やきいも~
時間軸はかなり前の事
「うーうー」(クイクイ
「おん?どうした?」
「う?」
「ああ、この曲?焼き芋の販売屋台の音だけど」
「・・・う?」
「焼いただけって、結構色々あるんだけどな」
「うー?」
「・・・よし、どうせなら作るか」
「う?」
個人的には特に好きってわけでもないけど、たまにはいいよね。
「るるー!」
「はいーお疲れ様」
「ぴぴ!」
「おう。すらっぴもありがとな」
「クゥ?」
「ふーちゃんはまだね」
「うーうー」
「持ってきたでー」
急遽開催、大門家焼き芋大会の時間です。
皆で手分けして準備を終え、今から焼き始めだ。
だが、ニホリは未だに懐疑的なようで。
「うー?」
「まぁ偶に食うにはいい感じ」
「なんやその微妙な評価」
「好きな人は好きだからなぁ。姉ちゃんとか母さんは好きだぞ」
「う?」
「そら夕飯に出るような物じゃないしな」
出ても昼飯か。
それと、これは意外だったのだが、ニホリはサツマイモを見たことがなかったようなのだ。
何この紫とか言われた時は驚いたものだ。
そもそもそれが芋であることも知らなかったとか。
だからいまだに疑ってるってのはあるだろうな。なにせ紫・・・食欲は普通沸かない色かもな。
何か日本人は慣れちゃってるからなんとも思わないんだろうけど。
「まずピッちゃん達に集めてもらった落ち葉を集めます」
「う」
「そこにアルミホイルに包んだサツマイモを入れます」
「うっう」
疑ってるけど手際はいいな。
さっさと包んでいる。皆分作るから、結構な量になる。
俺とフミも手伝っても20個以上作るから大変だ。
ちなみに今回使うサツマイモは川越芋ってやつだ。
川越と言えば東京で多摩地域に住んでいる人ならなんとなく聞いたことのある地名だろう。
そこはサツマイモが有名で、スイーツとかも結構多い。
まぁ川越って言うと菓子屋横丁の方が聞いたことある人多そうだけど。
まぁともかくそこの芋だ。たまたま売ってた。
「う?」
「皮はそのままね」
「うー・・・」
まぁ普通剥くよな。ジャガイモは皮剥くし。
だがサツマイモと言えば・・・まぁ人によるだろうけど、皮ごと食べる人もいるしな。
品種によっては皮も甘いとかいうのもあるらしいが。
なんだっけ、後有名なのは沖縄の紫芋とかか?
あれは色々あって沖縄以外では手に入らないけど。加工した物なら取り寄せできるけど。
「でも不思議やな。普通毒やでこれ」
「やっぱり紫ってそういうイメージ?」
「紫の鱗粉まき散らす蝶とかおってな。あれは毒やったな」
「ああそういう」
そう考えると、現代スイーツ食べまくってるヨミの方が理解ありそうだな。
なんなら今食べてたりして。
「へっくしゅ!!」
「風邪?ヨミ」
「いや、これは恭輔さんに噂されてましたね」
「ピンポイントだね・・・」
「大体私の話するなんて人恭輔さんかお姉さまくらいですし」
「あ、それもうそうか。それより美味しい?」
「美味しいですねえ。焼いただけなのに」
「焼き芋って言うんだよ。秋の味覚!」
「はぁー・・・あ、そうか。芋シューってこれが元?」
「そうだよー」
「人間すごいなぁ」
「うん、ありえそうだ」
「う?」
「どしたん?」
「いやなんでも・・・よし、終わったな。そしてこれはまだ埋めない」」
「うー」
「ぴぴ?」
「すらっぴは消火係だから待ってね」
「ぴー!」
そしてここに来てふーちゃんの出番だ。
「本当に小さな種火出して」
「クゥ」
「それを真ん中あたりにぽいって」
「・・・クゥ?」
「燃えない燃えない」
先に燃やしておくのだ。
焼くってか、温めるが正しいのかもしれないなこれ。
そしてある程度燃えたのを確認。
火が無くなっていることを見る。手を翳して温度を確かめよう。
「本当なら温度計でやるんだけど。まぁ俺達だから素手で」
「う」
「んー・・・大体200くらいやな」
「お、それくらいならOK。アルミホイルに包んだ芋をぶち込む」
「うー!」
「るー!」
威勢はいいけどゆっくりやってな。熱いのまき散らされるから。
それと、アルミホイルじゃなくても濡れた新聞紙をさらに巻くとかでもいい。
俺は比べたことないから味にどんな違いが出るか知らんけど、それでも作れるらしい。
そして灰の中に入れること大体20分。一回出して方向を入れ替えてもう一度。
さらに20分経ったら取り出して完成だ。
「これが焼き芋でござる」
「・・・う?」
「変わらんな」
「る」
「ぴ?」
「クゥ?」
「割ってみそ」
「・・・う!」
「るる!」
焼いたサツマイモを割ると、そこは黄金色に輝いている。
先ほど一回だけ焼く前の物を切って見せたのだが、その時はまぁこんなものよねって感じの反応だった。
それが猶更、今の驚きを大きくさせているのだろう。
「え、焼いただけやんなこれ」
「焼いただけよ」
「・・・こんななる?」
「蟹だって茹でると赤くなるでしょ」
「・・・え、元から赤いやん」
「う」
「あれ」
何やら噛み合っていないが仕方ない。
てかお前ら、蟹って全部赤いと思ってんのか・・・
「まぁ食べるか」
「せやな。いただきまーす」
「うーうー!」
「るる!」
「ぴ!」
「クゥー!」
・・・・・・
うん、ちゃんと出来たな。中はホクホクでサツマイモ特有の甘さが出ている。
皮は少し焦げているが、それも偶に食べるといいのだ。
ちなみに俺は面倒だから皮はそのまま食べる人だ。よっぽと固くない限りはって感じだけど。
ニホリとフミは剥いている食べている。
逆にピッちゃんふーちゃんすらっぴ達はそのままだな。てか、すらっぴに関しては丸呑みだから皮も関係ない。
「うー・・・」
「おお、甘い!」
「クゥ~」
「るる~」
「ぴ」
「はい」
「ぴ~」(グボボボボ
すらっぴは速攻で一個食べ終えたようだ。それだけ気に入ったのだろう。
ニホリも食べて見直したようだ。
うんうん。いい事いい事。
「・・・うー?」
「これで?結構あるぞ」
「うー」
「ケーキとかもあるん?」
「あるある。モンブランとか」
「・・・栗やからモンブランなんやないの?」
「さぁ。そこは知らん」
人間の食事事情に、また一つ詳しくなったニホリちゃんでした。
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