59話
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「今日どうすっかなー」
「クゥ?」
「いや、22層越えたし。ちょっとレベル上げ必要だろうし。そうなると深く潜らないし。時間余るしでどうするかなと」
「クゥ」
「ええ~。そんなレベル上げばっかりする気分じゃないんだよ~」
「クゥ!」
「ダメって・・・なんでそんなやる気マンマン?」
「クゥ!」(ブンブン
「あらやだかわいい」
短い手足を振りながら主張している。かわいい。
ちなみに主張内容は、レベルよりスキル欲しい!。だってさ。
・・・え?
「スキル欲しいの?」
「クゥ」
「飽きただけかーい」
「クゥフ」
「このこの~。撫でまくってやる~」
「クゥ♪」
何これはこれでって感じで喜んでるんだか。許しちゃうけど。
でも飽きたか~。それはちょっと想定外。モチベーションに繋がってるのなら割と馬鹿にできない話だけど。
簡単に手に入らないからな~。
「まぁスキルは手に入ったらな?」
「キュ」
「なんだその声」
「クゥ?」
「眠いって。今朝10時ですけど?」
「ク・・・zzzz」
「寝たよこの子。マイペース」
なんて子だ。しかも俺の膝で寝たから俺は動けないと。なるほど?俺も昼寝コースかこれは?
「・・・ワフ」
「コロちゃん。来るや否や空いてる膝に顎乗せるとは何事か」
「フワァァフ」
「・・・寝る気だな?」
「ワフ・・・zzzz」
「マジかよ」
一瞬で両ひざが埋まってしまった・・・。これで完全にピクリとも動けないんだがどうするか。
飲み物は・・・届くな。携帯・・・胸ポケット・・・じゃあ問題ないか。
「てか俺も寝るか?。でも眠気なんてないしな~」
「ちゅ?・・・zzzz」
「うっそだろお前」
さっと来てさっと俺の隣に寝転がりさっと寝たぞ。そんなことあるか?
あったわ
「これ全員来るんじゃねぇよな?」
・・・・・・・・・・・
「流石に来ないか」
他のみんなはどこだろうか。気配的には庭にすらっぴとバトちゃんがいる。
俺の部屋あたりで残りのみんな。何してるんだ?。固まってるみたいだけど。しーちゃんの毛にみんなで入ってるのかな。俺も入りたい。
しーちゃんのスキル『増毛』
これは変わってるスキルで、自分の毛を増やすスキルだ。しーちゃんの場合は体毛。モフモフの毛がよりモフモフになるわけだ。
もしかしたら髪の毛も生えるのでは的な話もあったけど、そもそもスキルスクロールで当たるかどうかわからんし。検討のしようがない。
もし生えてきたら恐ろしいことになりそうだが。
「あ、でもしーちゃんが他人に向かって使うことは出来るのかも」
今の段階では無理だそうだ。本人に聴いたから間違いない。ニホリもスキルの効果がどうなっていくかは途中までしか知らないらしい。
俺たちの魔法スキルなんかもこの先どれくらいの変化が起きるのか。それもそろそろわからなくなるらしい。
まぁわからなくても問題ないし。それを自分たちで調べるのも偶にやる分には楽しい。ずっとやるのは勘弁。
「でもしーちゃんの毛が増えるとものすごいゆるキャラ感なんだよな・・・」
これ以上の強化って何さ・・・。今でももはや羊とは言えない見た目になるというのに。
ちなみに、『増毛』使用後のしーちゃんは顔だけが毛におおわれてない状態になる。文字通り毛玉。実は俺が毛玉ちゃんって呼んでたのはそこから来てるのだ。
この際、しーちゃんのスキルの考察を少しまとめよう。
「『雷魔法』これは簡単だな」
文字通り、俺の『土魔法』やふーちゃんの『火魔法』と同じ。使い方的にもふーちゃんと同じタイプ。後方から魔法をぶっぱするタイプ。
違いと言えば、ふーちゃんは大量の魔法を展開して一気に広範囲を殲滅するのが得意。大量に展開した魔法を一体に集中させることも可能。
しーちゃんは一点集中特化と言える。広範囲もできなくはないが、その場合前に出てる味方を巻き込む。
一回だけ、コロちゃんに当たりそうになった。結果的にコロちゃんが避けたからよかったけど。
この場合、問題なのは雷を避けたコロちゃんなんだけど。
「『受け流し』は・・・よくわからんからなぁ」
正確には、しーちゃんでは使いこなせないってところなのかもしれないが。
試しにすらっぴの水魔法をかなり弱く撃ってもらって試した。
結果を言うと、しーちゃんの前に透明な壁が出てきて、それに水が当たって左右に水を流している感じだった。
