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530話

書いてて思うのはもう終わるのかという謎の感慨です

始めに仕掛けたのはやはりコロちゃん。

他を圧倒する速度で滅霊に近づき、切りかかる。


「ガウ!」

「コウ」


額から伸びた魔刃を滅霊は生み出した魔力の剣で受け止める。

受け止められることを事前に察知したコロちゃんは、即座に体の複数部位に魔刃を展開。

体を回転させ、相手の剣を潜り抜けて体を狙う。


だが、それは肩から生えた・・・肩が変形したような形状の刃に受け止められる。

コロちゃんは驚愕した。その驚きは一瞬だったが、隙としてはあまりにも大きかった。


「キャン!」


膝から伸びてきた物に気が付くのが遅れた。

何とか回避しようと体をよじるが、それでも腕を貫かれる。


体を後方に動かすことは出来たため、貫いていた時間は一瞬だったが、足が命のコロちゃんにとってそれは致命傷に等しい。

動きが止まったコロちゃんに対して、滅霊はさらなる追撃として魔力の弾丸を撃ちだす。


「やらせません!」

「るる!」


コロちゃんにピンチに、即座にポヨネとピッちゃんが反応した。

結界で弾丸の威力を軽減。威力の落ちたそれをピッちゃんが相殺する。


「!!!」

「ミエテイル」


ユニちゃんが上空から降ってくる。

それを顔を向けずに迎撃。ユニちゃんに空中に現れた紫の槍が突き刺さる。

槍が突き刺さったユニちゃん。明らかに致命傷だが、当のユニちゃんは問題なさそうな顔だ。


「ン?」


滅霊が不思議に思っていると、ユニちゃんが消えた。


「ッ」

「ちゅっちゅ」


それを確認した瞬間に、その場を離脱しようとしたが足元を何かに掴まれた。

そこにはいなかったはずのねっさんだ。それも10匹。

数瞬とは言え、動きを止められた滅霊。

その隙を、結界の足場の下から膨大な数のねっさんが噴き出るように出てくる。

それらは餌に群がるアリのように滅霊に集まり・・・大爆発を起こす。


「・・・ちゅ~」

「潜伏ご苦労さまです」

「ちゅ」


最初の攻防でねっさんがいなかったのはこのためだ。

滅霊が最初のそれで倒せなかった場合に備えて、ねっさんは予め海の中に潜んでいた。

幸い、コロちゃんという脅威とヨミたちの結界による妨害。

その上で現れたポヨネ達に意識がそがれ、海の中でこっそりとしていたねっさんに滅霊は気が付けなかった。

ポヨネがなるべく気が付けれないようにと考え張った結界も大きいだろう。


貫かれたユニちゃんも当然分身だ。

分身がジャンプで跳びあがり踏みつけとコロちゃんから意識を逸らす狙いがあったのだ。

本体は足をやられたコロちゃんを連れて後ろに下がっている。


爆発の煙で隠れて滅霊の姿は見えないが・・・まだ強い気配が残っている。


「ちゅ~」

「まぁあの程度で倒せませんよね」


ねっさんの分身は、数を優先しているため性能が低い。

その為見た目もデフォルメされているのだが、今回出ていた分身達はまるで本物の様なクオリティだった。

それに応じて、体力も増えている。よって、体力を消費する爆発の威力も上がっている。

ダンジョンの階層にして80後半のボスモンスターでも、今の数の爆発なら跡形も残らず消し飛ぶだろう。


「・・・下から来ます!」

「ちゅ!」

「ぴぴぴ!!」


結界の下から、蔓が生えてくる。

それを分身達を足場にしながら回避するねっさんとポヨネ。

海中から飛び出した蔓を水流カッターで切り刻んでいくすらっぴ。


足場にある結界は、文字通りただの足場だ。

長く続き、消費が少ない代わりに上から下に落ちる物しか遮れない。

海中から自分たちの足場を崩されないようにとの判断だ。


蔓は全員を捕まえようと生え動き回る。

それをそれぞれが出来る方法で対処していく。


唯一防御の方法を持たないユニちゃんと、怪我をしたコロちゃんを守るようにふーちゃんが広い範囲に炎をばらまき蔓を燃やす。

バトちゃんがかまいたちを発生させ、雷が炭に変えていく。


だが、それはあまり長く続かなかった。

炎が蔓に吸収されていく。


「ッ!ふーちゃん!!」

「クゥ!!」


蔓が魔力を吸収し始めた。

元々滅霊は花であった時から魔力を吸収することに長けている存在だった。

それは今も変わらない。部位を問わずに、魔力であるならなんでも吸収できる。

