497話
髪切り行きたいんですけど休日は休みたいジレンマ
結局あんな感じの戦い方あんまり意味ないのでやめました。
基本的にフミがずっと攻撃。俺が防御って形にした。
これなら俺が一方的に攻撃をさばき続けるだけって方法が取れる。
ただ、明らかな隙を見つけたら咎める。その時点で反撃はOKだ。
そうじゃないと訓練にならないしな。
ただこればっかりやってるわけにもいかない。
コロちゃんがニホリとポヨネを連れてどっか行っちゃったから、審判不在になったし。
他の空いてる子いないかなーとか思って、ロラちゃんしかいねぇ。
「」(スリスリ
「ふわふわやなぁロラちゃんは~」
まぁかれこれ3時間くらいぶっ続けてやってたから、休憩もいいだろうってことで休憩することに。
幸いニホリの準備した飲み物とかが入った保冷バッグは置いてあるから、そこから適当に取って涼みますか。
「メェ~」
「ん。しーちゃん・・・じゃなくて羊ちゃん達じゃんどうした?」
フミにロラちゃん取られて1人で休んでたら、この階層の住人羊ちゃん達が数匹やってきた。
なんだなんだ。俺たちの暴れた後はちゃんと戻したから・・・他の子が暴れたか?
「メェ」(フルフル
「あら違うの?あ、遊びたいと?」
ロラちゃん取られたからバッチ来いなんですけど。
と思ったの違うらしい。(´・ω・`)
なんでも、応援だそうだ。
「応援?」
「メェ」
「ああ・・・しーちゃんから聞いたのね」
「メェ!」
「・・・ハッハ。当たり前だよ。またちゃんと会いに来るって」
負けてやる気は一切ないのだ。
それでも、応援はめっちゃうれしい・・・おや?
「・・・メェ?」
「あ、お前ら侵入者って分かるのかやっぱり」
ダンジョン22層に誰か入ってきた・・・というか、上がって来たみたいだ。
知ってる魔力・・・直接あうのは久しぶりだなこいつらも。
「ガウガウ」
「ピキ!」
「久しぶりだなお前らも!」
緑の狼に、赤いスライム。
それぞれダンジョン内で出会った好戦的でなかったモンスター達だ。
片や特殊な個体。片や色々あって服従された子。
下の階層から来たようだが・・・まさか目的は
「応援?」
そう聞くと、2匹ともめっちゃ首・・・片方首ないけど、とりあえず肯定を示してくれた。
彼らの実力なら、上がってくるのにさほど苦労はしないだろうが・・・それでも時間はかかるだろう。
本当に、よく来てくれたものだ。
「なんだなんだお前ら~。誰に聞いたんだ?」
「ガウ」
「ねっさん?ああ、分身達かな」
ダンジョン内を埋めてた時があったなそういえば・・・え、この子らのいる階層まで行ってたのかマジか。
「それで応援・・・いい子だなお前らも~・・・あ、赤ちゃんはなんか食べる?」
「」(プルプル
全身を震わせて食べたがってるので、ちょうど持ってたアイスを投げ込む。
この子の酸の強さだと、ワンチャン俺でも溶けかねないからな・・・すらっぴと違って、その点だけに特化させたみたいだからマジであぶねぇ。
事実、今投げ入れたアイスがみるみるうちに溶けていく。
これはこれでおもしろ映像なんだよな・・・ああ、喜んでる。
「終わったら、また持ってってやるよ」
「ピュ!」
「ガウ!」
「わかってるって、今度はシュルちゃんも一緒だよ」
緑狼・・・この子らは精霊の1種なのだ。
だから、風の力の強いシュルちゃんをものすごく尊敬している。
そういう点では、フィニちゃんと気があいそうだな。
今はハクコちゃんと何かやってるみたいで、来る気配がないんだけど。
「それにしても・・・応援・・・いいねぇ」
「ガウ?」
「ああいや他の人にも言われたけどさ」
こう・・・ダンジョンで会ったテイムしていない子達も応援されるのが良いって言うかなんて言うか。
「昔は、こんな力いらねぇとか思ってたけど・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「今は良かったって思えてるよ」
