おまけふーちゃん
おまけシリーズが毎回書き方が違うのはいろいろ試している結果です。
読みにくかったらすいません
ふーちゃんの朝はそこまで早くない。
大門家にいる動物たちの中では下から数えた方がいいくらいには早い。一番はねっさん。
朝ごはんよりは早く起きてくるが、起きても寝床でゴロゴロ。お気に入りのクッションをリビングのソファに持ち込むゴロゴロ。
とにかく、朝ごはんを食べるまでは基本的にゴロゴロ。時々ねっさんとかに誘われると庭にでてたりする。自分から遊びに行くことはない。
そして、今日もふーちゃんはゴロゴロしていた。
「・・・」(ボー
「・・・」(クシクシ
「・・・クゥ」
起きてからしばらく寝ぼける。この瞬間のまどろみが好きなのだろう、ふーちゃんは起こされると機嫌が悪くなる。
その後顔をかいて、寝てる俺とニホリに挨拶。もちろん聞こえてない。ふーちゃんは寝ぼけているので気がつかない。そして言い忘れたがふーちゃんの寝床は俺の部屋にあるクッションの間。クッションが敷き詰められている空間である。以上。
「ぴぴー!」
「ちゅちゅー!」
外からはすらっぴとねっさんの元気な声が聞こえる。すでに外で遊んでいるようだ。
部屋を出て階段を下りる。出入りは基本各部屋についてる小さいドアだ。入ってはいけない部屋にはないが。
ちなみに彼らは自分たちで普通にドアを開けられるのでぶっちゃけなくてもいいのだが、前からあるものだから使わなければもったいないだろう。寝起きだし。
リビングに入ると、すでに起きていた人たちがいる。
「クゥ」
「るる?」
「・・・ワフ」
「ふーちゃんおはよう」
「クゥアァァァァ」
「あらあら。すごいあくびね」
大口開けての大欠伸だ。豪快にもほどがある。
それでも最初にはちゃんと挨拶をしているのでいいだろう。みんなも聞こえていたようでおはようと返事を返している。
ピッちゃんは眠いの?と聞いていたが。
まぁ、眠いだろう。
「・・・」(ボス
「ん?おお。おはよう」
「・・・」(シッポフリフリー
「はっはっは。今日はおねむのようだな」
ソファに座りながら新聞を読んでいるところにも挨拶。しっぽを腕に当てながら横に寝そべっているだけだが。
ふーちゃんは眠いと誰にでもこんな感じなのだ。別に親父に対してツンデレしているわけではない。
しいて言うなら、一回目の声で返事をしなかった方が悪い。
「おはよー」
「おはよう恭輔」
「おはよう」
「うぃーおはよう。みんなもおはよー」
「ワン」「る!」
「バトちゃんはどうしたんだ?」
「俺の頭の上」
「ん?うお!。・・・完全に一体化している」
「溶けたんかな」
「ききーzzzzz」
「寝息までたてちょる」
「そこまでして乗りたいか」
「そのようでして。ふーちゃんは?」
「ここだぞ。眠いみたいだが」
「ああ、昨日なんかよくわからんテンションだったからだな」
昨日のふーちゃんはクッションの間で大いに暴れていた。
具体的には、理想の寝床を求めて何度もクッションの位置を変え、時には毛布を取り出したりなど。それはもう暴れていた。
おかげてクッションの間は台風が通り過ぎたかのような荒れ模様。
恭輔は起きた時の第一声で「・・・・・・強敵だな」と言っていた模様。意味不明。
ニホリは「・・・・・・・・・・・・う」そして二度寝。
「あ、ニホリは二度寝に入ってるからもう少し後で」
「はーい。ニホリちゃんは朝弱いわね~」
「あれは完全に動画の見すぎだと思うけど。イヤホン買うんじゃなかったな・・・」
「甘やかしてんねぇ」
「ダメなのはわかってるんだけどな・・・つい」
「・・・・」
「だよねぇ。わかってるんだけどねぇ」
「・・・ワフ」
「お前らの会話はわからんなぁ」
「そりゃ聞こえてないからね。しゃーなし」
最近、恭輔とコロちゃんは人間に聞こえない音域での会話をしている。コロちゃんの方限定だが、人間には何も聞こえないので、勝手に恭輔が独り言をいてるだけに聞こえるのだ。
