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54話

「・・・お父様、お母さま。お願いがございます」


「うん?どうした、改まって」


「いいわよ~」


「まぁ恭輔の事だ。問題ないだろ」


「何も言ってないんだが!?」



これは今日、午前中に21層のボスに挑んだところまで遡る。


























「うし。行くか」


「ぴぴ?」


「そりゃな。毎回ボス前で何日も止まってられないし。今回は鷹のせいで無駄に時間取ったし」



本来なら、すでに二層くらいは突破しててもおかしくはないくらいの日数がワイバーン戦から過ぎている。

それなのにまだ一層。さすがに時間かけすぎだ。いくら、ノルマ達成がフロア攻略に関係ないからって限度がある。

ちなみに、ノルマは魔石の量なので全く問題ない。準備運動がてらボス巡りだ。



「じゃあ皆イクゾー」



BGMが欲しいと、毎回思う。




「ボス部屋も広いなぁ。草原ステージ」


「ワフ」


「ああ、空からって可能性もあるな。すらっぴ、バトちゃん警戒しておいて」


「ぴー!」「きー!」


「まぁ、前回が飛行型だったし、今回は違うと思いたいが」


「う!」


「わかってるって。油断はしないよ」



油断したら死ぬなんてことは10層の時に身に染みて理解させられた。

俺の油断でみんなが怪我をするかもしれないのだ。

その状態で油断などできるはずもない。



「だけど。今回は普通にドアからだったな」


「クゥ!」


「ちゅちゅ!」


「・・・ワフ?」


「コロちゃん?」



ふーちゃんとねっさんは俺の前にでてやる気満々だが、コロちゃんの様子がおかしい。これは戸惑っているのか?


そうしている間に、扉から何かが出てくる。

大きな体を連想させる影がこちらに伸びている。四足歩行のようだ。俺の身長と同じくらいの高さがある。

今まで見てきた四足歩行生物の中では大きい方だ。モンスターでは見たことない。動物では見た。像とか。

頭には鋭そうな角。大きな目。そしてなにより特徴的な白いもふもふそうな毛・・・?



「「「「「「・・・・・・」」」」」」」


「う?」


「・・・羊や」


「メェ~」



なんともやる気がそがれる奴が敵だった。

しかも、目がとても愛らしい。毛も大変毛並み?が良く、モフモフしたら大変気持ちよさそうだ。

角も鋭さそうだが、コロちゃんの爪とかに比べたら殺傷能力が低そう。俺には効かない時点で只のチャームポイントだ。

ようするに?



「・・・俺には倒せない!?」


「う!?」


「ワフ~」



コロちゃんの戸惑っていた理由はこれだった。

コロちゃんは俺とは長い付き合いだ。故に知っている。俺の好みを。

俺が、毛がモフモフしている動物が大好きだということを。

自分のしっぽや、ふーちゃんのしっぽ。ねっさんとかのモフモフを触るのが大好きで仕方ないことを知っている。

朝に寝ぼけたふーちゃんのしっぽが顔に当たるのを楽しんでいるのに、この子は気が付いているっ!



「だから攻撃できません」


「うー!うー!」



ニホリが地団駄を踏みながらこちらに抗議してくる。

ボスなんだから倒さなきゃだめでしょ!進めないじゃん!と言ってくる。


しかし、俺は意見を変えない。



「ほら、見なよ。あっちも何もしてこないでしょ。いい子です」


「うぅぅぅぅ!!!」



マジでキレる五秒前って感じだ。



「・・・どうにかならんの?」


「るる?」


「いや、俺にあの子を攻撃するのは無理です」


「るー?」


「そう、めっちゃ好みなの」



ちなみに、俺が一番最初に親にねだって飼うことになったのはウサギだ。

ウサギとしては長生きの13歳まで生きたご長寿ウサギだった。人間で言うと100歳超えてるぞ。

亡くなった時はしばらく使い物にならなくなってしまったが。

今でも思い出すと泣きそうになるんだが。



「そういうわけで。無理です」


「る~」


「う~」



女の子二人にあきれられてしまった。

まぁ、女々しいのかもしれないが。無理な物は無理だ。



「ぴぴ!」


「すらっぴさん?」


「ぴぴ!ぴーぴぴ!ぴぴー!」


「・・・そうか、そうだよな!」


「う!?」「る!?」



そうだ、すらっぴの言う通りだ。俺には、これがある。

俺がダンジョンに潜ることになった始まり。俺とすらっぴの出会いの象徴!



「『テイム』っっっっ!!!!!」

































「そんなわけで、できちゃった」


「想像の斜め上の出来事だったんだが?」


「あらーかわいい子ね~」


「めぇ~」



既にうちの中に入り、のんびりと座りながら母さんに撫でられ時にモフられている毛玉ちゃん。

もううちになじんでいる。さすがいい子だ。



「めぇ」


「あら~。おなか減ったの~?」


「めぇ」


「ああ。スキル見ろってことか。何々~」




毛玉 Lv42

『増毛』『雷魔法』『受け流し』




「え、つよ」



ちなみに俺たちのレベルがこんな感じ



恭輔  Lv46

すらっぴ  Lv40

ばとちゃん Lv41

コロちゃん Lv50

ねっさん Lv45

ふーちゃん Lv39

ニホリ Lv35

ぴっちゃん Lv37



スキルは増えてないから割愛するが、こんな感じのレベルなのだ。

まぁ、結局モンスターは種族によって能力が違うのでレベルって目安にしかならないのだが、それでもこれは高レベルだ。

本当にこの子、普通のモンスターか?。



「お前みたいな感じだったり?」


「ぴ?」



うちの変わったモンスター枠と言えばすらっぴだ。

他の子も、同じ種族と比べれば変わっているといえるが、すらっぴに関しては最初から変わってた。

まず、初めて見る俺に着いてきて、(コウモリ)を渡されて懐き、一番最初にテイムした子だ。

いろいろあるが、先ず、俺についてくるって点がおかしいのだ。他のスライムはそんなことしてこないのに。




「お前も変わった子枠~」


「めぇ?」


「ぴぴ!」


「・・・めぇ」


「ぴー!」


「うん、よきかなよきかな」



なにかしら感じたのだろう。毛玉ちゃんが驚いたように挨拶を返し、それに元気にすらっぴが挨拶を返す。

仲良くできそうだな。いいことだ。



「・・・いろいろ気になるが、今度だな」


「もちろん」


「今日は歓迎会ね~」


「何食べるの?」


「めぇ」


「おおう。まさかの雑食枠・・・。草食かと」


「めぇ?めめぇ」


「ああ、好みはやっぱそういう方なのね。じゃあキャベツとか?」


「めぇ」(フルフル


「なぬ。違うのか。じゃあなに?」


「・・・めぇ?」


「草って・・・」


「牧草とかがいいんじゃないのか?」


「どうなんだろ。・・・あれだ、園長さん所行こう」


「ついでにいろいろ必要な物を聞いておくか。車出すぞ」


「じゃあ。私は夕飯の準備しておくわね~」


「うぇー!準備だ準備~」



今日、また家族が増えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョンにマスターが居たとしてもまさかボスモンスターをお持ち帰りしてくる冒険者が要るなんて考えてないだろうなぁ・・・
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