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507話

そろそろ防寒着増やそうと決意。ただひっぱりだすのが面倒なんです・・・

「・・・割と出来るな」

「当然」

「なんでだ?」

「似たようなことは、既に行っている」

「はい?」


吸収行為自体は当然ないが、周囲の物に自分の魔力を通すってこと自体は俺の経験は豊富らしい。

なんでも、『土魔法』がそもそもそういう性質を持っているそうだ。


「あれが?」

「あれだけなん?」

「他のでも、条件により可能」


なんでも、周囲の環境を利用して魔法を使う場合に限るそうだ。


うんうん。

確かにその通りだろう。俺もダンジョンの中の地形を利用する場合は地面に魔力を浸透させている。

それで魔力がちゃんと浸透しきった範囲の大地に干渉。形を変えたり、そのままぶつけたりって風に使っている。

これが、魔力で汚染するっていうことらしい。


『土魔法』系統以外でも、本来ならありとあらゆる魔法でこれが出来るそうだ。

だが、他の魔法では周囲にある物を利用するより自分で生み出した方が早いからな、成長しずらいらしい。

まぁ周囲に氷があるって・・・なかなかないパターンだよな。


確かにそう説明されると、その通りだなって思う感覚はある。

魔力の方がやりにくいとは感じるが、それでも根本的な部分は同じだ。


「抵抗感は、魔力の質次第ってそういうことか」

「魔力は魔力で抵抗する・・・まぁ当然やな」

「抵抗感をなくすことは可能か?」

「可能。効率的ではない」

「まぁだろうな」


フミの場合、一々フミが魔力を放出して色を変えるって形になる。

これだと1工程多くなるから、効率的には良くないわな。

それやるくらいなら、別の方法を考えた方がいいだろう。


時間にして10分ほど、フミと手を繋いで感覚を掴んだ。

人型的にも合格点のようだ。

次の工程に移る。


「今度は吸収」

「おう。やり方は自分の魔力を戻すのでいいんだよな?」

「肯定。時間はかからない」


まぁそれは俺も出来るしな。

フミが出してくれた魔力・・・今は俺の魔力によって変質しているそれを、俺が出した魔力ごと引っ張って体の中に・・・


「おお・・・」

「どうなん?」

「なんかこう・・・変な感じ」

「わかる」


フミが俺の中にいるみたいだこれ・・・いや、俺の中にフミを感じるってのが近いな。

悪くない気分だが、ちょっと違和感あるな。


「少しなら問題ない」

「まぁそうか・・・うん?」


人型の話だと、俺の中に俺の物として取り込んだとしても所詮は他人の魔力。

使い勝手が違うから、自分の魔力と比べると使いにくいって話だった。


だが、今軽く操作したところそんな感覚はない。

使いにくさなんて・・・むしろいつもより調子いいくらいだぞ?

てか、もう前から知っていたかのような感じすら・・・


「???・・・まぁいい」

「使えるんなら文句はないわな」

「なんか・・・照れるわ///」


ん~・・・こういう時は、大体『テイム』のせいなんだが、今は俺自身の力もあるしな。

俺がテイムしている子なら、違和感なく扱えるとかだったらそれはそれで面白そうだけど。


「ちょっと動く」

「分かった。フミ」

「はいな~」


フミが尻尾の毛を1本抜いて息を吹きかける。

宙を舞う毛は、少しだけ浮遊するとフミの姿に変化する。


・・・それをやるのは猿では?


「この子ならちょうどええやろ」

「完成度6割。十分」

「そんなことわかるん?」

「『鑑定』に近いものを所持している」」

「ほえ~」


まぁ持っててもおかしくないわな。


フミ(分身)が、俺から少し離れる。

俺も人型達から離れて構える。


魔力移動と吸収・・・この2つを行いながら戦うというわけだ。

いきなりフミ本人や人型とやるのはあれだしな。

分身変化体・・・それも劣化コピーなら肩慣らしにはちょうどいいってわけだ。


「ふぅー・・・」

「いくで~!!」

「・・・来い!」


魔力で全身を満たす。それと同時に放出を行い、空気中に存在している魔力を全て俺の支配下に置く。

それは一瞬で終わったが、フミも速い。

俺がそれらの動作を行った時には、既に俺に拳が届く位置にいた。


流石フミだ。劣化コピーとは言え、ここまでか・・・あいつやっぱりまだ何か隠してるな?


