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513話

少し期間が空くと急に下手になるエイペックスあるある

「ただいま」

「ただいま皆~」

「うーうー♪」

「あらニホリちゃんただいまー!!」

「う”」


濁点着いてるぞニホリ。


フミと2人で部屋で微睡んでいたら、ここ最近では珍しく親父たちが揃って帰ってきた。

いやマジで珍しいな。どれくらいぶりだろうか。


「珍しいな」

「おう。今日はちょっと無理言ってな」

「おん・・・?」

「そろそろなんだろ?」

「・・・ああ」

「まぁそういうわけだ」


俺達の激励も兼ねて、速めに返って来てくれたのか。

花の開花は明後日だが、明日には既に動きがあるだろう。

そうなると、親父達はまた研究所に行かなければいけない。

ゆっくりと話すのなら、今日だけということか。


「でも、大丈夫なのか?」

「まぁなんとかな・・・」

「・・・?」

「奥で話そう」

「ん。ニホリ、母さんと風呂入ってきたらどうだ?」

「うー!!」

「あらあら~。じゃあ一緒に入っちゃおうかしら」


ニホリに頼んで、母さんに話が聞こえないようにしてもらう。

念のために、ポヨネにも結界を頼んでおこう。


「・・・よし。これで聞こえない」

「すまんな」

「これくらいならな・・・母さんに言ってないのか?」

「お前の事は、なんとなく気が付いてるみたいだけどな・・・問題は、別なんだ」

「あん?」


花が魔力を吸っている影響が、徐々に大きくなっているのは知っていた。

最近のニュースでは、異常気象・・・とまではいかないが何十年かに1度しか起きないようなことが頻発してるから、話題になっているくらいだ。


「まだ大きな問題はないと思ってたけど」

「まぁ今ならまだな・・・地球の温度が下がってきているそうだ」

「・・・は?」

「それだけじゃない。活火山なんかは全部活動が弱くなっている」

「・・・そういうことか」


魔力が吸われ続けるとどうなるか。それを俺は知らないまま・・・というか、興味がなかったんだけどさ。

答えがそれなのだろう。地球の寒冷化。

どんどんと地球が冷えていき、最終的には・・・


「生物の住める環境じゃなくなると」

「この状態が続けばな。流石に上には余さず報告せざる負えなかったが」

「まぁしゃーない」


隠してて親父の立場が悪くなるのは困るしな。


「んで?それを聞いて何て?」

「まぁどうしようもないことは伝えた。既にアメリカが軍を動かして失敗しているからな」

「俺の事は?」

「伝えてはないが・・・まぁ聞かれはしたな」

「もうここまで来れば答えてもいいんだけどな」

「だろうな・・・お前が対処するとはだけは答えた」

「OKOK・・・どっちにしろ負ける気はないし」

「・・・まったく気負わないのか」

「俺にとって大事なのはそこじゃないしな・・・あ、そういえばさ」

「相変わらず・・・うん?なんだ?」

「テレビであの花の事全く見ないんだけど、なんで?」

「ああそれか」


これに関しては予想通りだった。

国が・・・というか、世界全体であの花に関しては情報規制をしているらしい。

海上も封鎖して、可能な限り情報を漏らさないように細心の注意を払っているそうだ。

だが、このご時世でよくもまぁこんな完璧に出来るなとは思う。

テレビはおろか、ネットでも見ない。SNSでも欠片も情報がないレベルだ。


「まぁよくやるわな」

「それだけ、今回の事を重くとらえているってことだよ」

「世界全体がねぇ・・・いつもこれくらい結束してほしいけど」

「全くだな」

「はい。お茶入ったで~」

「うぇい。あざーす」


ここでフミが入れたお茶を飲んで一服・・・


「ハァ~・・・やっぱり家が落ち着くよなぁ」

「まぁだろうよ。流石にきついか」

「そりゃな!こんなに長い間あそこに詰め込むなんて普通ないぞ!?」

「ハッハッハ。研究してる時だって同じようなもんじゃんか」

「あれは好きでやってるからいいんだ」


ふむ。俺のそういうところは絶対に親父のこれからの遺伝だな間違いない。

改めて親父の顔をよく見ると、この一連の花の事件が始まる前に比べると明らかに老けた。

仕方ないことではあるんだけどな。忙しいし。好きなこともなかなか時間が取れずに出来ない。

俺に似てる・・・いや、俺が似たんだけど、親父にとっては地獄だろうな。


「母さんですら結構参ってるぞ」

「マジか」

「ああ、今日もほとんどみーちゃんを抱えながら仕事してたしな」

「・・・それは余裕があるのでは?」


というか研究所にいるんかいみーちゃん。


いやまぁ、仕事中に抱えてしまうほど疲れていると・・・そう言うことにしておこう。


「他の皆は?」

「ん~・・・まぁこういったことが好きな奴らしか集めてないから、最初は良かったんだがな」

「今は厳しいか」

