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62話

一日遅れたかも?

二話投稿です

梅子のいる場所まで歩いてほんの数分だ。まぁそこまで大きい動物園じゃないし、大体数分でたどり着くんだけれど。



「うーめこ梅子うーめこ」


「うー?」


「こっから先は言いません」


「う?」



何言ってるんだろう?。みたいな動作が俺に刺さる。



「梅子~来たぞよ・・・・?・・・先生ー!?」



なんか生まれてますぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

































「何この子」


「ブルル!」


「いや、わが子なのはわかった。だが馬に角はないのだ」



梅子のいる場所は動物園の表側じゃない。裏、ようするに基本的に開園時間以外にいる場所。しかも妊娠中の母体にストレスを与えないようにちょっと変わった場所にある。

そこに入った時、既に二匹分の気配はあった。一匹は梅子。もう一匹は小さい。生まれたての気配だった。

気配自体は二つでも、まぁ妊娠中ならそんなもんかと思っていたが、そんなわけなかった。普通それは生まれてるわな。


ただ、飼育員が気づいていなかったのは気になるが。



「マジでどうなってるの?」


「担当の子も、初めて見たと・・・」


「でも、明らかに生まれたてですよ?」


「そうなんですよね・・・」



別に動物園の動物たちだって、人間の手を借りなくても出産出来る。ただ、出産の様子に気がつかなかったのはおかしい。席外してたとしても、そんなにすぐ終わるものじゃない。

