70話
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「レベル上がらないんだよねぇ」
「いや、私に言いますか?」
「だって効率が・・・」
「羊でしたっけ?」
「その通りでございます。殴れない」
たまたま研究所にいた藤岡さんを捕まえ愚痴タイム。
最近、ダンジョンで昼寝してたりなんか別のことしてたりっていうのはこれが原因だったりする。
レベルが上がらないというか、戦う敵がめっちゃ少ない。
羊相手だと俺が殴れない。攻撃できないと倒せない。それにあっちから向かってくるわけじゃないから猶更何もできない。
じゃあ炎骸骨は?。あれがなんと、ほとんどいないのだ。洞窟になら頻繁にいると思ったのにいても一匹二匹。それも確実にいるわけじゃない。
大体洞窟の数が10個くらい。だから最大でもそれくらいしかいない。
そんなわけで22層でのレベル上げは効率が良くない。
21層や23層も考えたが、まず23層はない。何故なら敵で出てくるであろう巨大蛇に苦戦するのが目に見えているから。
ボス戦の時は広い空間だったからできた作戦も場合によっては使えない。他の敵もいるだろう。そうなるともしかしたらがある。
21層も微妙なのだ。鷹に狼人間。
弱いんだよ!。苦戦すればするほど経験値は大きくなる分、21層は微妙。安全っちゃ安全。
だからレベル上げにちょうどいいのは程よく苦戦して敵が一杯いる層になる。
「まぁいまそんなところないんですけど?」
「じゃあ所沢に行ってみませんか?」
「うん・・・?。・・・・あ、中級(仮)」
「忘れてました?」
「忘れてました」
「まぁ結構前ですしね」
「そういえば二人+二匹で行きましたね」
まだ全然いない皆もいないときじゃ・・・。ピッちゃんは少なくともいなかったな。
敵は・・・確かトレントだっけか。燃やすと何も残らず、それ以外で倒すと木材が落ちる。
「いまなら行ける・・・?」
「クゥ!」
「ワン!」
「ふんふん。自信ありげと来ましたか」
「みたいですねぇ。あ、おやつありますよ?」
「クゥ~」
「ワフ」
「気が逸れるのがはっやい」
「そんなわけで来ました」
「ぴ?」
「なんでもないのだ」
かなり唐突に見えるが、実際唐突に来てみた。
もちろん、管理している所には連絡はしたし、親父にも伝えた。その結果。
「なんでトラック?」
「いや、木材運ぶんじゃないんですか?」
「・・・なんでいるんですか?」
「今更ですか!?」
藤岡さん、変わりまして三崎さん。
なんでいるのか。まぁ簡単に言うと所沢ダンジョンの調査・・・手伝い。
一応俺が主体でやることになっているので手伝いとして来てくれたのだ。あ、もちろん気がついてたよ?
「くる~」
「お、毛並みが前よりいい?」
「シャンプー変えてみまして」
「くる!」
「あれ、モグ三兄弟は・・・」
「今日はお留守番です。さすがにレベルが足りないとのことで・・・」
「・・・いや、たぶんバン君も足りないと思いますけど」
「まぁバン君は私から離れませんから」
「確かに?どうせ全部こっちで倒しますし」
トレントオンリーなら何も問題ない。だって遠距離から魔法使いまくれば何も問題ないし。
「今ならふーちゃんだけで全滅できそうだな」
「クゥ?」(サクサク
「・・・何食べてるの?」
「あ、すいません。私です」
「くる」(サクサク
バン君用のおやつを分けてもらったのか。ただ貰うなら一回俺に言おうか?。
三崎さんならいいっちゃいいんだけどさ。
「・・・・ワフ」(ゴク
「コロちゃんも貰ったの?」
「ワン!」
「そうかうまいか!」
もういいか!
あ、三崎さん。後でお金払うんで他の子たち分ももらえます?