フミの右の正拳突きを、魔力を増幅させた右腕で受け止める。

次に目の魔力を増やす。

すると、フミの動きがゆっくりになる。

へぇ。思い付きだったが、目に回すとこうなるのか。


フミが右足に力を・・・魔力が増えている。

だけどそれはフェイント・・・左腕が本命か。

受け止めた拳を払い、その場で一回転してフミを蹴り飛ばす。

俺の蹴りの動きを見たフミが、振り上げていた左腕を戻してガード。

体は後ろに下がるが、ダメージはないな。


「ってあれ?」

「ん?どしたん?」


フミ(分身)が声をかけてくる。

目の魔力を増やしていたはずだが、無くなった?

・・・ああ、集中力が切れたか。


「なんで今魔力が変に動いたん?」

「集中力と慣れの不足」

「ほう。ああなるんか」

「部位によって、魔力を扱いやすい場所は変わる」

「目とかはやりにくいん?」

「自分が今まで使っていた部位による」

「ああ、なら恭輔は使いにくいわな」


ふむ。目はあまりやらない方がいいかな。途中で切れたら、速度の違いに戸惑いそうだ。


「すまんすまん。もう大丈夫だ」

「お。ならまた行くで~!!」


さて、出来るだけ試すか。














人型の視点から見て、恭輔の成長速度はやはり異常だ。

慣れている行為の範疇であるとは言え、こうも速く出来る物かと。


「うわ。もう性能的にあれが限界やな」

「・・・早い」


最初は、分身体も恭輔もゆっくりと動きを合わせていた。


だが、拳を交わす度、攻守が入れ替わる度に速度が上がっていく。

すでに、普通に戦っているのと同じほどだろうか。

恭輔は気が付いていないだろうが、魔力が増えている部分が多い。

ただ殴る時も、拳だけでなく各関節部にも魔力があるのが見える。


一撃の威力が、すでに分身体の受けられる限界を超えそうだ。


「あらあかんわ。そろそろ消えるで」

「・・・なら」

「お、行くんか?」

「速度を見誤った。消して」

「はいなぁ」


恭輔の拳が、フミ(分身体)の顔を捉える・・・その直前に消える。

対象を失った恭輔は、体勢を少し崩すがすぐに戻る。


「おっと・・・ああ、相手してくれる感じ?」

「肯定・・・少し上げていく」

「上等上等・・・今マジで調子いいぞ俺」

「知っている」


フミの魔力を自分に取り込んだ瞬間から、明らかに恭輔の性能が上がった。

数値だけで見れる能力ももちろん、それ以外の部分でもだ。

ただ魔力を吸収しただけでは、本来こんなことは起きないが・・・この程度のことならまだ想定内だ。


この人間なら、その程度は起こすだろうというのは知っている。

すでに聞いたことのある話だ。


「最初は肉弾戦。その後に魔法戦を行う」

「・・・さすがに殴り合いは俺に有利すぎないか?リーチの差が大きいだろう」

「問題ない」


その場で自分の肉体を変化させる。

自分がこの肉体のサイズだったのは、女神の趣味だ。

戦いにおいて、この形状が不利であることは承知の上だ。


凡そ20代前半の女性の肉体を形作る。

胸部に大きい物を持つと、動きが阻害されるので削ぐ。


「・・・これで五分」

「・・・お前も大概なんでもありだよな」

「あなたに言われたくない」

「ハハ・・・まぁ、それじゃ・・・」

「「勝負」」


2人がぶつかり合った衝撃で、周囲の物が吹き飛んだ。










「・・・いや、訓練やないんかい」


フミの呟きは、誰にも聞こえない。

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