大体、飼育員の人いたしな・・・。


角付きの子は今は梅子のところにいながらこちらを見ている。

というよりは、俺の背中のニホリを見てる?。



「うー」


「どうした?」


「うーうー!」


「・・・はい?」


「クゥ?・・・クゥ!?」


「え、ふーちゃんまで?」



ニホリもふーちゃんもこの子から魔力があると言っている。

そんなはずないのだ。魔力はダンジョンのモンスター、もしくはダンジョン内で敵を倒した存在から出ないと感知できない。

子供は今生まれたばかり。ダンジョンに潜れるはずないんだが・・・



「角あるもんなぁ・・・」


「ニホリちゃん達はなんと・・・?」


「いや、この子から魔力があるって言ってるんですけど・・・ああ、でも確かに」



魔力がある。それもかなり高めだ。オークの魔石とほぼ同等か?。



「何が原因だ・・・」


「うー・・・」



ニホリもわからないのか。ダンジョンの事ならかなり知っているはずなんだが。

・・・実はこの子が本当に馬なのかを見る方法はある。あんまり気乗りしないんだが。



「梅子?。ちょっとこの子『テイム』してみていいか?」


「・・・・・」


「ああ、テイムって言うのは、俺とコロちゃんみたいな関係になることを言うんだけど。

 その子、ちょっと変わってるのはわかってるだろ?」


「ブルル」


「わかってる。お前の子であることは変わらない。ただ、普通に育てられないかもしれないだろ?」


「・・・」


「引き剥がそうとしてるわけじゃない。ただ、万が一があったらまずいんだ」



もし、この子がモンスターで、ダンジョンのモンスターと同じように襲ってくるような子だったら。

一番最初にやられるのは梅子たちだ。オークと同等の魔力を持っていることから推測するに、この子は間違いなく普通の馬を超える能力を持つことになる。



「・・・」(コク


「ありがとう」


「・・・ワフ」



梅子はなんとか納得してくれた。コロちゃんも悪いようにはしないと言ってくれた。

コロちゃんもそこそこここの子たちとの付き合いは長い。信頼関係は俺と変わらないほどだろう。



「『テイム』」




ポーン

『ユニコーンのテイムに成功しました』



「マジか・・・」



確定してしまった。この子は、外で生まれたダンジョンモンスターだ・・・。










「説明していただけますか?」


「はい。まず、外だろうとダンジョン内だろうと、モンスターのテイムと、普通の動物のテイムには違いがあります」



基本的に、テイム成功時のアナウンスは俺にしか聞こえていない。正確には、『テイム』使用者にしか聞こえない。

その内容に違いがある。モンスターの場合。そのモンスターの種族の名前が出てくる。動物の場合はそれがない。



「あと、先ほど言ってた魔力なんですけど」


「はい。確かダンジョンのモンスターにあるという」


「ええ、そうです。でも正確には違くって」



魔力を持つ条件は先ほども言った通り。

なら、梅子の子供である、ユニコーンには魔力が宿っているはずがない。


実はもう一つだけ方法がある。



「その方法は、魔石を取り込むことなんです」


「取り込む・・・食べるということですか?」


「それもあります」



魔石を細かく砕き、水に溶かす。魔石はある程度小さくすると水に溶けるようになるのだ。そこからもとに戻す方法はないようだが。

ともかく、魔石を溶かした水に葉を浸していたりすると、本当に少しずつだが魔力が宿るのだ。

実験で試したときは植物でしか試していなかったが、松の木は魔力を持つようになった。

そして、その松は通常の植物とは違ってくる。魔力で成長するようになるのだ。それに、明らかに成長が速くなる。



「考えられるのは、あの子が何かしらの方法で魔石を取り込んだってことなんですが・・・」


「その方法が考えられないと」


「そうなります。一応、可能性としては低いですけどこれかなって考えはあるんですけど」


「それは?」


「梅子が魔石を食べちゃったって話です」


「ええ!?」



そうこれは本当に突飛な話だ。ていうか、魔石を取り込むって話自体かなりありえないんだけど。

そもそも、どこで魔石を手に入れるのだ。あと、梅子はそんな怪しい物食べちゃう子じゃないし。



「ニホリは何かあるか?」


「うー・・・・・・う?・・・・う!?」


「お!?どうした!?」


「う!う!」


「へ、モグラたち?」



急にモグラちゃん達をジッと見つめたと思ったら驚き始めて、指さし始めた。

魔力って言ってるけど・・・え?まさか?



「・・・なんで君らも魔力持ってるん?」


「キュウ?」


「ダンジョン入ってた?」


「キュ!」


「元々巣穴だったかぁ。ええ・・・」



つまりなんだ。この子たちは、巣穴のあったところが急にダンジョンになって、その中で何体か倒したと。



「え、でも魔石食べるなんてアホなことしてないだろ?」


「キュ」


「そこまで切羽詰まってないよなぁ。じゃあどうやって・・・」



モグラちゃん達も魔石を持って来たりしてないという。そもそもそれ何?って感じだし。

まぁ、そりゃそうだ。魔石はフロアのボスの宝箱でしか見つかってない。



「・・・あれです。わかりません」


「まぁ、そうですよね・・・」


「ぶっちゃけ。魔力とかの研究ってまだ全然進んでないんで。何が何やら」


「なるほど・・・恭輔君に来てもらってよかったです」


「はい?そうですか?」



何も解決できてないと思うんですけど。



「そんなことはありません。問題自体はわかったじゃないですか」


「まぁそうですけど・・・」



恐らく、他の動物たちがおかしかったのは、梅子の中にいたあの子に気が付いていたんだ。

動物は、人間より勘がいい。野生の勘というが、そもそも動物の感覚は人間のそれを何倍も鋭い。何かしらで、わかっていたのだろう。



「それだけでも十分です。理由も分からないのでは、何もできませんから」


「・・・いや、十分何もできない問題だと思うんですけど?」


「ははは。そうですね。でも、考えることは出来るでしょう?」


「まぁそりゃあ・・・」


「とりあえず、他の子たちに伝えておきましょうか」


「・・・そうですね。梅子もごめんな?。うるさくして」


「ヒヒィーン!」


「ありがと。何かあったら先生に言えよ?飛んでくるから」



ひとまず、あの子は梅子といるべきだろう。ずっと気にしてはいたが、ニホリや俺らは何もしない。むしろ母親の知り合いだとわかったのか、こちらを見ずに眠ってしまった。

恐らく、魔力を感知できるのだろう。今いるメンバーの中で、一番魔力が高いのはニホリだ。魔力で体を構成してるニホリから出てる魔力は俺の魔力が元とは言え、かなりの量がある。

自分より多い魔力の持ち主がこちらに危害を加えないか。それを見ていたのだろう。生まれたばかりでその判断ができているのかは怪しいが、本能的に警戒していたとしてもおかしくはない。


動物は、生まれてすぐに立ち上がり、歩けるようになる。それは、危険な自然界で生き残るすべなのだ。

魔力を持って生まれたあの子も、そういった何かを持っているのだろう。


ま、問題自体はわかったんだ。今日のところは一旦帰ろう。これからいろいろ調べなきゃいけないだろうが、流石に多くの事がありすぎて疲れた・・・



「あ、お前らどうしよ」


「「「キュウ?」」」



迷い込んだモグラ三体(レベルアリ)

厄介なのがあったなぁ・・・・

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