485話
最近ずっと暖かくて本当に冬なのか
『んー・・・?』
「あれ?どうかしたんですか?」
『いや何か今噂されてた気が・・・』
「珍しいこともあるんですねー」
『それどういうことです私』
「いやその前に普通にうちに居座ってんじゃねぇよ」
ちったぁ隠れるとかないんかい。
22層での訓練は毎日・・・はやってない。
そういうことすると、俺は伸びが悪くなるって言われたからな。
大体1日やったら1日休むとかでやる・・・予定。
初めてやった日からまだ3日しか経ってないんだけどだ。
んで、今日は休息日・・・のはずだったよ。
何故か家にヨミが2匹いるんでそんな暇なさそうです。
「んで、なんでいんだよお前ら」
「いや、話すならここかなって」
『ちょうどいいというか。落ち着くと言いますか』
「雪ちゃん家でやれよ」
お前住んでないだろ・・・
「第二の家なんで許してください。ほら、尻尾触っていいですから」
『あ、私のも触ります?』
「お前は俺がそんなことでなびくと思ってるな?」
「触らないんです?」
「触りますけど」
『あ、私ニホリちゃんのクッキー食べたいです』
「ねっさん分身頼める?」
「ちゅ~・・・?」
それでいいのかという視線が痛い。
だが素直に分身してニホリのところに向かってくれた。ありがたや。
「で?マジ何しに来たの」
『あの花に仕返ししに行くんで作戦会議です』
「それ俺聞いちゃダメなやつじゃね?」
ある意味それも未来から過去への干渉じゃないのか?
これ以上あの花強くなるの流石に嫌なんだけど。いや、それでも負ける気ないんだけどさ。
だが、そんな俺の心配を察しているかのように未来のヨミは言う。
『あ、そのあたりはもう大丈夫なんで気にしなくていいですよ』
「そうなのか・・・?」
まぁ今の時点でもヨミは俺では考えつかないことだったり発見だったりするからな。
未来の俺が、思いつかないことを思いついて勝手に実践するってのはあるだろうな。
うん。てか絶対やるだろうなこいつは。
それで、その方法は教えてくれないやつだろ知ってたわ。
でも、作戦会議って・・・
「何するか決めてないのか」
『「はい」』
「堂々と言うんじゃねぇよ」
「うーうー」
「ちゅ!」
「あ、お疲れねっさん」
分身だって生きている。めっちゃ撫でる。
その間に未来のヨミはニホリに挨拶・・・挨拶?をしている。
『おおーニホリちゃん!・・・あんま変わんないなぁ』
「う!?」
『いや、お母様たってのご希望が・・・あ、これ言っちゃダメなやつかも』
「うぅぅぅぅ!?!?」
「あんまりいじめんなよ」
『いや本当の事しか言ってないんですけど・・・』
「それはそれでダメージデカそうだな」
「・・・うー?」
「・・・まぁこんどこっそり大きくしてやるから」
ニホリだって女の子だからな。そらナイスバディに憧れるわな。
ほら、うちにはフミもいるし。あとなんだかんだ母さんも・・・あれ、なんで姉ちゃんは壁なんだ。
「てか地味にヨミもスタイルはいいんだよな」
「・・・と言われましても」
『そうですよねぇ』
「『所詮紛い物ですし』」
「お前ら仲いいな」
「『私ですから』」
「だからってハモんな」
うっとうしい。
というかこいつら話に来たんじゃないんかい。
ニホリから渡されたお盆に乗ったクッキーと紅茶を飲みながら、
あーだこーだと感想を言い合っている。
未来のヨミ的にはまぁ十数年振りとかになるんだろうからわかるけど、今のヨミは違うよなお前。
確か先週来てただろ。
「頻度は落ちてる!!」
「やかましい」
そういえば、未来のヨミたちは何を食べてたんだ?
『私たちですか?食べたり食べなかったり?』
「は?・・・あ、もしかして」
『はい。恭輔さんの異次元パワーのせいで食べなくても良くなったので』
魔力が栄養の代わりをしてくれているのだと。
それに、未来の世界では自分達以外は死んでるから、そういった嗜好品を作る人もいないわな。
だから、野菜とかと自分達で育てるとかならともかくって話か。
それも、ニホリが動かなくなってるから料理できるのは俺だけ。
その俺も・・・まぁダメだろうな。フミが死んだってなると、そういう気力は起きないだろう。
「ん?じゃあどうやって調達してたんだ?」
『その辺のお店からささっと』
「泥棒・・・」
『払う人間がいないんで・・・』
それはそれで寂しいな・・・
まぁそれも長くは続かなかっただろうな。
消費期限のある食べ物は早々に食べれなくなっちゃっうしな。
・・・・・・
「もっと一杯食べていいんだぞ?」
『え?なんですいきなりもらいますけど』
いやなんかそういう状態を想像したらな・・・
「可哀そうに・・・俺のも食べていいからな?」
『ちょほんとに・・・たべにく・・・いや、未来でも私は結構色々食べてましたよ!?』
結界で食料を囲んで、時間を止めていたそうだ。
それだって何でも食べられるわけじゃないしな。
可哀そうに・・・あんなに食べるのが好きだったのに・・・
「・・・恭輔さんって、結局どこまで行っても恭輔さんですよね」
「う」
「ちゅ」
「・・・ハッ!私も頑張った感出せばご褒美が!!」
「雪ちゃんから貰えよ」
「それもそうですね」
てかお前毎日おやつとか出てるだろうよ。
・・・いや、うちも出てるな。
「うーうー」
「ん?どうした?」
「う?」
「『あ』」
「忘れてたんかい」
ニホリが、なんで2人いるの?と聞いた結果、2人とも目的を思い出したそうだ。
忘れてたんかい。
「すっかり忘れてました・・・」
『危ない危ない・・・』
「なんで忘れるんだよ・・・」
『美味しかったんですもん』
「・・・」
『わぁー!!撫でるのはいいですから!!』
「うー」
恭輔も原因の一つだねって言わないで自覚あるから。
それでも未来のヨミを撫でるのは辞めず、一通り撫でて話を俺から切り出してみる。
「んで、実際問題何が出来るんだ?」
「何がって・・・スキル通りですよ?」
「そうなんだけどさ」
仕返しってそもそも、お前ら的には何か考えはないのかって話よ。
「あー・・・まぁ大まかな考えとして、恭輔さんの勝利に貢献できる嫌がらせをと」
「なるほど。俺の援護ってか、相手にデバフ撒きたい感じ?」
「そうですそうです」
「・・・ところで、こいつは分かるんだけどお前の仕返しって何」
「・・・秘密ですけど?」
『ぜぇ・・・ぜぇ・・・雪ちゃんとスイーツ巡りする時間が減ったっていう八つ当たりですよ」
「ちょ!?」
「だろうと思ったよ」
想定内だわ。
「んで。お前は未来で起きたことの仕返しと」
『ええまぁ・・・私も色々あるんですよ』
「ふーん・・・」
『・・・聞かないんです?』
「答えてくれるのか?」
『嫌ですけど』
「だと思ったから聞かなかったんだよ」
ヨミが、そういうやつだってことはよーくわかってるよ。
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