493話
やはりちゃんと一日寝てぐーたらしてると頭痛も消えますね
「しめさば知らない世代・・・?」
「いや普段でてこーへんだけやろ」
「うー」
マジか
「私知ってますよ?」
「ナンナノ?」
「うーん・・・〆たおさかな?」
「????」
今日の夕飯に・・・いや、お子様ランチみたいなセットにしめさばはいかつくね?
「今度食べさせてもらいな」
「??・・・ワカッタ」
ならヨシ
花の開花まで、6日。
昨日休んだし、何より開花まで1週間を切った。
流石に皆緊張してきているのか、訓練にも一層身が入っている。
変わらないのは、コロちゃんとフミ、後はニホリか。
コロちゃんは前から結構ストイックに色々やってたから、この時期になっても変わらない。
フミは、今回の場合はって感じだろう。
今回、俺はフミを戦わせる気がない。そもそも連れてく気もない。
それは既に伝えてある。だから緊張してないってわけじゃないんだがな。
なんでもだ
「うちが普段とちゃうと、皆が余計緊張してまうやろ?特に恭輔」
とまぁそういうことらしい。
確かに、フミが緊張してたらめっちゃ俺も緊張すると思う。
なにせ、今回の件ではただ勝てばいいというわけではない。
未来の俺の予想では、間違いなくフミが死ぬような何かが起こる可能性が高いという。
これは、あの花の強さとかそう言うことではなく、決められた未来に向かって戻ろうとする反動の結果らしい。
それを含めて、どうにかしようとしているのが俺たちなのだが・・・万が一はある。
だからこそ、そもそも俺はフミを連れて行く気がない。
・・・内心では、一番フミが緊張しているのはわかっている。
テイムのラインを意識し始めた時から、ニホリみたいに感情が伝わってくることが増えた。
だから今のフミのことだって分かる。てか、なくても分かる。
心配の内容が、自分のことじゃないのは・・・まぁあれだ。悪い気はしないとだけ言っておこう。
ニホリに関してはある意味こいつ無敵かと思った。
いや、この子俺が勝つことを疑っていないのだ。
普段と変わらないでしょ?なんて軽く言ってくれる。ドラゴンの時とは違うのだが。
明確に格上で、勝てるか分からないって言うのは初めてのはずなんだがな。
まぁとりあえずニホリは普段通りってことだよ。
そして、話しはコロちゃんに戻る。
「ワン」
「ガウ」
「・・・ワン?」
「ガウゥ・・・ガウ」
「ワン」
俺達の訓練は、普通に戦うことからスキルの新しい使い方、スキル自身の強化など幅広く行って・・・はいない。
まず短期間でそんなことは出来ない。だから、全体を通して強くなるという点にのみ集中している。
だからそれぞれが自分が一番強い、または自身のある部分を伸ばそうとしている。
その中で、コロちゃんだけ何やらやっていることが分からないのだ。
魔法の訓練とか見て分かるタイプの事をやってない。
なにやら座って目を瞑り、瞑想のようなことをやっていると思ったら、誰かしらに近づいてその動きを観察したり。
「コロちゃんは何してるんだ?」
「うーん・・・なんやろこれ」
恐らくは、この間ちらっと見えてしまった何かの繋がりが影響しているのだと・・・思う。
だけど、それが何か分からないのだ。
自分に繋がってないから、何がなにやら分からないのだ。
「コロちゃんの強みだと・・・速さとかか?」
「やったら、走り回らん?」
「まぁだよな」
フミと一緒に考えてみても、さっぱり分からない。
速さや魔刃の強度なんかを考えると、やっぱりあの方法では強くならないだろう。
そうなると別にことなのだが、そもそもあれをすることで何が強くなるのか。
ハクコちゃんは知っている・・・というか、何やらずっとアドバイスをしているのだ。
聞いても答えてくれない・・・コロちゃんに口止めされてるみたいだった。
じゃあコロちゃんに!と思ってお腹撫でながら聞いても見ても教えてくんないの。