所沢一層はだいぶ前に来たっきりだからあんまり覚えてない。てか木しか見てないし。
木が密集・・・てか森の部分意外全部平原。いつも通りのダンジョン平原層って感じ。
「そんなわけで燃やしていいぞ」
「クゥ!」
「いきなり!?」
ふーちゃん新技。大きな火の玉が空中に出現。下にいる敵に向かって降り注ぐやーつ。敵は燃える
トレントは声は出さないが、木の太い枝が動くと低い音で、ゴゴゴって音がする。
燃えてるとそれに加えてパチパチ鳴るわけだ。
「いや、火が強すぎてゴォーって音してますよ!?」
「いい感じの火加減ですね・・・」
「何の加減ですか!?」
「いや、前はかなり敵が残ってたんですけど。今は一気に燃やし尽くされて跡形もないあたりが」
「ええ・・・」
成長したなふーちゃん。
「クゥ?」
「よいぞー」
「クゥ~」
「きき?」
「ん?ああ、もう攻撃していいぞ」
「え?敵はもういないんじゃ」
「くるる?」
「ああ、手前のはいないっすね」
「・・・手前?」
「ほら、来てるじゃないっすか」
「え?」
前回も倒すのは出来てたんだ。ただ問題は数だ。とりあえず範囲内の敵を倒しても・・・
「あんな感じでいっぱい湧くっていう」
「うわぁ・・・」
「く、くる・・・」
トレントは動けない・・・といわけでもないようで。正確には一定ラインから先には進んでこない。
今俺たちがいるラインから30メートル先で止まる。逆に言うと、そこに来るまではガンガン来るわけだ。
その時の動きがキモイ。根っこがわさわさ動くのだ。それも大量のトレントが似たような動きで一気に向かってくる。
三崎さんとバン君の反応もよくわかるってものだ。キモいよね。
「ハッハ!一気に行こうか!」
「ワン!」
「ぴー!」
「きき!」
「クゥ!」
「うー?」
「ぴ!」
「「「ちゅちゅちゅちゅ!!!」」」
「・・・めぇ」
「う!」
「あ、しーちゃんありがとう!三崎さんは乗ってって!」
「え?・・・え?」
「くるるー!」
「めぇ!」
「あ、すいません!」
しーちゃんに怒られて頭下げる三崎さんの図。既にニホリとバン君は乗ってる。
この方が速いしな。しーちゃん。多分三崎さんより走るの速いからな・・・
「扉なくね!?」
「ワォォォォン!!」
「ぴー!」
「きき!」
向かってくる敵を燃やしたり切り刻んだり、時には地面事ひっくり返したり。
それを20分ほど繰り返しているがまったく何もない。周囲には無駄に木材だけがたまっていく。
まぁ普通に考えれば20分くらいだと扉にはつかない。
ただ、今回はニホリから聞いておいたのだ。その結果、20分くらいでボスに着くといった話だったんだが。
「まったく何もないやんけー!」
「うわぁ」
「くるぅ」
「めぇ」
「ぴぴぴ!」
「ちゅー!」
「「「「ちゅちゅ!!」」」」
爆発。無属性魔法で迎撃。雷で連鎖的に焼き殺される。
殲滅速度は全く落ちてない。それなのにも関わらず一向に敵の数が減った気がしない。
倒しても倒しても奥から湧いてくる感じだ。
「ん?奥?」
「うー!」
「そういうことか!」
「う!」(ペチペチ
「めぇ」
「ぴー!」
しーちゃんによる雷の光線にピッちゃんによる無属性の白いレーザーがトレントを貫通し横に薙ぎ払う。
「・・・いや何それ!」
「ぴぴ~」
「アニメ!?あれか、某戦闘民族的な!?」
「ぴ!」
「しーちゃんは!」
「・・・めぇ?」
「最初から使えたいただきましたぁぁぁぁ!!!」
道を切り開いてくれた二匹にツッコミを入れつつも進む。
俺の推測が正しければ、てかニホリが答え言ってたけど。奥にボスがいる。
この大量のトレントを一気にこっちに送ってくる元凶がそこにいるってわけだ。
「待ってろよ引きこもり野郎!」
「ひぃぃぃぃ」
「くるぅ・・・」
いい加減に同じ敵だけで飽きるんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!




