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510話

最近家のインコが外に出たがるので非常に大変です。

可愛いですけど

「フッ」

「クッソ!」


戦闘開始から、まだ大して時間は経ってないだろう。

だが、俺は結構余裕がなくなっている。


魔力を吸収しつつ、ニホリにそれを安定して送り続け、尚且つ人型と戦う。そして自分の体の調整

同時に4動作・・・それに、魔力を体内で増幅させての運用もまだ完璧じゃない。

だから人型の放つ魔法に対応できないことが出てきてしまう。


無属性の魔法・・・弾丸のように放たれた魔法が、土の壁を貫通してくる。

破られるのは分かっていたので、その前に回避は出来た。


魔力の量が少なすぎた。壁として機能しないのなら意味がない。


こんな風に、どこかしらの動作がダメになるのだ。

ニホリに送る魔力量が一定ではなかったり、使う魔法に量に見合わない魔力量になってしまったり。

吸収行為自体はまだ安定していると言えるが・・・これが続くと駄目だな。


それを人型も分かったのだろう。攻撃が止まった。


「中止」

「・・・まぁだよな。ふぅ」

「安定しない」

「わかってるよ」


理由も分かっている。

俺が俺に振り回されているのだ。

新しい要素を取り入れて、尚且つ上がった自分の身体能力の調整もする。

流石に俺のキャパを超えてきている。


まぁそれでも・・・


「昨日の方が強かった」

「だよなぁ・・・」

「う?」

「昨日の方が出力、成長幅共に優れていた」

「何も言い返せないねぇ」

「ワフ」

「慰めて」

「ワンー」(グイ


コロちゃんが甘やかしてくれません。


人型の言うことは何一つ間違っていない。

確かに昨日より俺は強くなっている。だけど、昨日の方がもっと振り回されてしかるべきだった。

だが、実際には今の方が扱いきれていない。

自分の上がった能力に、頭が付いていかない。昨日はあれだけ上がったのに問題なかったのだが。


「限界が近い?」

「・・・いや、伸びてはいるからなぁ」

「うーうー」

「意見に賛成。昨日との相違点を模索すべき」

「・・・うー」

「・・・それしかない」

「え?分かったの?」


ニホリがあっという間に分かったようだ。

そしてそれを聞いて人型も分かったようだが・・・なんだ?


「フミの不在」

「・・・はい?」

「うー」

「・・・フミがいないと弱くなるの俺?」

「クゥ」

「めぇ」

「!!」

「マジか」


明らかに集中力は落ちているそうだ。

え、マジか・・・そんなか。


外から見ていたしーちゃんたちですらそう言うのだ。

ってことは、本当にそうなのだろう。

でも、フミがいないだけで俺そんなに変わる物なのか?


「う」

「俺フミの事好きすぎない?」

「今更」


フミが見ていると、俺に気合が入るとかそういうことか。

あーうん・・・あれだな・・・恥ずかしい。


「呼んでくる」

「うーうー!」

「・・・いや待て」

「う?」

「何」

「呼ばないでやろう」

「理由は」

「当日はフミがいないからだよ」


そうなのだ。確かにその問題はフミがいれば問題は解決するのかもしれない。

だが、当日・・・明後日から始まると予測されている戦いではフミは近くにはいないのだ。

そうなると、当日でも今みたいになる可能性は高い。

それを放置するのは良くないだろう。可能ならば、今日の時点でその欠点を無くすべきだ。


「理解した」

「ああ。だからこのままで」

「別要因も考えられるので呼ぶ」

「う」

「えぇ・・・」


俺の言い分は一体何の意味が・・・?




















