506話
後2週間くらいやすみたい・・・前にも同じこと言ったような気がします
女神がコロちゃん達の様子を見に行って、ついでにニホリ達もそちらに付いていった。何やらやることがあるみたいだった。
そして俺は、さっそく人型と・・・戦いません。
人型的には、俺がもっと魔力の操作に慣れてからにしたいそうだ。
まぁ確かに。今のままだと短期決戦は出来るけど、長い間は戦えない。
「それは駄目」
「まぁ確かに」
「言われてみればそうやな」
花との戦いが、短期で終わる・・・わけないのだ。
最低でも1時間・・・いや、2時間以上は戦い続けることを想定しないといけない。
なのに俺が魔力を集中して動かせるのは、さっきの方法だと1時間。
実際に戦いになると、もっと短くなることを考えると頼りないと言える。
「でも、そんなにすぐに時間伸びるのか?」
「問題ない」
魔力の操作は、筋肉の様に使えば使うほど上達するが、あくまでも動かすだけだからコツさえつかめばすぐに伸びるそうだ。
やり方を知るのが1番難しく、その上で繰り返し行うのが厳しいので、普通の人では時間が掛かるってことらしい。
俺なら、どんなに遅くても今日中には2時間くらいまでは出来るようになる見込みなんだとか。
ふむ。そこまで言われたなら、やるだけやってみようか。
「というかやらないという選択肢はないんやない?」
「まぁそうだな。さっきと同じようにやればいいのか?」
「・・・いいや」
「お?」
「追加で増やす」
「・・・やることを?」
「肯定」
マジか・・・いや、出来る・・・かな?物によるな。
集中力って点では、まぁさっきの動かし方なら他の事も出来るだろう。
あんまり肉体に負担がかかると、操作可能時間がもっと短くなりそうだけど。
「何をするんだ?」
「外部の魔力を吸収する」
「・・・はい?」
何言ってんだマジで。
なんでも、人型が長い間戦える理由はそこにあるらしい。
理論上それが出来れば、無限に戦えるようになるそう・・・ってそらそうでしょうね。
だが、これも外部から異物を取り込むのに等しい行為であることから、負担は大きいらしい。
人型の様に、最初からそういうことを想定されているのなら話は別だそうだ。
「・・・それ俺出来ないんじゃないの?」
「問題ない」
俺の許容量なら、吸収する量を間違えなければ問題ないそうだ。
要するに、使用量と吸収量が丁度よければ問題ないそうだ。
これは、地球の力を取り込んだ時の暴走にも言えることだそうだ。
まぁあれは使う暇がないくらい一瞬で暴走しちゃうから、あんまり意味ないみたいだが。
「使えるのはわかった。どうやって吸収するんだ?」
問題はそこだ。
空気中にある魔力自体は感知できる。
だけど、それを吸収ってなんだよ。触っても反応なしだし、そもそも吸収って行為自体は俺も考えたことがある。
色々試したが・・・全く出来なかった。
「吸収というのは、例えの話」
「実際は違うのか」
「正確には汚染」
「言い方悪」
自分の魔力を周囲にまき散らして、それにより空気中の魔力の色を変える。
自分の魔力の色にした空気中の魔力を、まき散らした魔力を回収するのと同時に巻き込んで体に戻す。
これを吸収と呼んでいるそうだ。
異物が入ると不味いなら、異物ではなくせばいいらしい。
完全に自分の物に出来ているわけではないから、負担はそれなりに出る・・・そういうことらしい。
それにしても、自分から一度放出が必要なのか。
それは考えたことなかった。吸収だから自分の方に引き寄せることだけを考えていたし。
フミも話を聞いて、なるほど納得がいったようだ。
今早速試してるみたいだ。
「・・・ああ、出来たわ」
「はっや」
「いや。やってることは難しくないんよ・・・ただ、これ使うん難しいわ」
「難しい?」
「体に戻したばかりやから、操作しにくいんよ」
「再三言う。自分の物ではないから」
「なるほど・・・」
使い勝手が変わるってことでいいのかな。
いきなり自分の物以外の魔力を動かすというのは、そら難しいだろう。
魔力は人それぞれ、モンスターそれぞれだからな。
