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496話

まぁ忙しいのは今だけなので年末まで頑張れば暇に・・・出来るといいですね!!

5人のフミが、それぞれ行動を開始する。

2人は恭輔に接近し、1人はその2人の背後につく。残りの本体を含めた2人は手に魔力を溜めている。


そんなフミに対して、恭輔早速先ほどの反省を活かす。

相手の動きを一切考えずに一気に大地をひっくり返す。


「「「へ?」」」

「うそぉ」

「思いきりよすぎやろ!?」


接近してきたフミは、そのまま下敷きに。

背後にいた2人はすぐさま後ろに飛びのいて回避するが、回避した先で本体ではない変化体のフミが消えた。


「ほ?」


フミが隣を見ると、そこには穴が開いている。どうやら落ちたようだ。


あっという間に残ったフミは1人・・・にはならなかった


「「「オラァ!!」」」


下敷きになっていたフミ達が抜けだしてきたのだ。

ただの地面を魔法で掘り返しただけだ。もちろん思いが、フミの力なら弱体化していても問題はない。


フミは、この時点で恭輔の狙いが先ほど穴に落ちたフミであると言うことを理解した。

そして、次に取るであろう行動も想像がつく。


「各個撃破!?」


土の下敷きになっていたフミのうちの一体が、地面から生えた槍になすすべもなく貫かれる。

3体を狙うのではなく、初めからその個体だけを狙った攻撃だ。

フミは、自分の考えが間違いないと確信した。


だから、反応が遅れた。


フミの後ろから、恭輔が出てきた


「ッ!?フン!!・・・!?」


反応は遅れたが、触れられる前に尻尾で殴り飛ばした・・・恭輔の恰好をしたゴーレムを。


「こっちだよ」

「んな!?」


咄嗟の出現で、大振りの攻撃の隙を、最初の位置から変わらない位置にいた恭輔に狙われた。

そう、恭輔は全く動いてなかったのだ。

先ほどの戦いで学んだのは、何も慎重になりすぎることが悪手であると言うことだけではない。

不意を突くのなら、いくつもの罠を張り巡らせてから決定的な瞬間まで待つということだ。


今までにないほどの速度を『高速移動』で出し、風を置き去りにしてフミに向かう恭輔は、『硬質化』の効果もある。

もはや人型の砲弾だ。当たればフミでもタダでは済まない。


そんな状況になっても、フミはまだ余裕があった。

自分の『変化』そして身体能力なら反応できると思ったからだ。

事実、隙を付かれたが既に体は恭輔を捉えるために変わり始めている。

一瞬でも止められれば、残った分身達が恭輔に攻撃が出来る・・・その発想は、一歩遅かった。


見誤ったのは、恭輔が興味を持ったことへの学習能力の速さだ。


目の前に迫ってきていた恭輔を捉えるために変化した触手が恭輔に触れる寸前


「でい”」

「いて・・・え?」

「チェスト」

「あた・・・ええ!?」


背後にいた恭輔が、フミの頭に軽くチョップ。

それが消えた後に、前にいた恭輔に再びチョップされた。


「え・・・あ!うちのパクったんか!!」

「ウェーイ」


















「勝った~」

「ムキー!!」


勝った勝った。完勝だなこりゃ。


「お疲れ様です・・・何したんです今の」

「うー!」

「お、あんがとニホリ・・・見えなかったのか?」

「いや見てたはずなんですけど」


うんうん。ポヨネ達も上手い具合に分からなかったみたいだな。

分かったのは、直接相手したフミだけだな。

まぁ分かるよな。だって直接チョップされたわけだし。


「むむむ・・・一発で同じことされる・・・屈辱や」

「結構うまくいって驚いたわ」

「・・・ん?恭輔さん『変化』使ったんですか?」

「使ってないよ~」

「使ってないやろなぁ」


流石に俺でもそんなすぐに使うことは出来ない。

いくらふーちゃんのスキルで進化元があるとはいえ、違う物なのだから使いこなすのはそんなすぐには無理だ。


