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531話

ディシディアのアーケードが終了するようですね。

今殆どPS4のやつしかやってませんが感慨深いですね

実力の大きな開きがある事、そんなことは一目見た時から・・・いや、未来の自分の記憶からも分かっていた。


「くっ・・・」


ポヨネが、あの精霊擬きに首を掴まれている。


自分が一番にやられ、その後は家族が次々にやられていった。

情けない話だ。未来の自分が、その命を自分に預けたというのにこれだ。


未来の自分と、あの夜に会った時。

そして、未来の恭輔を見た時、その差に驚愕した。

あまりにも、恭輔が自分とは遠い場所にいたからだ。


だからだろう。未来の自分の・・・彼の後悔が強く伝わってきた。

あの時もっと強かったら、何か自分が他に出来ることがあれば。

何かしていれば・・・恭輔はフミを失わずに済んだのではないかと。


だから、彼は自分1つになることを選んだのだ。

恭輔がそうするからではなく、今度こそ後悔しないために。

・・・いや、それは自分だけではないのだろう。

皆、似たような後悔を持っていた。だからここまで来たのだ。


フミが、自分の家族が死んだこともそうだが・・・何より、恭輔を悲しませることしか出来なかった自分達が。

弱い。あまりにも弱い。

ここまでなのか。こんなものなのか。未来と過去。すべてを1つにしてもこの程度なのか。


「・・・ァァァァ」


そんなわけがあるか。まだだ、まだ終わらない。


だから・・・










全部ヨコセ
















滅霊は、既に勝利を確信していた。

高いエネルギーを持つ存在の距離はまだ遠いが、これ以上妨害がないことも分かっていた。

直線状には、もはや力を持つ存在はいない。


今この弱い生物の首を折れば、それで終わる。


・・・はずだった。


「?」


まだ殺していないのに、急激にエネルギーがなくなっていく。

もう死んだのか?


「は、はは・・・」

「・・・?」


いや、まだ死んでいないようだ。声を発する余裕もあると見える。

ならば、念には念を入れて・・・


「いいんですか・・・?」

「・・・ナニ?」

「よそ見・・・ずっと見なくって・・・」

「ナニヲ」


その先の言葉を、滅霊は言うことが出来なかった。

なにせ、言葉を発する部位・・・口が頭ごと細切れにされたのだから。


滅霊は、別に顔の目で見ているわけではない。

周囲の魔力や神力を感知している。それが目で見るのと同じ精度で周囲の状況を把握できるのだ。


実際に見ているわけではない・・・だからこそ、間違えた。

今自分の顔を斬った存在を、滅霊は初めて見た。


「ダレダ!」

「・・・ワン」


その声に覚えがあった。

自分に死を与えた存在だ。忘れるはずがない。


だが、その存在は最初に足を潰したはずだ。

その機動力を殺した奴は、既に戦うことは出来なかったはずだ。


しかし、今切られた。

それに、あの存在から感じる力は何だ。

あれは・・・なんだ!?


「あれが・・・私たちのリーダーなんですよ・・・」

「ッ!?」


満身創痍。既に動くことも出来ないはずの小さな存在がそこにはいなかった。

代わりに、どこからともなく声だけが聞こえてくる。


「狼は、群れる物なんですって」

「・・・」

「でも、コロちゃんは群れたことがなかった」


それは、周囲に自分と同じ存在がいなかったからというのが大きい。

唯一いたのは、大門恭輔という人間のみ。

それは群れと言うよりは、人間的な家族の意味合いが強かった。

だが、そんなコロちゃんに初めて人間以外の家族が出来た。

その家族は、狼ではなかった。

それどころか、動物ですらない者もいた。モンスターという、不思議な生物達だった。


だが、それでも家族であった。

姿が違う。好みも違う。何もかもが違う。

だけど・・・それでも大門恭輔というただ1人の人間をしたって集まった家族であった。

それは、彼にとって初めて出来た群れだ。


「ワォォォォォン!!!!」


コロちゃんが望んだ力・・・神力の形は繋がりを作ることだ。

その繋がりは、群れを1つの存在として戦わせることを可能にする。まさに狼の力。

その群れには、誰かが欠けてもダメなのだ。

だが逆に・・・誰かがいれば、群れなのだ。

その誰かになるのは・・・絶対に譲ることの出来ない自分の仕事である。


「今あなたが起こしたのは、文字通り最強ですよ・・・精々後悔しなさい」


未来も過去も関係ない。

ただ、コロちゃんと名前を付けられ、恭輔と共に生きた狼はここにいる。


「・・・ガァ!!」

「ッッッ!?!?」


滅霊は、神力や魔力なら光の速度でも感知できる。

その滅霊が、今のコロちゃんの動きを捉えきれずに四肢を切られた。


何が起きたか。

いや、もはや説明も必要のないことだ。

コロちゃんが出来ることは、ただ1つしかない。


近づいて、斬る。


だがこれだけだ。

これだけの動作を・・・極限まで極めたのが今のコロちゃんだ。

家族全員の力を一つに束ねて、それだけに力を注いだ。


即座に腕を生やし、そこから全方位に弾幕を張り近寄らせない。

だがその弾幕を掻い潜り、コロちゃんは迫る。

当たったと思っても、それは影。すでにその場所は通り過ぎた後だった。

瞬く間に接近し、再び捉えきれない速度で切り刻む。


四肢どころか、全身を何十等分にも斬られた。

それを認識できたのは、斬られた後の事だった。


先ほどのように、力を奪われるようなことはない。

だが、自分の体を回復させるのには力を消費する。

これを繰り返されれば・・・


滅霊は、今度は神力の衝撃波を放った。

弾幕を抜けられるのなら、完全な壁を押し付けようと考えたのだろう。

だが、コロちゃんはそれすら凌駕する。

一度魔刃を消し、体勢を低く、深く構える。

衝撃波が迫る中、コロちゃんは全く緊張していなかった。恐怖もない。

なにせ、今からやることは今までの事の延長でしかないのだから。


青い光が強く輝く。

明るく、すべてを照らすような白に変わる。

腕に纏われた白い刃は、迫りくる壁を切り裂き滅霊を両断した。


「ナッ!?」

「ワフ」


ただ、ゆっくりと振られた腕は、まるで何も遮るものがないようにただたが動くだけだった。

斬るという動作であったことすら、目の前で見ていた滅霊は分からなかった。

それだけ、白い刃が異常な切れ味を持っていたと言うことになる。

そこに存在するだけで、すべてを切り裂いてしまうほどの。


今、再び滅霊を恐怖が襲う。

目の前にいる存在が、本当に先ほどまでの弱い存在であったか分からなくなったのだ。

あれは一体・・・なんなのだ


今ここに、最強が生まれた。

大門家、コロちゃん・・・


「ワン!」


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