もちろん、ふーちゃん達動物メンバーには聞こえているが。ピッちゃんとニホリは聞こえない。
今の会話は
「このままだと昼夜逆転しちゃうよ」
「だよねぇ。わかってるだけどねぇ」
「本当にわかってるの?。はぁ」
こんな感じだ。
さてさて、ふーちゃんは?。
「・・・・zz」
「寝てね?」
「寝てるな」
「・・・クゥ?」
「寝ててもいいぞー」
「・・・ク」(テクテク・・・・ボス
「恭輔がいいようだな」
「なんでみんな俺の事を寝床にしたがるの?」
恭輔が降りてきたのを今気が付いたのだろう。開いているソファに座ったとたんに一度起き、恭輔を確認してそちらに移動。膝の上に着席、睡眠。流れるような動作であった。
「どんだけ昨日盛り上がったんだ」
「何かしてたのか?」
「なんか儀式してた」
「儀式?」
「クッションの配置を並べ替える儀式」
「ああ、寝床を整えてたか」
「最終的にベットに潜り込んできた」
「出来なかったか・・・」
恭輔の寝相が驚くほどいいからできることだろう。普通なら寝相で潰されかねないが、恭輔は睡眠時にはほとんど動かないのだ。みんなそれをわかっているので潜り込んでくる。
「ご飯できたわよー」
「はーい。ほれ。ふーちゃんおきろー」
「・・・?」(クビカシゲー
「ご飯だってよ」
「クゥ・・・」
「だめだこりゃ。持ってくか。バトちゃんも起きろー」
「きき?」
「起きてたんかい」
恭輔と一緒に移動する気だったのだろう。起きてたはいたようだ。動く気はないみたいだが。
バトちゃんをそのままにふーちゃんの脇に手を入れて抱える。なんか液体みたいだ。よく伸びるけど。
その前に、頭の上にバトちゃん。その状態でふーちゃんを抱えているこの男は何なのだろう。慣れているからか全く動じていないが、普通こんなことにはならない。そもそもコウモリを頭にのせている状態で、落とさないように完璧にバランスをとれるのも変なのだが。
「曲芸みたいだな・・・」
「何が?」
「お前の状態だよ」
「・・・最大だと、これにニホリとピッちゃんと、すらっぴとねっさんも追加されるけど」
「雑技団だったか」
「なった覚えはない」
コロちゃんは大きいのでできないようだが、それ以外の動物にまとわりつかれても問題ない模様。それでは二匹程度でどうこうなるわけもない。
ちなみに、コロちゃんも時々抱えられたりしている。風呂場とかで。
「ぴっぴ!」
「あ、待たせてるか。今行くぞー」
「ききー!」
「頭の上から返事してるぞ・・・」
「こういうやつなんです」
朝食の置かれているテーブルが近づくと一気にいい匂いがしてくる。今日の朝ごはんは洋風のようだ。
焼かれたトーストの匂いが香ばしいにおいを周囲に広がっている。
その匂いを感じて、ようやく朝ごはんの時間だと気が付いたのだろう。ふーちゃんが起きた。
「・・・クゥ?」
「あ、おきた」
「ゥ?」
「なんでって、寝てたから持ってきた?」
「クゥ!」
「起きたなら自分で・・・俺の上にもいたな」
「きー」
「くつろいでいらっしゃる。狭くないの?」
「きき!」
「左様か。・・・どう考えたって足場もないだろうに」
「クー!」
「はいはい。うちはお姫様が多いようで」
恭輔がふーちゃんにせかされた。お腹がすいたのだろう。
既に他のみんなは待っているため、早くした方がいいのは確実なのだが。
「ようやく来たわねー」
「運び屋が大変」
「可愛いからねぇ」
「関係ないな」
「重要なことじゃない」
「確かにそうだわ」
「手のひら返しが熱い」
「さぁ、食べましょう。皆は大丈夫?」
「うー?」
「あらニホリちゃんも起きたのね~」
「じゃあ持ってくるか。先食ってて」
「ならお言葉に甘えて。いただきまーす」
「ワン!」「ぴー!」「きき!」「ちゅ~」「るー!」
「いただきます」
「・・・」
「あら?ふーちゃんは食べないの?」
「・・・クゥ」
「あらあら~。じゃあ待ってましょうね~」
こうして、ふーちゃんの一日は始まるのだ。