今までは特殊な力を使う者と攻撃は肉弾戦のみのだったので使われなかった。

コロちゃん達の戦いの序盤も、油断があったから使うことはなかった。

だが、既にその油断がなくなった今。吸収しない理由がない。


それに気が付いたポヨネが、即座にふーちゃんに声を掛ける。

するとどうだろうか、魔力事吸収されていた炎が再び蔓を燃やし始めた。


「マタカ」

「当然でしょ」


神力の炎だ。

コロちゃんが繋いでいるラインが、魔力だけでなく神力の共有も可能にしていた。

他の子もそうだ。それぞれ神力を用いた攻撃で蔓を迎撃し始める。


それを見て、らちが明かないと思ったのだろう。

滅霊が前のめりに構える。


「何か来ます!」

「??・・・メェ!!」

「え?」


ポヨネが警戒を促した瞬間、そのポヨネの目の前に滅霊が現れた。

突き出された刺突剣の様な細い物が、ポヨネの視界に迫ってくる。

それを見ながら、自分の死を認識したポヨネ・・・それを横からしーちゃんが吹き飛ばした。


「な・・・ねっさん!!」

「ちゅ!!」


剣を刺されたしーちゃんを救おうと、ねっさんが向かうがその脚はすぐに止まった。


「めぇ!」

「ちゅ?」


しーちゃん自身が止めたのだ。

理由は単純、自分の攻撃に巻き込まない為だ。


「めぇ・・・」

「クッ」


しーちゃんの体には、確かに剣が刺さっている。

だが滅霊も、しーちゃんの毛に包まれていた。

しーちゃんの毛の中には、雷が溜まっている。自然現象である雷だ。

正体は静電気。それを魔法スキルで拡大していたのだ。

その電気は吸収できず、滅霊に動きを痺れで止める。

しーちゃんは、攻撃からポヨネをかばうのと同時に滅霊の動きを止めたのだ。


・・・次の攻撃を確実に当てるために。


「めぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ガァァァァァ!?!?!?」


空から雷が雨のように連続で、不思議と一か所に落ちてくる。

上空に放った雷が、雲の中で増幅し拡大する。

その雷を、自分自身を避雷針として誘導を行い、自分事滅霊に雷を当てたのだ。


魔法なら、それは吸収できる攻撃だった。

神力でも、それはまだ同じ神力で軽減、または防ぐことも出来ただろう。

だが、始まりの雷こそ魔法だがこちらもほとんどが増幅した自然の雷。


その衝撃と音に、目と耳を塞ぐ周囲の皆。

それが止んだ時・・・立っているのは滅霊のみだった。


「ァァァァァ!!」


自分をまきこんだ攻撃に、しーちゃんの方が先に倒れた。

拘束していたはずの毛が、しーちゃんが倒れると共に緩んでいく。

叫ぶと共に、しーちゃんを蹴り飛ばす。


「しーちゃん!!」

「ぴぃぃ!!」


吹き飛ばされたしーちゃんをすらっぴがその体で受け止める。

すらっぴの体は、非常に大きくなっていた。

いや、これが本来の大きさなのだ。何段階もの進化を経て、すらっぴは大質量を自分の物に出来るようになっていた。

普段は小さく纏めているが、今は周囲にいくらでも水分がある。

それらを取り込むことで、今の巨大な体を作り上げていた。


しーちゃんを受け止めて、すらっぴは触手を滅霊に伸ばす。

当然それは滅霊には届かず、払われてしまう。

だが、海中から出てきた触手には反応が出来なかった。


「ナニ」

「ぴぎゅ!!」

「ききぃ!!」


そのまま海に引きずり込む。

拘束は一瞬しかもたないが、バトちゃんが海ごと巻き上げる強風・・・台風を作りあげる。

滅霊は大量の水と共に打ち上げられるが、高度限界により下に戻されそうになる。

だが、常に暴風で上げられ続ける為、体がミキサーのようにグルグルと回され続ける。


その状態をまずいと判断し、体内の神力を爆発させて台風を消し飛ばした。


「きき!?」

「ぴー!!」


それと同時に放たれた魔力弾が、すらっぴとバトちゃんに降り注ぐ。

すらっぴがバトちゃんをかばうように体を覆うが、1発1発の威力が高い為、すらっぴの体が高速で削られていく。

そして、遂にはバトちゃんを覆うことも出来ない程の小ささまで体積を減らされたところで限界だった。

魔力弾が2匹に直撃し、それだけで戦闘不能まで追いやられた。


「すらっぴ!バトちゃん!」

「クゥ!!」


よそ見をしている暇もない。一瞬で、3匹落とされた。

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