「んでうち呼ばれたんか」

「うーうー」

「ええってええって。家事もほとんど終わっとったし」

「う?」

「女神が手伝ってくれたんよ」

「本気でどれくらいぶり洗濯なんて・・・」

「出来た?」

「・・・洗濯機って便利ね」


洗濯出来たのかと、地味に失礼なことを考えていた人型。


さて、そんなわけでフミが呼ばれた。

その手には、サンドイッチが入った籠が持たれている。

恭輔の為にわざわざ作ってきたようだ。


「・・・」(ジー

「いやマジですまんな・・・」

「やからええって。むしろ呼ばれて嬉しいしな」

「そうか?」

「そうに決まっとるやん。恭輔がうちが見てるだけつよなるーなんて」

「集中出来てないみたいでね」

「うちの事好きすぎん~?」


そして、本当に彼は分かりやすい。

フミがこの場に来た途端に反応が変わった。


体内を巡る魔力が安定している。

先ほどまで、戦闘を行った影響で乱れていたそれが、あっという間に収まったのだ。

自然に収まったのではない。押さえつけたのだ。もはや本能的な物だろう。

彼女の前で、決して無様な姿を見せたくないという思いから来るものなのか。


「では、もう一度」

「ああ。あとでなフミ」

「待っとるで~」


非戦闘での、クオリティの上昇・・・それは戦闘時にもろに現れる。


「よっし・・・ん?なんか調子いいな」

「・・・始める」

「おう!」


本人も、調子の良さに気が付いたらしい。

あくまでも無意識に行っている行為が、ここにきて実感に変わったのだろう。

それでいい。まず第一の問題が解決した。これなら、本番でも問題ない。


それに、私が先に行うことも、無駄にならないだろう。

彼女の望みも叶えられる。


だが、今は目の前のことに集中すべきだろう。

人型は意識を切り替える。


前で、恭輔の準備が終わった。

その時点で先ほど戦っている時よりはるかに隙が無い。

・・・少し露骨すぎはしないか。


「ん」

「ほれ」


ただの魔力球を放つが、簡単に相殺された。

それどころか、鉄の槍は止まることなくこちらに向かって進んで来ている。

威力が先ほどとは段違いだ。


向かってくる鉄の槍を躱して上から手刀を叩き込んで折る。

恐らく放置すると厄介なことになる。


「勘がいいことで」

「当然」


今度は上空から柱が振ってくる。

止められるが・・・魔法戦に付き合うべきだろう。

ビームで柱を消滅させ、そのまま恭輔に振り下ろす。


すると、今度は両手に雷と炎を生み出して圧縮。

大剣の形にしたそれでビームを切り裂き始めた。

・・・やはり露骨すぎでは?

かなり攻撃的に放ったはずなのだが。


・・・検証が必要。


「上げていく」

「ハッハッハ。マジか俺!ここまでか!!」

「・・・」


自分でも確信したらしい。

調子が良いと言うのは、感覚の話ではない。

この調子では、近接戦闘でも同じようなことが起きているだろう。

・・・理由は不明だが。















「フフフフフフ」

「どうしたんですそんな笑って」

「いやぁ~?恭輔ちゃん男の子だなぁって」

「???当然では?」

「も~そうじゃないわよ」

「何がです?」

「フミちゃん分かる?」

「・・・あかん顔赤なってきた」

「あらら~」


恭輔が、フミがいると強くなるのはものすごく単純な理由だ。

これ以上なく簡潔で、アホみたいな話だが・・・


「好きな子の前でかっこつけないものね~」

「・・・あー」

「///」


苦戦とか、そんなところは見せられない。

そんな感情が、恭輔を急激に成長させるのはそれだけなのだ。


というか、前からそうだった。

確かに人型は、恭輔を成長させる点では欠かすことのできない存在だろう。

だが、そもそも強くなろうと思う理由はフミなのだ。

『昇華』も『真化』も、そんな思いがあったからこその力だ。


「無意識だったのが、それを認めたことでさらに進歩するのだわ~」

「ハァ~・・・何て言いますか。らしいと言いますか」

『いやぁ。そういうところはあんまり変わってないですよねあの人~」

「あら?・・・いつのまに」

『オハロ―ポヨネ。様子見に来ましたよ・・・まぁ必要なさそうでしたけど』

「恭輔ちゃん。今が最高潮だものね」

『ええ。何か合ったら、色々補助を~とか思ってましたけど・・・帰ろうかな』

「萎えるの早くないですか?」

「う?」

『それは貰います』

「それに、まだ帰っちゃ困るのだわ」

『おや?女神様に言われるとは・・・何かありました?』

「・・・聞くんだあれ」

「私の将来の婚約者について・・・」

『あ、未来の事は黙ってないと不味いので』

「今更それを言うの!?!?」

「・・・うー」


肩の力がどっと抜けるニホリであった。

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