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521話

何か書こうと思いましたけど何も思いつきませんでした。

「はぁ~・・・ついに明日なのだわ~」

「わかりきっていたこと」

「そうなのだけれど・・・やっぱり心配なのだわ」

「・・・今更?」

「ずっと心配はしてたのよ?」


ただそれを見せなかっただけで。


時間は少し遡り、人型が恭輔に会った時間から少しだけ経ったくらい。

まだ朝・・・ダンジョン内なので、常に朝なのだが、外の時間では早朝だ。


そんな時間。女神と人型は22層に建てた家の中でくつろいでいた。

外観は別荘地にある綺麗な白い家だ。


「ただ、あんまり不安を感じさせるわけにはいかないでしょ?」

「・・・そこまで弱くない」

「分かっているわ。ただ、それでもよ」

「・・・」


女神は、常に恭輔達の前では明るく振舞っていた。

この先のことで、心配なことなんて何もないというくらいに振舞っていた。

だが、それは仮面をかぶっていたにすぎない。

内心では全く違う。


女神は、恭輔達と話していたようにかつては人間だった。

故に、その常識はどちらかというと人間よりになっている。

死を恐れない人間なんて、この世界には存在していない。


「はぁ・・・」

「負けないから問題ない」

「うぅ~・・・ひーちゃん~」

「・・・くるしい」


女神は、優しい言葉をかけてくれる人型に感動したようだ。

感極まったように、人型に抱き着く。

女神の豊満な胸を押し付けられながら、無表情ではあるが苦情を漏らす人型。

いや、よく見ると若干イラついている?


