490話
勝率がアメイジングザクがトップに躍り出ました
あの後、いくつか調査結果を聞いてポヨネを呼んだ。
結界を張ってもらって、これ以上魔力を吸収させないようにしたのだ。
まぁ成長することはないが、万が一もあるからな。
花の開花まで、後8日。
「ほれ!」
「クッ!?」
フミの蹴りを受け止める。
完全に受け止めると飛ばされる。その前の『高速移動』で背後に下がり、衝撃を殺す。
フミは当然のように追撃を掛けてくるが、下から生えてきた槍に気づいて跳びながら回って回避する。
ギリギリで体に当たらないようにこちらに向かってくる。
まぁ当たらないよな。
だが速度は少し落とせた。
「お?」
「オラァ!!」
その間に、さらに魔法を発動させている。
先ほどより大きな岩塊を柱状にして飛ばす。
一瞬目を見開いて驚くも、すぐに足を止めて・・・
「ほりゃ!!」
強く踏み込み、拳で柱を打ち砕く。
これで視界を潰せた。
『高速移動』で一気に近づいて再び近接戦に持ち込む。
『高速移動』は、自分の移動だけに使うスキルではない。俺の動きを速くできるスキルなのだ。
その状態で振るわれる拳は、音を置き去りにする。
だが、それでもフミに届かない。
金属がぶつかりあうような音を響かせて、拳と拳がぶつかり合う。
様々な角度から迫ってくる拳を、時には流し、受け止め、相殺する。
始めは俺から仕掛けたはずだが、気が付いたら攻守が入れ替わるようになっている。
速度や力という点では今の俺の方がやや上のはずだが、それを活かせていない。
それに、何気に技術と言う点で負けている。
「そい!!」
「ッッッぶね!?」
「カァ!!」
「なんとぉぉぉ!?!?」
ぶつけ合った拳で打ち負けた。
そのまま後ろに下がってしまう。間髪入れず、フミのしっぽが振るわれる。
明らかに鋭く変化している拳を強引に体を逸らすことで回避する。
追撃を受けないように、回避しながらフミの真下に干渉する。
魔力の動きで気が付かれる。
大地が浮き上がる前に、フミはその場から背後に離脱する。
何とか距離を離せた。
だけど、隙は回避後にしか生まれない。
俺の体が、一瞬で炎に包まれる。
「ッ!?」
「捕まえた!!」
フミが着地する前に瞬間移動で背後を取り、逃げられないように腕を『硬質化』させて、尻尾を掴む。
尻尾を掴んだが、こいつはその気になれば尻尾の着脱も出来る。
その前に終わらせる。
発動させるのは、攻撃ではなくて背後を抑える壁だ。
フミの事だ、俺に捕まったらまず尻尾を外すはずだ。
「でも・・・え!?」
「よっし!!」
読み通りだった。
「一点集中・・・」
「まっず」
「鉄器流星!!」
手から放たれた、灰色の輝きが、フミを吹き飛ばした。
「・・・うー!」
「っしゃ!!!」
始めてフミに勝ったぞ!!
遠くからニホリが俺の勝利を伝えてくれる。
勝利条件は一回クリティカルヒットを出したら勝ちにしたのだが、見事にハマった。
「ちゅー」
「きゅ~・・・」(グルグル
「・・・ちゅ?」
「そっち大丈夫かー?」
「ちゅー」
え、気絶まで行ったか・・・おかしいな、手加減はしたのだが。
最後に使った魔法。
『一点集中・鉄器流星』
本来は相手の上に降り注ぐ流星の様に鉄の武器を降らす魔法なのだが、それを改良した。
上から降らせる武器を手に発生直前まで溜めて、相手にぶつけた瞬間に発動させる。
極限まで溜められた武器が、爆発的に解放されることで一気に相手を押しつぶすのだ。
あ、もちろん22層で戦ってるからな。
戦った後に魔法で戻せば怒られないのでいい。
「んで感想」
「ワン」
「辛辣!!」
回避の時の『高速移動』が硬いそうだ。
自分ならそのまま攻撃にもすぐに変えることが出来たそうだ。
うん、まぁそうっすね。
俺は回避と攻撃で2回『高速移動』を使った。その分は俺の動きのロスになる。
だがコロちゃんは1度の発動で両方出来るから、俺よりスムーズに行動できると。
いや本当にその通りですはい。
なんか攻撃する時とそれ以外の時って意識が切り替わっちゃうんだよなぁ。
だからその切り替わりで1度スキルが無くなる。
「い、意識は戦闘っちゅう意識で統一すればええんちゃう・・・?」
「あ、フミ。すまん大丈夫か?」
「うん大丈夫。ちょいと想像より重いの来ただけやから」
「そこまでか?」
「うん。何なんあの魔法。踏ん張りも出来へんかったんやけど」
「鉄器流星で使う武器を圧縮して、それを纏めてぶつけた」
「・・・大質量の一点集中・・・ああ、確かに名前の通りやな」
・・・ん?なんかフミ落ち込んでね?
「ああー・・・うん。初めて負けてもうたなぁと」
「そんなことかよ」
「むー。うちからしたら結構大きなことなんやけど」
今までの俺に負けたことがない・・・っていうのが大きかったのか?
「そこやないんやんけどなぁ」
「どこなんだじゃあ?」
「あー・・・これで完全に恭輔に守られる立場になるんやなーっていうのが来てな?」
「うん???前からそうじゃね?」
「いやそうなんやけど」
今までは俺と戦って負けたことはないから、その分俺を守れるっていう意識があったのか。
確かに、ずっと強かったよな。
俺もフミに頼ることは多かった。・・・けどさ。
「別に何か変わるわけではないんだけどな」
「え?」
「だってなぁ・・・マジになったら勝てないし」
「・・・あー」
まぁそうなんですよね結局。
「後、フミが頼りになるってことは変わりないしな」
「・・・ふひ」
「なんだ今の笑い」
「恭輔~!!」
「おっぷ」
顔にフミが狸で張り付く。
その上で擦りつけてくるから、非常にくすぐったいけどこのままでいいか。
「うー?」
「ワフ?」
「ふご」
「う」
「ワン」
ニホリとコロちゃんが遊んできていいかって聞いてきたから手の動作で許可を出す。
完全にフミに顔を塞がれてるから、声が出ねぇ。
「ぷみー」
「恭輔恭輔~」(スリスリ
分かったから降りて降りないで。
「・・・う」
「ワン」
どっちやねんというニホリのツッコミは聞かないことにした。
よろしければ評価やブクマ登録お願いします




