒に。