家族以外にも。俺の勝ちを望んでくれている子はいるのだ。
また、負けられない理由が増えたなぁ。
家に帰ったのは既に夕方。
割と長い時間中に入っていたみたいだ。それだけ集中出来ていたってことだな。
「ただいま~」
誰もいないだろうと思って、庭からふらーっと入ってみると。
「お。帰って来たわね」
「あれ姉ちゃん。お帰り」
「ただいまー・・って逆ねこれ」
「まぁいいでしょ。んで?クソ忙しそうなこの時期にどうしたの」
「年末近いから休暇よ休暇」
「ん?いいのか?」
「全く何も分からない・・・ってわけじゃないけど、大体私たちが調べられそうなデータは集まったしね」
「つまり結果待ちと」
「そういうことよ」
なるほど、それなら納得だな。
姉ちゃん・・・というか、俺以外の冒険者たちはずっとダンジョン内の異変を調査してたらしい。
俺はそっちに気を割くほどの余裕はないからな。
俺がいない分。かなり忙しくなっているみたいだな。くたびれている姉ちゃんを見るとそう思う。
「あんたは大丈夫なの?」
「ん?何が?」
「しらばっくれるんじゃないわよ・・・いつ戦うの?」
「・・・後1週間もないかな」
「だろうと思ったわ」
姉ちゃんには・・・というか、俺があの花と戦うことを知っているのは親父と母さん。後は国の偉い人だけだ。
それ以外の人には、俺が何をするか、何をしているかは秘密になっている。
表向きには、ダンジョン内の深い所にいるってことになっている。
だから、姉ちゃんも知らない・・・と思ったんだが、いつバレた。
「姉の勘よ」
「恐ろしい物搭載してんなおい」
「当然でしょ」
「当然なのか・・・」
「うー?・・・うーうー!!」
「あら?お義姉さんお久~」
「ニホリちゃんフミさん久しぶり~!!」
姉の勘・・・理不尽極まりないな。
花の事を聞いただけで、俺のことまで分かるんだからマジでどうなってんだか。
遅れて家に入ってきたニホリとフミとキャッキャしている姉ちゃん。
その内心は・・・まぁ考えんでも分かるわな。
「悪いなぁとは思ってるよ」
「ん~?何か言った~?」
「うーうー」
「何でもないわ・・・今日は泊まってくのか?」
「そのつもりよ。てか、年明けまではいるわよ」
「げっ。マジで年末休暇かよ」
「いいじゃないね~。どうせ家帰っても1人だし。だったらおいしいご飯も出るここに来るわよ」
「いい加減彼氏作れよ・・・」
「いい人いないのよネー・・・ニホリちゃんもらっちゃダメ?」
「家事任せようとしてんじゃねぇぞ」
わざわざ俺の心配してくれたり、今日も家に帰って来たのは、俺の事を見に来たのと、緊張をほぐしにでも来たんだろう。
なんというか・・・気の周る姉上だよ本当に。
『いやぁ・・・俺の来るタイミングって大体深夜だな。都合はいいんだけど』
「・・・う?」
『やっほニホリ』
ニホリが深夜に喉が渇いてリビングに降りてくると、庭で大きな狼に寄りかかる一人の男がいた。
もちろん、未来の恭輔だ、それはすぐに分かった。
なにやら、聞いてた話より巨大な存在になっている気がするが・・・
『ん?ああ、これは気にすんな。問題ないからな』
「うー?」
『・・・ああ、無理はしてない。がんばってるだけだよ』
『ワン』
「・・・う」
明らかに無理をしている。それはニホリにはすぐ分かった。
この恭輔とは、繋がりはないはずなのに。それでも、分かるのだ。
彼も、大門恭輔だから。
「うー?」
『今日は、ニホリに助言をしに来てな・・・コロちゃん達のしていることにも関係してる』
「う?」
『・・・正確には、未来のお前と今のお前がいればッて話なんだが』
ニホリは、未来を変える最後の鍵だ。
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