72話
一話ずつなら毎日投稿できるんじゃね?と思いやってみることに。
個人的に忙しい時期は通り過ぎたので出来るだけガンバリマス。
前回の続き。
まだ帰れてません。
「ない!」
「うー!」
「ワン!」
「クゥ!」
「宝箱ない!」
そうなのだ。宝箱がないのだ。確実に巨大トレントは倒した。
実際、素材はドロップしたわけだし。・・・ん?
「ボスって素材落とさないよな」
「う」
「じゃあなんで落ちたの?」
「う?」
「ああ、あの根っこが別のトレント扱いなのね・・・」
いや、それも変わっているけども・・・。
ちょっと一端普通のボスと巨大トレントとの違いを整理しよう。
まず、ボス部屋での戦闘ではなかった。いきなり出現してからの戦闘開始のパターンはボスではなかったパターン。
普通のそこらへんにいる敵と変わらない。
次に、倒してもトレント出現付近に扉がないこと。
これは変わったパターンだとワイバーンがそうだったな。倒した後に扉が出てきた。
まぁ近くには見当たらないんですけど。
「よく考えたら扉の前に宝箱って出るのか?」
「恭輔君。見つかりましたか?」
「いえまったく」
「ちゅ~」
「お疲れさん。そっちもなしか」
巨大トレントを倒した後は全くトレントは出てこなくなった。だから二手に分かれて捜索してたんだが、ダメだったか。
あ、三崎さんの護衛には最初に鳴かなかったメンバーをつけている。
「どっか探してないとこは・・・」
「あの。いいですか?」
「はいどうぞ」
「えっと。あの大きいトレントって下から来ましたよね」
「来たっていうか、生えたっていうか」
「まぁともかく。だったら地面の下に、あの木がいた空間があるんじゃないですか?」
「・・・お?」
「うー!」
「あってるんだね?」
「う!」
「よかったぁ」
なるほど、道理だ。
今まではボス部屋の中に入ると奥の扉から出てきたが、そもそもここは部屋で戦ってない。
だったら、そのトレントが待っていた空間がある。
うん。間違いなさそう。
「てかニホリさんや。知ってたなら教えてよ」
「う?」
「ああ、まぁ確かに言ったの俺だね・・・」
探すのが醍醐味なんだよ!。とニホリに言ったのも少し前の事になるなぁ・・・。
「・・・こんど時間かかりそうだったら教えて?」
「うー!」
「ん。ありがと」
探すのは好きだけど。時間がかかりすぎるのはきらいなのだ。わかってくれ、この思い。
そんなこんなでトレント出現地点を魔法で掘り返して空間を発掘。ちゃんと宝箱も扉もあった
でも、ほとんど俺の魔法の余波のせいで埋まってた感じだったけどな!。
「これ俺が気を付ければもっと速く見つかったのでは」
「ま、まぁそういう時もありますよ」
「くるる~」
「慰めが痛い」
今度から気をつけていきたいと思います。
「とりあえず御開帳!」
「うー?」
「ちゅ!」
「ぴー?」
「・・・しばらくぶりのスキルスクロールだ!」
「きー!」
「おめでとうございます!」
「くるー!」
「わーい」
これでなにかしらの強化・・・できるといいな!。
「あとは変わらず魔石と・・・・あら?」
「なにかしらの液体・・・ですね」
「くる!」
「あ~。バン君は知ってるのか。それ秘密ね」
「くる?」
「帰ったらプリン上げるから」
「くる!」
「え?うちの子買収しませんでした?」
「気のせいではぁ?」
「・・・まぁ知らない方がいいということですね」
「いや、別に三崎さんたちは知ってた方がいいんですけど。物が物なので親父に確認取ってからですね」
「はぁ・・・?」
「簡単に言うと便利アイテムですよ」
まさかここで見ることになるとは。
かなり前のこと。まだ俺たちがダンジョンに潜り始めてすぐのころに宝箱から出てきた液体・・・薬と同じものだろう。
現状ではサンプルの少なさからわかっていることは少ないが、最低でも人間の罹る病気や大けがでも治せることはわかっている。
スポンサーの爺様との縁もこれがきっかけなわけだ。
「寿命も延びてたりしてな」
「え?」
「なんでもないですよ。ニホリ、『幸運』使った?」
「うーうー」
「うーん。じゃあリアルラックか」
いい物っちゃいい物なんだけど、どうせなら俺の戦力強化ができる物が欲しかった気もする。
今使ってる剣もそろそろ新しいのにしたいし。研究で貸し出したりするから同じものでもいいから何本か欲しい。
「外れよりマシか」
「ワン」
「贅沢・・・まぁそれもそうか。スクロールも出たし。内容的には大当たりなんだよなぁ・・・」
「ならいいんじゃ?」
「・・・まぁガチャ欲求的な?」
SSRとか当たったけど欲しいのじゃなかった的な感じ。
うれしいけど喜びきれない的な。
「・・・?」
「まぁわかんないですよね!!」
三崎さん。ゲームとかしなさそうだし・・・。ソシャゲーなんて縁もなさそう。
「丸山さんはやってるみたいですよ?」
「うそぉ!?」
「この間も、研究員の皆さんとお話してましたし」
「黙ってたなあのインテリ共・・・」
ダンジョン入るようになってから俺のオタク友達との交流は減ってしまったというのに・・・。
「今度行った時にどうしてくれようか。煽るか」
「ま、まぁお手柔らかに・・・」
「くるー!」
「おお!!ごめんごめん。プリンは帰りに買って帰ろうなー」
「うー!」
「ぴー!」
「お前ら分も買ってあげるっての。何が欲しいか考えといてな」
「クゥ!」
「ちゅ!」
「君らはわかってるからいいよ・・・」
チーズとリンゴね。
「あ、三崎さんも。限定スイーツ入荷してると思うんでおごりますよ」
「ブフ!!な、なんでそれを!?」
「え、姉ちゃんから」
三崎さんがコンビニで限定スイーツを買い漁る姿って言ってメール送られて来ましたし。
「んぐぅ!い、いや。年下に奢ってもらうわけには!」
「でも俺の方が収入上ですし」
「うっ」
「まぁ何か言っても強制的に奢るんですけどね」
なんだかんだで怖がらせちゃったし。無駄にボス戦まで付き合わせちゃったからな。
それくらいでいいなら安い安い。
「あとそうでないとバン君怒りますし。あ、モグ兄弟のも買わなきゃ」
「くるる~」
「果物・・・ん~。何がいいのやら」
モグラが何食べるかっていうより、珍しい物の方がいいのか?。
折角レベルも上がっていろいろ食べれるようになったわけだし。
「うー・・・。奢りは確定なんですね・・・。他の子の分まで・・・」
「まぁそうですね。むしろなんで嫌なんですか」
「嫌というより・・・こう、威厳的な・・・」
「まぁ今日いろいろ見ちゃってますし・・・」
「ああ・・・」
しーちゃんに乗ってて・・・ねぇ?
威厳はまぁ・・・年上分はありますよ!
「どれくらいですか・・・?」
「・・・さぁ。帰りましょう」
「はぐらかされたぁ・・・」
「うー」
「ニホリちゃーん」
「・・・めぇ」
「気にするな!」
俺にも直接言わないやさしさは残っているのだ。