何でも、今は知らなくてもいいとかなんとか。ヨミみたいなこと言いやがってからに・・・
今も、22層で各々色々やっているが、コロちゃんはジッと動かない。
その体に、神力が動いているのは分かるのだが・・・
「なぁんか変なんだよなぁ」
「変っちゅうと・・・どんな感じなん?」
「んー・・・魔力的に言うと、自分の中に留めないで外に出し続けてる状態かな」
「ん?そら確かに変やな」
魔力も神力も、この部分は変わらないのだが、力の動きで出来ることは変わる。
その中でも、自分の体の外に力を出し続けるっていうのは基本的にしないことだ。
何故か、簡単な話。魔法でもなんでも始めは体の中に力を溜めるからだ。ずっと出し続けるのはちょっと意味が分からない。
もちろん大量に出してれば威圧にはなる。だけど、技だっだり強力な力になるかと言われたらノーだろう。
「一応、方向性は決まってるんだけど」
「どこに出てるん?」
「皆に出てるんだよ」
「皆に?」
「うん。フミ以外の皆に」
「・・・ん?今回戦う子限定なん?」
「みたいなんだよな」
だとすると俺に繋がっていないのはおかしいのだが・・・うーむ。
ああ、でも変化はあるんだよな。
コロちゃんが今みたいに神力を外に出していると、目が紅く光る。
神力が届いた子も同じになるから、一応何かしらの効果はあるのだろう。
だけど、今見ても皆の能力が上がったとかそういうのはないみたいだ。
「地味に干渉も出来ないしなあれ」
「マジで謎技やん。未来の恭輔は何も言わんかったん?」
「見てるのかすら怪しいけど・・・確かに知らないってのは考えずらいよな。
俺達の行動は見てるだろうし、コロちゃんに神力を与えたのは未来の俺だ。
監視とまではいかないけど、見てるとは思うんだけどなぁ・・・ほら、だって心配じゃん?
「コロちゃんにあげた物のせいで何かあったらまた過去をやり直さなきゃいけないしな」
「ああうん・・・その辺変わらんのやな」
多分何があっても変わんないよ。
だけど、それで何も言って来ないってことは、多分このままでいいってことなんだと思う。
だからこそ、俺も今も何も言っていないわけで。
・・・
「でも気になるんですよ!!」
「ほれほれ。恭輔はうちとやで~」
「おぉぉぉぉぉ・・・」
「うちの為にがんばるんやからしっかりし」
「うぇーい」
終わったら全部聞いてやる。
夜の庭。家の皆は寝ているだろう。
だけど、自分はそうもいかない。丁度いい感じに仕上がったのだ。
ここで確認も兼ねて、会わないといけない
・・・自分自身に。
『・・・ワン』
「ワン」
月明りだけの庭に、大きな狼が現れる。
未来のコロちゃんだ。
『ワフー』
「ワッフ」
今のコロちゃんが、ロラちゃんに頼んで呼んでもらったのだ。
今の時間で、時を超えられるのはロラちゃん以外いないから。
そこまでして自分を呼んだ過去の自分に対して、呆れると同時に驚いた。
今の自分が、明らかに自分の知っている自分ではなかったことに。
『ワフ?』
「・・・ワン」
恭輔が、この時間の自分に恭輔が持っていた力を渡したのは知っている。
だが、それでもここまで変わる物なのか。
なぜ・・・自分から恭輔だけでなく他の皆の力を感じるのか。
答えはすぐに分かった。そして、何故自分が呼ばれたのかも理解した。
「・・・」
『・・・』
無言で、顔を見合わせる。それだけで、全てが伝わった。
未来のコロちゃんは、その答えに辿り着いた自分を理解した。
過去のコロちゃんは、未来の自分が既にそれの辿り付いていることを理解した。
其れゆえに、足りない物はお互いにすぐに分かった。
「ワン」
『ワン』
今何かするわけではない。ただ、確認を行っただけで、この邂逅は終わった。
未来の自分が消えた庭で、月を眺めながら考える。
後は・・・■■■だけだ。
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