51話
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空飛ぶ敵への対処法。藤岡さんにも聞いてみたが、やはり有効的な知識は持っていなかった。
自衛隊での経験とかあるかなって思ったけど。よく考えてみると、飛翔体の迎撃ならミサイルとかだよな。
でも、考えてみますって言ってくれた。まったくありがたいことだ、俺だけで考えるのより全然いいだろう。
一応、レベル上げを兼ねて20層と時々21層には行っているのでそのうち強引に勝てそうだけど。
そんなこんなで一週間たった。
つまり、今日はねえちゃんと藤岡さんたち。自衛隊からの異動組が正式にうちのメンバーになる日が来たのだ。
「とは言うものの。俺は俺でやることがあるわけで」
『挨拶くらい行ってきたらいいじゃないかー!』
「どうせ後でここ来るんでしょ?。いくら俺が自由でも所長への挨拶に首突っ込んだりしないって」
『面倒なだけだろ?』
「そうともいうな」
なんでわざわざ挨拶聞くだけなのにあっちまで行かなきゃいけないんだか。
データ取るためにここには来るわけだし。一般冒険者はここで待ってますよ。
「とりあえず何するか」
『決めてないんかい』
先週もいた刀の実験の時いたうちの一人(丸眼鏡)。他の二人は今は別のところにいるとのことだったが、出張だろうか。
『決めてないのに呼ぶなよ・・・あ』
「え、何そのやばいもん来たみたいな反応」
『やばい物かどうかはお前次第だよ』
「お・・・。なるほど。これはプレミしたな?」
『やっぱり行かなきゃダメだったんじゃないか』
「ワンチャンあると思ったんだけどなぁ」
『ないわ。皆さん待たせてるんだ』
「はいはい。行きゃいいんでしょう行けば」
絶対挨拶だけで終わらないから行きたくなかったんだけどなぁ。
長い話は勘弁してほしいけれど。
「さて、馬鹿な息子も来たところで再開しようか」
「はいどうも~。バカ息子です」
「座ってろ」
「ウィッス」
「相変わらずですね~」
「すいません本当に・・・」
「こんな弟で本当に・・・」
「元気でいいじゃないですか」
「生意気なだけですよ」
「「わかってるならおとなしくしてろ!!」」
姉ちゃん込みで突っ込まれるとは。久しぶりな感覚に特に何も覚えない。感慨もないな。
まあでも?。少し勝手にしすぎたみたいだし。おとなしくしとくか。
テイム持ちの三崎さんと、新宿で一緒にダンジョンに潜った丸山さんは苦笑いしている。
まぁこれから上司になる人の息子が怒られてる光景が目の前に会ったらそうなるわな。
「はぁ、自己紹介は・・・いいか」
「全員知ってるし。あ、でも少ないなとは思った。あの時の四人だけじゃん」
ダンジョン潜ってて、スキル持てる人ってもうちょいいたでしょうよ。
「流石にスキル持ち全員をこっちに異動ってわけにはいかないでしょ?」
「ああ、そういうこと」
「まぁ、何人いるかは言えないけど~」
「大体察しがついてるからいいよ別に」
「え」
「え」
「こいつらの言動は気にしないでください」
「は、はぁ」
「な、仲がいいんですね・・・」
「恥ずかしいばかりです」
ほら、姉ちゃんも俺と同じ枠扱いだよ。ざまぁみろ。
「そういうわけで、これからよろしくお願いします」
「「「「よろしくお願いします!!」」」
「・・・あ、終わった?」
「終わったよ。一応聞くけど話は?」
「聞いてないし、聞く気もないで」
「だろうと思ったよ」
なにかしら、社会的だったり、なんか大人の事情だったりとかの問題に巻き込まれたくないし。
俺の趣味を邪魔しない範囲ならダンジョン関係でのみ手伝うけど。
そういう意味で、俺のダンジョン探索はとってもいい。
俺の趣味と世間の人が求めているダンジョンの情報を知りたいって欲がかみ合っている。
だから今の状況は楽でいい。
「面倒ごとは嫌だからね」
「お前に回さないようにはするさ」
