表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
564/567

538話

時が過ぎ、日をまたぐ。


朝の陽ざしが眩しい。

ようやく、年を越えられたのだと実感できた。


「・・・色々あったなぁ」

「ワン」


ダンジョンが出現してから、大体1年と半分くらいだろうか。

その間、本当に色々・・・いや、そんな色々はないな。

家族が増えて、結婚したくらいか?

いや大ごとなんだけどね?


まぁずっとダンジョンって感じの時間ではなあったな。

高校辞めたのも、もうすぐ1年経つのかと思うと感慨深い。

そうか、同級生は大学に行くことになるのか。


「あ、女神に紹介しなきゃな」

「ワッフ」

「いやぁ。約束したしなぁ」


後普通にお互い喜ぶだろうしな。

ほら、女神ナイスバディではあるから。ポンコツだけど。


「ワン?」

「ん~・・・まぁ頑張るけどね?授かりものですから」


てかお前も楽しみなのかコロちゃん。


庭に備え付けられたベンチで、コロちゃんと並んでぼけーっとする。

何か、こんな時間も久しぶりな気がする。

前は毎日こんなんだったんだけどな。


今は・・・


「ぴぴー!」

「きー!」

「ちゅー!」

「おう。元気になったな」


こうやって座ってると、必ず誰かしら来るからな。

賑やかでいい。


昨日の戦いでの傷は、完全に治すことが出来た。

ロラちゃんの薬と、俺が共有したスキルの多重効果であっという間にな。

女神にも手伝ってもらったし、後遺症もない。

しーちゃんとか、体貫かれた上に雷のダメージが大きかったが。


「めぇ」

「・・・毛が縮れなくてよかったな」

「めぇ?」


なんか今日朝みたら完全に毛が元に戻ってるんだよね。

どうも無事な部分の毛根から『増毛』で一気に戻したらしい。

そのふわふわ感触は健在だ。

地味に心配だったのか、ユニちゃんとか今顔埋めてるけど


「楽しい?」

「!!」

「めぇ・・・」

「がんばれお兄ちゃん」

「めぇ」

「俺は両手に獣なので」

「ワン」

「ワン」


おういつから出てきたのんちゃん。


そうそう。ロラちゃんと共に戻ってきた家族達。

親父達への説明は大変だったが、まぁ俺が頑張ったってところをゴリ押した。

マジでそれ以上説明しにくいしな。頑張ったの未来の俺だけど。


そんなわけで、改めて我が家の一員になった。

現に、今のんちゃん・・・ゴールデンリトリバーののんちゃんは気が付いたら俺の隣にいたし。


これはこの子らだけの能力になったようなのだが、俺の中と外とで行き来が出来るようになっていた。

外にいる時は、俺が作り出したそれぞれの体に入って動く。

俺の中にいる時は、俺の器としての役割を担うことになる。

ようするに、合体すると俺が強くなる。


「ワン・・・?」

「ワフ・・・」


気になったのは、今いる皆と喧嘩しないかなぁってことだ。

まぁ杞憂だったが。


ロラちゃんと一緒に、俺達を見ていたからだろう。

喧嘩どころか、僅か数分で仲良くなった。

ふーちゃんは同じ狐のはっちゃんに対して立場とか言っていたけど、何やら気が付いたら2匹で丸まってた。

鼻合わせたり、一緒の布団に入ったりね。


他の子達も、似たような物だ。

元から種族や種類を問わずに暮らしていたからってのも大きいかな?


まぁ見てて、ああ、そうなるんだって仲良くなりかたしたのもいるけどさ。


「だから自分で動かない?」

「・・・」

「籠るな」

「ちゅ~」


亀のりとちゃんが、動くのが面倒でねっさんの分身に運んでもらってるのを見た時は流石に目を疑ったね。

それでいいのかと思ったけど、ねっさん的にはそれでいいらしい。

軽いって言うけど、そういう話ではないと思うんだ俺は。

てか、りとちゃんもりとちゃんで殻にこもるくらいに降りるの嫌か。

うーんこの。


ああ、でも今ここにいない子・・・というか、元から俺より親父や母さんが好きって子もいる。

そういう子は、あんまり俺の中に戻っては来ないな。

んなこといったらりとちゃんだって戻っては来ないんだけどな。


のんちゃんとロラちゃんくらいか?よく戻ってくるのって。

後は親父と仲良くしてたり、母さんに撫でられ続けたり・・・羨ましいなの2人。

おかしいな。俺が一番だからあんなことしたのでは・・・?