「離れて」

「もう少し~」

「・・・」(イラ


少し・・・本当に少しだが感情が出てきた。

恭輔が見たら、すぐにその違いに気が付くだろう。

そして、恭輔が気が付けるのだから彼も当然気が付く。


『おう。そろそろ青筋出てきそうだからやめときな』

「えぇ~・・・え?ええ!?」

「・・・いつのまに?」

『抱き着いたあたりからいたぞ?・・・やっぱり今は俺の方が色々上なんだな』

「きょ?!・・・いいえ。あなた、未来の恭輔ちゃんね?」

『正解。直接会ったのは初めてだったな』

「ええ。避けられてると思ったのだわ」

『いや、理由がないからだけど』

「えぇ!?」

「だろうと思った」

『というか放してやれよ』

「え?・・・いや?」

「いや」

「そんなぁ~」


きっぱりと断られて流石に女神も人型を離した。

嫌われたくないのだろう。

女神から解放された人型は、即その場から離れて恭輔の後ろに隠れた。


「安全」

『避難所か俺は』

「ぶーぶー」


呆れたように溜息を吐く恭輔。

その動作、そして今こうして目の前で彼を見た女神は、的確に彼の状態を見抜いた。

恭輔の背後に隠れるようにした人型も、触れた時に彼の体がどんな状態なのかを知った。


「・・・無茶をしているのね」

『ん?・・・まぁ隠せないか』

「ぼろぼろ」

『まぁいいんだよこれはこれで。おかげで準備が整った』

「・・・でもそれだと」

『まぁ確かに戻ることも出来たかもしれないけど・・・戻る気なくなったしな』

「え?」

『いいっていいって。気にすんな。そんなことより、聞きたいことがあってな』

「聞きたいこと?私に?」


女神の疑問は当然だ。

既に未来の恭輔は、女神の力を大きく超えている。

知恵も力量も、ありとあらゆる点で女神を凌駕した存在だ。

そんな彼から、自分に質問が来る。それは、想定もしていないことだった。


『ああ。こればっかりは、なんでか地球の記録の中にもなくってな』

「なら。私の技術的なことかしら」

『やっぱり。そういう系はないのか』

「ないと言うか・・・地球の記録はそういう技は記録できないのよ」

『ん?そうなのか?』

「ええ。地球が記録出来るのは、地球の起きた現象の記録なの」

『つまい、結果は分かっても経過が分からないことあると』

「そうね。特に、私たちみたいな存在が行うことはかなり外れることが多いわ」

『ふむ。まぁ通りだな』


ある意味で、地球上の常識から外れた存在である彼ら。

そんな彼らだからこそ、1つ1つの行いが大きな影響を持つ。


星は、ただそこにあるだけだ。

隠れること、隠すことはそこまで難しくない。


「それで?何が聞きたいの?」

『・・・俺にとっては大分前なんだが、ポヨネに肉体を与えたことがあったな?』

「あったわね。それがどうかしたの?」

『それを教えてほしい』

「・・・はい?」

「おかしい」

『そこまで変か?』

「変と言うか・・・その程度なら出来るでしょ?」

『出来る。ただ・・・」


同じ結果を出すことは出来るが、それまでの経過が違うことが恭輔は気に入らないのだ。

あの時女神が見せた、一瞬で肉体を与えた方法。

それを知りたいのだ。


『出来るだけ、一瞬で終わらせたくてな』

「まぁいいのだけれど・・・何に使うの?」

『・・・そうだな。贈り物かな?』

「贈り物?誰に?」

『まぁあれだ。俺の無茶にも関わってくるんだが・・・ずっと見守ってくれてた家族への恩返しでな』

「恩返し・・・」

『ああ。全部終わった後に・・・誰かが欠けてたら、俺泣くぞ』


未来の恭輔が、どこまで未来を見ているか。

もはやそれは、女神ですら理解できないくらいだ。

それだけ、これから先の未来が複雑だと言うことだ。


そんな中で、彼は自分のように誰かを気遣って嘘をいるのではない。本当に信じ切っているのだ。

今の時代の自分が、未来を変えると。


そんな彼に当てられたのだろう、女神は、その方法を教えることにした。

元から、拒否する理由もないのだから。


「いいわ。全部教えるのだわ・・・時間がないから、すぐに覚えてね?」

『上等。暗記科目は得意だったんでな』

















『「お姉様~」』

「うお!?ホンマにヨミが2人おる!?」

「あれ・・・ああ、見たことなかったか」

「マジでそっくり・・・いやそらそうやな」

『えっへん』

「どやぁ」

「そこは合わせろよ」

「あ、あははは・・・」


お昼の休憩もそこそこに、少しだけ散歩でもするかと思った矢先。

雪ちゃんがヨミを連れて遊びに来た。

まぁそのヨミは2匹いたんだけどな。


それならということで、散歩を取りやめて家に上がってもらうことに。

ニホリは今お茶の準備をしているからいないが、雪ちゃんを見たことは喜んでいた。


そしてそれ以上に、フミが未来のヨミを見て驚いていた。


「うえぇ・・・見た目おんなじやのに中身が別もんやんきもい・・・」

『それ罵倒ですよね!?』

「まぁここまで違うのかと私も少し引いてたり・・・」

『まさかの裏切り!?』

「・・・元気だなこいつ」

「家が明るくなって楽しいですよ?」

「まぁだろうね」


ただでさえ賑やかなヨミが増えているのだ。当然雰囲気はさらに明るくなるだろう。


「んで?何しに来たんだ今日は」

「挨拶ですよ?」

「挨拶?」

『決戦は明日!!ここは気合を入れなければと思った次第!!』

「なるほど・・・でも俺、お前らが何するか知らないんだけど」

「『・・・ハッ!!』」

「気が付いたなかったのか・・・というか、雪ちゃんいるんだけど」

「あ、大丈夫ですよ。ある程度は知ってますので」

「は・・・?教えてたのか!?」

「ええ。というか、私が調査に出回ってる関係で伝えないと心配かけちゃうますし」

「あ。ああ・・・それもそうか」


本来は秘密にしておかないといけないところだが、そういう事情なら仕方ない。

それに、あの口ぶりだと肝心なところは教えてないのだろう。

俺の事とか、フミの事とかな。後は、実は地球がヤバイとかも教えてないだろうな。

無駄に不安にさせる必要はないしな。


「でも未来の自分の事は言ったのか」

『いや教えたと言うか・・・』

「バレたんですよねぇ」

「はい?それ聞いてないぞ」

「いや。お仕事終わって帰ったら速攻でバレまして」

『おかしいですよね・・・雪ちゃんこの時からこんなでしたっけ?』

「・・・ちなみに雪ちゃん的には何かございます?」

「え?・・・ヨミが挙動不審だったので問い詰めたらポロリと」

「何してんだお前」


未来の自分を隠しながら家に帰ったらバレたらしい。

馬鹿やろうそう言うことなら俺に言え。


「こっそり庭に猫を増やしても怒られないって方法があるんだけどな?」

「そのあたり詳しく」

「・・・そんなことしてたんか恭輔」


い、今はやってないから(震え声

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