性質も感覚も全部違う。色だって違うくらいなんだから、そら使い勝手も違うわな。
「練習方法は?」
「ん」
「・・・ん?」
「繋ぐ」
「ああはい」
言われるがままに人型と手を繋ぐ。
「今から少しだけ出す。変えて」
「ああ、そういうことね」
人型の出す魔力を、俺の魔力で色を変えてみろってことだそうだ。
色っていうのはあくまで例えだが。
人型の実際の魔力の色は無色透明。
だからこそ、俺の魔力で色を変えた時にわかりやすいってことだな。
目で魔力を確認して、俺も魔力を出す。
すると、すぐに色が変わって・・・ない。
「おん?」
「あれ?」
「魔力の質と相性でも変わる速度は変わる」
「先に言お?」
「ごめんなさい」
「いいでしょう」
魔力の質は、ひたすら魔力を使うってこと以外には成長しないらしい。
俺と人型は、そのあたりの差がわかりやすい。人型の方がそういう面では上なのだ。
だから、俺の魔力では色を変えにくい。
「じゃあどうするんだ?」
「・・・任せた」
「え?うち??」
なるほどフミか・・・それでも俺の方がダメそうだけど。
「私より近い」
「まぁせやろなぁ」
「じゃあやるか」
「よっしゃ。任せ時」
「・・・見学」
手を離して、俺とフミの横にちょこんと座る人型。
相変わらず無表情だけど、なんとなく(´・ω・`)って顔してる。
「・・・手は繋ぐものか?」
「その方がわかりやすい」
「そ、そうなんか・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・??速く」
「あ、ああ」
「せ、せやな」
・・・いや、そうだな。繋ぐんだよな・・・
「・・・何してる?」
「ああいや・・・な?」
「あんまりこうやって手つないだことないなぁと・・・」
「・・・早く」
分かる。分かるぞ。今呆れられてるのが分かる。
そうなのだ。俺とフミは、実は手を繋いだことってあんまりない。
やることはやっているし、キスだってする。
だけど、手を繋いだ経験が異常にない。
これは、デートに行くときはお互いに全力で走った方が早いとか、行くとこが秘境だったりダンジョンだったり。
後ニホリがいることも多いって言うのもある。
何を今さら恥ずかしがってんだって思うかもしれないが、こうやって改めてってなるとすっごく恥ずかしい!!
フミも恥ずかしいみたいで、顔を少し赤くしてもじもじしている。
ただ、手は繋ぎたいのか宙を舞って、こちらに伸ばしたり戻したりしている。
かくいう俺も、同じ動きをしているだろう。
そんな俺達を見て、人型が明らかに呆れている。
何かニホリに反応が似てるけど、これはあれか、中にいるニホリの影響だったりするのか。
「早く」
「「あ」」
いい加減にしろと言うことだろう。
俺達の手を人型が掴んで無理やり繋がせた。
あーうん・・・フミの手って温かいな。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・早くして」
手を繋いで見つめあう俺達に、流石に疲れたのか肩をがっくりと落とした人型が呟くように言った。
ああうん・・・もうちょっとだけいい?
「何あれ何あれ・・・ラブコメ。ラブコメなのだわ」
「うーうー」
「何で隠れてるんです?」
「今あの雰囲気は邪魔しちゃだめよ!!・・・あーあー。私も彼氏・・・いいえ、夫が欲しいのだわ」
「終わったら恭輔さんに男性を紹介してもらえるんですから頑張ってくださいよ」
「当然なのだわ!絶対に恭輔ちゃんには勝っててもらわなくっちゃ」
「・・・あれ。もしかして協力理由それ?」
「うー・・・」
「あーでも、未来では確か・・・」
「え!?私結構出来るの!!!」
「・・・未来の私から軽く聞いただけなんで知らないです」
「明らかに知ってる顔だったわよ!?!?」
「うー・・・」
これが私の生みの親かと、人型みたいに肩をがっくりと落としてニホリがぼやいた。
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