63話
「そんなわけで、どうです?。モグラ三兄弟」
「いいんですかね・・・?」
「本人・・・本土竜?もいいそうですし、いいんじゃないですか?」
「キュイ?」
「かわいい・・・」
「目がいいですよね」
キュート的な感じ。小動物だし、ダンジョン潜った動物特有の賢さ持ち。
さらに、三崎さんにとっては戦力強化ってだけじゃないのだ。
「そうなんですか?」
「ええ、いっぱいテイムしてた方が『テイム』スキル的にもいいかなって」
「なるほど」
「たくさんいれば、その分話すことも増えますし。一石二鳥」
「おお!」
そんなわけで、モグラ三兄弟は三崎さんの元へ。お金とか飼い方の問題とかあるけど、そこは親父とか母さんの専門分野。
なんでも教えてくれるでしょう。・・・俺に聞いた方が速いと思うけど。さすがの俺もモグラとなると自信がない。
まぁ頻繁に様子は見に行くか。
「とまぁそんなことがありました」
「いろいろ大丈夫なのか!?」
「大丈夫でしょ、先生だし」
「いや、そうかもしれんが・・・」
「やっぱりマズイ?」
「まぁ、普通の動物が魔力を持った子供を産んだってのはこの際いい。いや、よくはないんだが。
いったん置いておく。問題なのは、その子供が本当に安全なのかどうかだ」
「うーん。俺的には大丈夫そうなんだけど」
「根拠は?」
「勘」
「話にならんぞ・・・」
お偉い人を説得するのにはダメだろうね。だから俺もちゃんとした報告として伝えてないんだけど。
「ああ、だから今なのか・・・」
「そういうこと。大丈夫そうなら家で言わないわ」
「一応。不味いとは思ったんだな」
「ほんの二ミリくらい」
それに、一応連絡網はあるわけだし。
「連絡網?」
「通称、鳥ネットワーク」
「お前にしかできないやつか」
「動物園に居座ってる連中に話付けてきたの。何かあったら最短5分で俺に伝わります」
「・・・それって、電話の方が早いんじゃないか?」
「いつも電話できるとは限らんでしょう」
「お前のその連絡網?。どこまで広いんだ?」
「ええ~。そんな広くはないよ。精々町内分くらい?」
「十分だろ・・・」
町内で何かあったらすぐわかるな。それ以前に近くなら気配でわかるけど。
「それにしても、三崎さんは一気に戦力が増えたな」
「モグラちゃん三匹だし」
「そこなのか?」
「割と爪とか鋭いし、そこまで速い敵じゃないなら問題なさそう」
「だったらしばらくは問題ないか?」
「問題ないんじゃない?スキルがないと先はキッツいだろうけど」
ていうか、スキルなしだと誰だってきついか。俺も無理だろうし。コロちゃんも無理だろうな。
負けることはないだろうけど、火力不足で倒しきれないってことになりそうだ。
「そういや、今日藤岡さんたちは?」
「ここで何かやってたな」
「把握してないんかい」
「今日も今日でこもりっきりだからな・・・」
「予定くらいは把握しておこうよ」
「それもそうなんだがなぁ」
「まぁいいか。とりあえず暇だし行ってくるわ」
「暇ならダンジョン潜ればいいだろう」
「そういう気分じゃないの。水の中の事も考えなきゃいけないし」
「・・・その報告聞いてないが?」
「あ・・・バイビー!」
「あ、逃げるな!」
「とまぁ。逃げてきました」
「それはダメですよ?」
「ダメですかね?」
「ダメです」
「はぁい」
「・・・あんた、先輩の言うことはちゃんと聞くわよね」
「だって年上だし」
「私は?」
「・・・ハッ」
「鼻で笑われた!?」
姉ちゃんは姉ちゃんだしな・・・。なんかそういう感じじゃない。
藤岡さんは何というかな、言うこと聞いたらいい事ありそうな感じする。
「あとすごくいい匂いする」
「まぁ///」
「・・・何言ってるの?」
「今俺もそう思った」
すっごく変態ぽいね俺。
「あれ?。あんた鼻もよくなってるの?」
「割と。最近になってようやく自覚出てきたくらいだけど」
それもあんまり変わった感じしない。イチゴとかの甘い匂いがわかりやすくなったくらいだ。
「あ、その日のご飯がカレーかどうかわかる」
「それは私も分かる」
「ですよね」
「あと、先輩に一言どうぞ」
「うん?」
「///」
「おっおう」
「あ、いえ。ちょっと言われ慣れなくて///」
「先輩、大丈夫です。私の弟なので。深い意味はありません」
「そうだけど。その言い方はどうなんだ?」
自分事ディスってませんかね。
あと、お前いい匂いだな!って言われ慣れてる人って何ですか。どういう匂い出してるの?
「うー!」
「あらニホリ。今日も随分綺麗にしてもらったな」
「う!」
「ただ、和装メイドって誰の趣味?」
いや似合ってるけど。大正ロマンを感じる服装は好きだけど。ただ何故ニホリに?。後何故メイド風?
ロリメイドはすごく犯罪臭がするんだぞ。
「う?」
「いやいや~。似合ってるよ~」
「う~♪」
「毎回思うけど、あんたにはもったいないくらいのいい子ね」
「姉ちゃんも運が良ければニホリの仲間に会えるぞ」
魔力さえ足りてればステータスが見えないだけで人間の体は出来るだろうし。
『テイム』があればステータスも見えるけど。
「でもお前に戦わせるってないしな」
「う!」
「スキルもなぁ・・・魔法系があればいいんだけれど」
そもそも、最近になって全くでなくなっちゃたしなぁ。どうしても優先度は下がっちゃう。
ニホリは俺たちの最終切り札『強化』を持ってるから、できるだけ魔力は残しておいてほしいし。
「とりあえず、くるっとその場で一回転」
「う?うー!」(クルクルー
「おおう。グレイト」
「これが親バカか・・・」
「馬鹿親です」
間違いない。