「ああ。流石に自体が大きくなりすぎてるしな」

「まぁ身内で笑い話に出来るくらいがちょうどええやろなぁ」

「その通りだ。まぁ後数日の辛抱とは言ってあるんだがな」

「それ言っていいのか?」

「・・・一部の研究員はお前が何とかするって思っているからな」

「ああ、だから数日ね」


直接言わなくても、わかっているメンバーは俺が後数日で動くと思っているのだろう。

いや動くんですけど?期待に沿うかどうかは別ですよ。


「俺フミのこと以外考えない気なんだけどなぁ」

「安心しろ。それも織り込み済みだ」

「えぇ・・・」

「流石の面子やな」


フミはうんうんとうなずいているが・・・おかしいでしょ。

何、俺そっちでもそういう感じの評価なの?


「いや当然だろ・・・」

「マジか」

「というか母さんがお前の事言いふらしてるから基本的なことは知ってる」

「うぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」


何してくれてんだ母さん!?!?


「え、はな・・・何を!?」

「おお、大分混乱しとる」


そらするわ。


親父は大分・・・たーいぶ改まって・・・


「・・・まぁほぼ知ってることは全部じゃないか?」

「■■■!!」

「声になっとらんで恭輔~」

「地味に母さん。お前らが部屋でいちゃついてるの知ってるからなぁ」


なんでだ・・・なんで知ってるんですかお母様・・・

母親だからか、母親だからか!!!


「まぁそんなわけで、研究所の連中は大体お前がフミさんにべたぼれしてるのは知ってる」

「・・・」(チーン

「恭輔~」


尻尾やわらけ―・・・


「まぁだから、お前はそのままでいいと思うぞ」

「・・・言われんでもそうするわ」


ちくしょう全部終わった何か奢らせてやる・・・


「はぁ・・・まぁ元気そうならいいか」

「まぁ元気ではあるな。終わりも見えてるしな」

「へいへい・・・研究所的には、調査以外には何もしてないのか?」

「あー・・・一応お前が切り落とした根っこの調査はまだ続けてるぞ」

「あ、あれまだやってんのか」

「大事な資料だからな。色々分かったことも多いぞ」

「おお?」

「うちも気になる!」


ダンジョンのモンスターとも一線を画す存在である花。

流石のフミも気になるようだ。


まず1つに、花の吸収している物は魔力でなくてもいいそうだ。


「はい?」

「水も食べ物も、何でも吸収はしてるんだよ」

「ほえ~」

「まぁ魔力が一番効率がいいみたいなのは間違いないんだけどな」


何人かの冒険者に協力してもらい、魔力を与えた時が一番成長したそうだ。

それ以外でも、成長は確認出来たらしい。


そしてさらに、根っこが弱っていく様子も観測できたそうだ。


「当然なんだが、生きていればそれだけでエネルギーを消費する」

「当然だな」

「だから何も与えずに時間を掛ければ、とりあえず弱っていくのは分かった」

「何も?」

「酸素も含めてすべてだ」

「ヨミか」


真空状態を生み出す結界で閉じ込めたのだろう。さらに魔力を空にする奴もセットかな。

逆に言うと、それだけしないと弱ってこないってことだな。

厄介なことだ。搦め手が使えるとは思ってはないが面倒極まりない。


「まぁそれ自体はあちらかの提案で試したんだが」

「・・・ヨミから?」

「ああ。何でも試したいことがあるっていうのでな」

「・・・うん?」


何やら違和感を感じるな・・・


「・・・ヨミが自分から?そんなことすると思う?」

「・・・ないだろ。やりたいことってわけでもなさそうだし」


フミも違和感を覚えているようだ。

親父は何も感じていないようだが・・・なんだろう・・・ヨミにしては・・・うーん。

というか、自分が試したいだけならあいつ自分で根っこくらい用意するだろうしな。

ユニちゃんの角の時とかそうだったし。


「なんでそんなこと知りたがった?」

「なんや・・・実験ちゅうことをせん子やらかなぁ・・・」


そこなのだ。ヨミがわざわざ試したい・・・試したい?


「・・・そうか。結果は分かってたのか」

「おん?」

「ああいや・・・ある意味で実験なのかこれも」


ヨミの奴・・・それも未来のヨミだな?

あいつ、研究所の根っこで何が通用するか試したな?

恐らく結界もその2つだけではないだろう。もっと多くの、それこそ100に近い種類を一遍に試したはずだ。


花が弱るという結果だけど理解して、そこまでの近道を数で押し切って探したのだろう。

そして恐らく・・・成功している。


「・・・当日でそれをする気かあいつら」

「む~・・・恭輔教えて~」

「はいはい」


とりあえず、フミに説明するか。

親父は・・・まぁわかってなくてもいいか。

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