「」(ソウイウコトモアル

「悲しい」


まぁ俺だけの家族ってわけはないしな。

皆の家族。大門一家だ。


「何黄昏取るん?」

「うー?」

「お、来たな~」

「るる!」


フミとニホリ、そしてニホリの頭の上にピッちゃんが乗って来た。

何か昨日まで普通に忘れてたけど、今日って年始なんだよね。


そんなわけで、母さんが張り切った。

大きな問題を乗り越えたってのもあり、かなり張り切った。


元々母さんが持っていた着物を、フミに着させたいと今朝になって言ってきたのだ。

まぁフミも乗り気だったしそれはいいんだけど、それを聞いてニホリも珍しく着たがった。

お前普段着物みたいなもんだろ・・・とは思ったけど、それでも着たがった。

まぁ晴れ着・・・晴れ着でいいのかあれは?

ともかく、おめでたい日用の着物となると話は別らしい。


だが、流石に我が家に子供用の着物はない・・・と思っていた時機もありました。

あの人だ。ぐるぐる眼鏡さんが母さんに今日の日の為に渡していたらしい。

ピッちゃんの分もな!!・・・代償は写真を撮る事らしい。

それでいいのかあの人は・・・?


着飾ったフミは、想像以上に綺麗だった。

小紋っていうのか、薄い紫の色がフミに合っている。

こういうフミは、あんまり見たことないから新鮮でいいな。


「うー?」

「ニホリも可愛いぞー」

「るる」

「にゃ」

「ぐぅお!」


うんうん。ニホリもピッちゃんも似合っている。


「ニホリちゃーん。ぴっちゃーん」

「うー!」

「るるー!」


母さんが呼んでいる。

写真を撮る為だろう・・・いや、何だあのカメラ。

あんなのあったの・・・ああー親父のだな。隣でハラハラしてるわ。

高いんだろうなぁ。


「う!」

「あん?俺も行くの?」

「年賀状やって」

「あー・・・いや、今から書くのか・・・?」


まぁそういう家も最近は多いんだろうけどさ。

何かもうメールとかSNSとかで良くねって感じが・・・


「ほれはよ行くで!」

「おおう」

「ワン」

「お前らも行くんだよほれ」

「ワフ!?」

「ぴーぴー」

「いやお前もな?」

「ぴ!?」


何か他人事みたいにしていた子達を蔓で捕まえて強制連行。

逃げられるものなら逃げてみなさい。


まぁ捕まったら諦めたのか、普通に大人しかった。

りとちゃんとかねっさんに乗せられたままだから微動だにしないし。


「・・・楽しいのか?」

「・・・」

「左様か」


柔らかいそうです。


母さんたちの元に行くと、そこには既に庭に出ていなかった子達もいた。

ポヨネは何故か疲労困憊だけど。


「いえ私も着るみたいな話になりまして・・・」

「あー」

「着んかったん?」

「いや私はこのままでいいでしょうよ。この家では私は可愛いわんちゃんです」

「自分で言うんかい」

「う?」

「後着物なら私自分で変化できますし」

「そんなんうちも出来るんやけど」

「今は前と違うんだからしないでしょ?」

「まぁ・・・せやな」


まぁポヨネは姿形自由だしな。

フミは昔ほど自由度はないらしいし、特別感は増えてるよな。


後、自分のそういう姿はヨミで十分だろうってこともあるらしい。

・・・今度着させるか。


「せやな」

「だな」

「う?」

「いやな予感が・・・」


気のせいだよ。


「はいはーい。皆並んでね~」

「はいなー」


お、準備出来たのか・・・あ、そうだ。


「フミ、ニホリ」

「おん?」

「うー?」

「言い忘れてたからな」

「・・・あ、せやな」

「うー!」








今年も、これからもよろしくお願いします。

ずっと、よろしくお願いします

うー!

よろしければ評価やブクマ登録お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