これだけなら問題なく使えてそうなんだが、ニホリがこれに待ったをかけた。
『受け流し』というスキルは、本来自分の動きと連動させて使うスキルらしい。
ああいう感じに、自分は止まって何もしないって感じには使わないらしい。俺とかが持ってればうまいこといろいろできるらしいが。
まぁあまりにもよくわからなくて、効果から何までニホリに俺から聞いたんだけど。
そんなわけで、『受け流し』はあまり重要じゃないらしい。緊急時の回避には使えるようなので、頻繁に使用してスキルの強化はさせてるけど。
「ぴぴ~」
「きき~」
「おかえりー。ちゃんと拭いてきたか?」
「ぴ!」
「き!」
「そうか。なら、台所におかしあるらしいから食べてもいいぞ」
「きき~!」
「ぴぴ!」
じゃあ取ってくるね!僕は飲み物持ってくる~
本当に仲いいよなぁこの二人。
うちの子はみんな仲いいんだけど、この二匹は特別仲がいい。
すらっぴはバトちゃんと、ねっさんはふーちゃん、ニホリはピっちゃん。コロちゃんは俺と一緒のことが多い。
まぁ多いっても比較的って話だけどさ。これからしーちゃんは誰と仲良くなるのやら。今のところ、ニホリとピッちゃんがお気に入りっぽいが。
「そこは本人の・・・本羊次第かな」
「ぴぴ?」
「ん?俺はいいや。飲み物そこにあるし」
「きき~」
「あ、皿は各テーブルのやつ使っていいらしいからそれな」
「きき!」
「ぴぴ!」
すらっぴがお菓子の包装を丁寧に破っている。溶解液で溶かしているんだけどさ。
これが結構器用なのだ。中のお菓子に影響を与えることなく、本当に溶かしたい部分のみ溶かす。
難易度で言うなら、俺がゴーレムで袋を開けるくらいの難易度だ。結構難しい。力が入りすぎてお菓子を吹き飛ばしちゃうし。
誰しも経験がある、ポテチを開けるときのあれだ。
「ニホリ達がお菓子に気づいたな。すらっぴ。追加で飲み物。同じ奴でいいでしょ」
「ぴ!」
すらっぴお気に入り、果汁100%オレンジジュース。何故かこれが好きなのだ。
他の子は結構水とかしか飲まないが。
あ、バトちゃんとかモンスターメンバーはジュース飲むぞ。しーちゃんはまだ慣れなくて水が多いけど。
てかあの子はお茶とか水が好きっぽい感じだけど。ニホリはカフェオレが好き。ピッちゃんは炭酸系ならなんでも。
炭酸系は比較的人気ではあるけど。シュワシュワが楽しいとか。俺も好きだけどさ。
「めぇ・・・」
「お守りお疲れ」
「めえ」
「代われたら代わってやるけど。離れないだろ?」
「めぇ・・・」
「まぁ重くないからいいじゃない」
ニホリもピッちゃんも浮けるし。ねっさんとふーちゃんは小さいから軽い。
そこまで重くはないだろう。それでも、全員載せて階段降りてきたのか。さすがに危ないから注意はしないとだめだな。
「しーちゃんも。階段降りるときはおろしていいぞ」
「めぇ」
「抵抗したら・・・静電気くらいは許可する」
「めぇ」
「うー!」
「るー!」
「文句言わない。危ないんだから」
君らはモフモフが気持ちいいだけでしょ。階段くらいは自分で降りなさいよ。てか浮いてるだろ。
「ほれ、お前らも起きろ。お菓子なくなるぞ」
「・・・?」
「いや、お菓子。お前らの分も出してやるから」
「!!クゥ!」
「ワフ・・・」
「ちゅ~」
「コロちゃんは眠そうだな。珍しい」
「ワン」
「ああ、昨日は枕になってたか」
珍しくニホリがベットにいないと思ったらコロちゃんを枕にしてたか。ご丁寧にお気に入りの毛布まで持ってって。
コロちゃんもくっつかれて寝れなかったか?
「ワフ」
「ああ、話が長かったか。まぁそれはしゃーない」
ニホリも女の子なのだ。お話大好き。話すネタがある限りいつまでも話してるぞ。
「さぁて、昼寝は後で。今は起きろー」
「・・・」
「珍しく本当に眠いんだな。しゃーない。ほれ俺はいるから寝るか?」
「・・・zzzz」
今度は胴体を半分以上俺の乗せて寝始めた。逆に寝にくいだろうに。
「まぁ、気持ちよさそうだからいいけど」
「う?」
「お前も、夜更かしばっかしてんじゃないよ?」
「うー」
「はいはい。今はコロちゃんだから。あっち行ってお菓子食ってな」
「うー!」
「静かに行け」
のんびりコロちゃん。昔っからよく俺の上で寝てたものだ。最近はちょっと減っちゃって寂しかったが・・・。
「お前もそうだったか?」
「・・・ワフ」
「フフ。そうか。それはよかった」