「期待してるわ。俺も勝手に潜るし」
「期待するのはこっちなんだがなぁ」
「その期待は姉ちゃんたちにしといてよ」
「え、私たち?」
「そりゃそうでしょ。俺より動かしやすい冒険者って枠なんだし」
「あ、言われてみればそうね」
「もっと強くならなきゃまずいですかね?」
「そこまでじゃなくてもいいですよ。多分」
「そうなんですか?」
正直、俺が取ってくるものと、今の研究所や、それ以外の人たちが求める物は必ずしも同じじゃない。
ある意味当然なのだが。
たとえば、食品関係の人ならオークの肉とかが欲しい。でも俺はもっと下にいるから取ってこない。
気が向けば取りに行くけど、そんな大した量は取ってこないし。
だから、俺みたいに勝手に下に行く冒険者ではなく、どこかの誰かの依頼を受けて必要な物を取りに行く人が必要なのだ。
「それが姉ちゃんたちでしょ」
「そうだな。さっき話したんだがな・・・」
「え?。そうだっけ?」
「姉ちゃん・・・」
「藤岡さん?」
「あ、いえ?。聞いてたんですよ?」
「・・・いつもこんな感じですか?」
「まぁ、結構・・・」
「さすが姉ちゃん」
本番に強いのはいいけど、それ以外で気を抜くのは治ってないのか。
脳筋よりなだけあるわ。
「あ、でも。ある程度の速度で一定量の敵を倒せるようにはなってもらいますよ」
「具体的にはどれくらいですか?」
「皆さんってどれくらいの敵なら一対一で勝てます?」
「ええっとそれがですね」
「もしかして、よくわかってない?」
「そうなんですよ」
どうもあの狂化オーガの情報が世に出回ってからはそんなにレベル上げにもいけてないそうだ。
なんせ、中に入らなければ安全。しかも狂化オーガは間違いなくそれまでの敵とは比べ物にならない強さを持っている。
そこに挑まないから自分の強さもよくわからないのか?。
「一応、私たちは他の隊員よりは潜っていたのでレベルは高いんですけど・・・」
「そのせいで、余計わからないと」
「10層の敵は一人でも余裕だけど。もっと下のも大丈夫そうなのよね」
「ああ、じゃあ狂化オーガか」
「そういうことです。あれに勝てるか、確証がないままでは挑めなかったんです」
「それでいいと思いますよ?。仕事で潜ってるなら特に」
俺みたいに、潜りたくて潜ってるのなら違うがな。
なんせ、どこに潜って何と戦うのも俺の勝手。だから死んでも自己責任だ。
家族は悲しむだろうが、そこはしょうがない。
元々、そういう場所だとわかっているのだから俺個人に関してはいつ死んでもいいように心構えはしている。
一切死んでやる気はないがな。
「じゃあ、最初にやることは決まりましたね」
「・・・まさか」
「俺がいれば絶対勝てるわけですし。狂化オーガ行きましょうか」
「やっぱりか~」
「まぁそうなりますよね」
「そう来るのはわかってたけど・・・」
「いざってなると・・・」
「そんなに構えることもないですよ?絶対死なせませんし」
「ですが・・・ダンジョンですよ?」
「それでもですよ」
「・・・・・?」
余りに自信ありげなのがわからないのだろう。
まぁ。それもそうか。狂化オーガに挑まず、レベル上げの効率も落ちているのなら理解できないだろう。
確かに挑んだときや、その後にテレビの時とかはまだそこまで余裕がなかった。ニホリの強化があれば問題ないのはそうなんだが。
ぶっちゃけ。ねっさんに瞬殺されてる狼人間の方が速いし、攻撃力は高いのだ。
今更、怖がる敵でもないし。なにより
「コロちゃんいれば、どんな状況でも瞬殺できますし・・・」
「ああ・・・」
「あの狼ちゃんですか・・・」
この間試したんだけど、なんかあいつ。敵の攻撃を見てから動いて反撃するのなんて余裕でこなすし。
俺に攻撃しようとしてたオーガを、何十メートルも離れた位置から走って俺に攻撃させる前に殺したのだ。
危なくなっても先に殺せるから、先ずダメージ食らうこともないんだよなぁ。




