499話
年末休暇が長くなるとかなんとか。
どうなるのでしょうね
「うーうー」
「はいおそまつさまでした。寝る?」
「・・・うー」
よっぽど眠いのか、朝ごはんを食べたらまた部屋に戻ってしてしまった。
うーん。本当に何してたのやら。
まぁニホリがこうだと少なくとも午前中は寝てるだろうな。
そうなると、家事は俺たちがやらないといけないわけで。
ニホリがああだと、フミが張り切るからそこは心配してないけどさ。
ただそうなると俺も手伝った方がいいよなって思うんだよ。当然だよな?でもな??
「いや恭輔は休んどき」
「何故に」
「今日休日やん。後」
「後?」
「うちの家事能力向上の為にもやらせて?」
ということで何も出来ないのですはい。
気にしてるってわけじゃないが、フミは母さんと比べて家事出来ないって思ってるからな。
恭輔の嫁としてそらあかんやろってことらしい。
前は手伝うくらいは良かったんだがなぁ・・・まぁ何か意識が変わったのだろう。
「んなわけで暇なんだよね」
「」(ボクモー
そういう日は、ロラちゃんを捕まえて日向ぼっこに限る。
他の子も捕まえようとしたんだけど、何か逃げられたし。
今日は普通に休むって決めた日だから、皆も当然休みなんだけどな?
コロちゃんがやっていること・・・その訓練内容はほぼ動かずに唯々集中するってだけ。
体力使ってないんだから朝はいいだろ!って、休みの日でも同じことをしているのだ。
なんでも、一日やらないと感覚が鈍るとかなんとか。
だから今に限っては、コロちゃん達を捕まえられないのだ。
ロラちゃんがいる理由はコロちゃんに差し出されたからですはい。代わりにこいつでって。
「プラーンされてるのに反応なしでいいの?」
「」(ファ
「楽なのかあれ・・・」
いやまぁ・・・猫も子供の首を噛んで運ぶし、それと一緒なのか・・・?
ぼーっと空を眺める。
普通に12月も終わりが近づいている。順調にいけば、年越しをして、皆で初詣・・・俺達はあの神に祈っとけばいいのか?
まぁそうやって普通に過ごすのだろう。
「・・・ガラでもないこと考えたな」
「」(コテン?
アリもしないことを考えてしまった。
もしダンジョンがなかったら・・・なんてのはどうでもいい話だ。
「なんでもないよ・・・お?」
「お久」
「おお、本当に珍しい奴が来たな」
知ってる気配が出てきたと思ったら、人型だった。
まだ花とやりあってるものかと思ったが・・・
「どうかしたのか?何やら忙しいみたいだったけど」
「大丈夫。負けた」
「ああそうなのか・・・うん?負けた?」
「負けた」
「完全に乗っ取られたのだわ!!」
「」(ワ!?
何やら隈がひどいことになっている女神までやってきた。
さらに負けたって・・・もしかして。
「地球の権限・・・というか、一番力のある部分持ってかれたのだわ!!」
「何自慢げに言ってんんだお前!?」
胸を張るな胸を。
「いやぶっちゃけどうしようもなかったのだわ。最後とか抵抗も出来なかったし」
「力負け」
「あーまぁそこはいいんだけどな。想定してたし」
「それはそれで悲しいのだわ・・・」
「情緒不安定かお前」
テンション上がったり落ち込んだり、何だこいつ・・・ああ、そりゃそうか。
女神にとってしてみれば、それは自分が長い間守ってきた場所で、愛着もあるのだろう。
それがポッとでのよくわからん花に奪われたんだから、そらそうなるか。
この様子だと、あんまり質問しない方がいいかな。
人型に聞こう。
「お前らが負けて、何か影響があるか?」
「・・・ないはず」
「ん?ないのか?」
「・・・まぁ恭輔ちゃんの言う通り、私たちの負けはある意味で当然でわかってたことだしね」
「あー・・・もしかして年末って」
「これ込みの時間でしょうね。ここから一気に成長が進むわ」
「マジかよ」
なるほど。通りでって感じかな。
今まで、言われていた日が近づいても全く変化がなかったから少し変だとは思っていたのだ。
花が魔力を吸収しているのなら、何かしら地球に影響があるはずだと。
何もなかった理由は、女神たちが頑張っていたからってのが理由だったのだろう。
地球のどこかで、大事な部分を守り続けていたらこそ最低限の被害で済んでいたのだ。
そして、そこの勝負で負けたから、一気に状況が進む。
恐らく花にも変化が現れるだろう。
「地球は大丈夫なのか?」
「問題ないのだわ・・・多分ね」
「多分て」
「正直わからないの。あの化け物が、地球を壊さないとは限らないし」
「一応考えにくいことではあるのか?」
「そうね。あれにとっても、地球がないと困るのは同じはずだしね」
「まぁ地球上で生きてるならそうか」
考えられるのは、細く長く吸い続けるのがやつにとってのベストだろう。
それに、完全に開花したならば魔力を吸い取る必要もないはずだしな。
そこまでは、どうしても被害が出てくる・・・ああ、ダメか。あれが寄生型なら、成長しきっても自分の体の維持のために魔力を奪い続けるだろう。
「壊れたり、何か致命的なことは起きないけど・・・それは、地球にとっての話なのだわ」
「人間・・・というか、あの花以外の生物にとっては大迷惑だな」
「ええ。最悪絶滅って可能性も捨てきれないわ」
「・・・今何か出来ることはないのか?」
「一応、ダンジョンの稼働は全部止めてきたのだわ。今はモンスターを倒しても補充されない状態なの」
ダンジョンが地球の魔力を使って運用されている関係上、それは仕方のないことだろう。
少しでも魔力を持たせておいた方がいいはずだ。
ところで、さっきから人型は何をキョロキョロしてるんだ?