「え?でも恭輔さんちゃんと増えてましたよね」

「増えてないんよ・・・む~」

「いつめで引きずってんだよ」

「うーうー」

「う~・・・ニホリ~!!」

「うっぷ」

「何してんだか・・・」


まぁポヨネ向きに答え合わせはするか。


「俺がやったのは大体魔法だよ」

「えぇ?・・・え、ゴーレムですかあれ」

「はいその通り」


まず初めに大地をひっくり返したのも当然魔法。

これでまず視界を塞ぐ。

そしてその次にゴーレムを複数作る準備だけしておく。

変化体のフミを穴に落して拘束したので1体。槍で刺したのが1体。フミの自身の背後にいきなり出てきたのでまた1体。


「んで、最後にフミにチョップしたので最後」

「・・・あんなにそっくりに作れてましたっけ?」

「そんな似てないぞこいつら。ほれ」

「・・・本当ですね。見た目しか似てない」


流石に細かい所まで作ってられないからな。

今日俺が着ている服と、髪と肌の色だけ合わせただけの張りぼてだ。

最後の一体だけは、少しだけフミの意識を逸らすことを目的にしてたから少しだけ似ている。

そもそも表に出ていないゴーレムたちは人間の形すらしてない。


「ほれほれ」

「おお!私たちですね」


ポヨネ型とルミネ型だ。要するに、犬と狼。コロちゃんじゃないのは、サイズの問題だな。


「この子らを形状変化させて槍にしたりしてた」

「なるほど」


既に消えてしまっているが、フミの変化体を貫くくらいにはちゃんとした魔法だ。


これらのゴーレムを、俺がタイミング見て順番に発動させたのだ。

フミは、魔力も感じれなかっただろう。

それは、俺が最初に大きく地面をひっくり返したことが原因だ。あれの魔法で、多くの魔力が周囲に散った。

そのせいで、魔力感知に支障が出るようになったのだ。もちろん、雑にやったやつだから集中すればわかってしまう程度の妨害だが。


「急に地面がひっくり返って、隣にいたやつが消えたら集中できないだろ?」

「当然ですね。なるほど、じゃあ全部狙ってたと」

「うん。大体はさっきのフミにやられたことを俺なりに噛み砕いてやったんだけど」

「お見事でしたね。やられた本人もそう思ってると思いますよ」

「ニホリ~」

「う”・・・う”~」

「だろうね」


ニホリに泣きつく・・・ダルがらみしているフミを軽く見たら誰だって理解できるわな。

なまじっかすぐに俺にやられたことを気が付いちゃったから、フミの悔しさは相当だろう。


「でも、分からないことが一つあるんですけど」

「ん?なんだ?」

「どうやって声出してたんです?あの最後のゴーレム」

「ああ。あれね。喋ってないぞあれ」

「え?」


もう一体、最後にフミにチョップさせたゴーレムを生み出す。

そのゴーレムは、先ほどまで使ってゴーレムと明らかに違う点が1点だけある。

それは、口が存在すること。正確には、口のような穴が顔にあたる場所に存在していることだ。


「この穴から、音を出してただけだよ」

「あ~・・・あれ、岩の軋む音ですか」

「そういうこと」


流石に俺のゴーレムでは、フミの変化体のようなことは出来ない。

精度が違う・・・というか、そもそもそういうスキルじゃないし。魔法的にも違う。


だから、音を岩で出来たゴーレムの中で反響させた物を外に出す場所を作ったのだ。

この穴から、ゴーレムの体が動くことで出る音がそれっぽく外に出てくるのだ。


「まぁ俺もまさかあんなそれっぽい音が出るとは思わなかったけどな」

「完全にてい!って言ってましたよね」

「本当にな」


咄嗟に作った物だったけど、思った以上に良くできたなと自分でも思う。


「でもこれ、未知との戦いの訓練にはなりませんね」

「・・・それもそうだな」


完全に勝つこと重視でやってたからな俺。うん。自覚はあったわ。

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