「・・ニホリは?」
「ニホリ?寝てるよ。昨日の夜に何かやってたみたいでな」
「・・・そう」
「・・・気になるのか」
「・・・肯定」
「・・・うーん。やっぱりわからないわね」
「何が?」
「ううん、こっちの話なのだわ」
「・・・ああそういうことか。フミ!」
リビングに気配のあったフミを呼ぶ。恐らく洗濯物を乾かすための準備をしているはずだからすぐ来れると思うが・・・ああ、来たな。
「どしたん?あら、お客様やん!」
「そういうこと。人型に何かお菓子あげて」
「ほいほーい。おいで~」
「・・・お邪魔します」
フミに人型を連れて家の中に入ってもらった。これで、人型と女神を離せたな。
「これでいいか?」
「うん。ありがとね・・・よくわかったわね」
「なんとなくな。言いずらいことなんだろってのはわかった」
明らかに違和感のある笑みを浮かべられたら気が付くっての。
・・・恐らく、人型のニホリの。いや、未来のニホリの事だろう。
「分からないってのは、人型の中にいるかどうかってことか?」
「うーん・・・いるのは間違いないと思うの。ただ、妙に反応が似てるというのがちょっとね」
「似ている?」
「未来のあの子が、恐らく自分の代わりにニホリちゃんをこの時代に送り込んだのは正しいと思うのね?」
「それはそうだろうな。そこは俺も未来の俺も確信してるし」
「反応が似ているっていうのは、感じる力の波長のことなの」
「波長?」
「生物には、それぞれ持った力の種類があるの。それは決して同じ物は存在しないの」
「それが似ているってことか。うん?似ているだけならいいんじゃないか?」
「今のニホリちゃんと、あの子は全然違う波長なのに?」
「・・・それは、」
「恐らく、未来のあの子はニホリちゃんに自分の力を全部与えているのだわ・・・だから見分けがつかないくらいに似ているの」
「全部って・・・そんなこと出来るのか?」
「ニホリちゃんだから・・・ってことなのでしょうね」
「ニホリだから・・・?」
「ええ、あの子は良くも悪くも受け取ることと渡すことに特化している子になっているから」
受け取ることと渡すことに特化・・・
受け取るのは、俺の魔力とかそう言うことだろう。だが、渡す・・・いや、与える?
「『幸運』と『強化』か」
「ええ。スキルは、ああいう子には強く影響を与えるからね」
そうか、だから人型の力を受け取ったってことか。
「・・・待て。それじゃあ」
「ええ、恐らくだけど。未来のあの子が送ったんじゃなくて、未来のあの子から貰った力でこの時代に来たのだと思うのだわ」
「・・・そういうことか」
まぁ妙だとは思ってた。
何故人型とニホリは一緒にこの時代に来なかったのかと。
来なかったのではなく。来れなかったのだ。
問題は、なんで来れなかったのかということだが。
「確か、未来ではニホリちゃんは動かなくなっているのよね?」
「ああ。らしいけど」
「・・・うん。そうね。それなら動けなくなるわ」
「はい?何かわかったのか?」
「多分だけど・・・聞く?」
「聞く」
女神は、自分の考えを教えてくれた。
先ずニホリは無条件に俺の持つ力の一部を受け取っていると言うこと。
これは、魔力のラインと『テイム』のラインが2重になっているから起きていることらしい。
だから、俺の持つ力が増えれば、ニホリに流れる力も増える。
未来で俺の力が増大したことは・・・ある。
「暴走したな」
「多分。その時にニホリちゃんの許容量を超えてしまったのだと思うの」
「・・・パンクしたってことか」
「多分だけどね?それを修復するために、あの子は自分のすべてを渡したのだと思うの」
「・・・また俺が原因かよ」
だから、一緒に来れなかった・・・
「いいえ?一緒に来てはいるのよ?」
「はい?」
「言ったでしょ。自分のすべてを渡したって」
「・・・魂事?」
「そうじゃないとあそこまで似てるなんてならないのよ?」
「いや俺は見れないし」
「・・・え、まだ見れてないの?」
「見れるの!?」
そんな軽く見れるような物なのかそれは!?
「え、待って。ってことは今の人型は・・・」
「本人と未来のあの子、そしてニホリちゃんの3人と同居しているようなものね」
「それはそれで大丈夫なのか?」
「問題があったら私が気が付くし。問題ないのだわ。元から器は大きく作ってあるしね」
ああうんそうですか・・・。
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