484話
そういえば残業は一山越えたので多分もう少し・・・のはず。
そうすればもっと色々書く時間が取れるんですよねー
「・・・何か犬が悪いこと考えてる気がする」
「・・・うちも何かヨミがよからぬことを考えた気がするわ」
「う?」
いやうん・・・何かビビッと来たわ。
『ハァ・・・ハァ・・・さすがにキツイな』
どことなく、女神のいた空間に似ている場所にいる未来の恭輔。
今、この恭輔を過去の恭輔が見たら、その異質さに気が付くだろう。
今までも十分なほどに感じていた力が・・・さらに桁外れな量になっている。
『恭輔、こっちも終わったよ』
『・・・ああ。そうか』
『・・・大丈夫?』
『当然だろ・・・クッ』
立つことも難しいようだ。膝を付いてしまう。
そんな恭輔に、フィニちゃんが駆け寄り柔らかく温かい火で包み込む。
『大丈夫?』
『問題・・・ない』
『・・・そうには見えないけどな』
『ハク』
『俺の方も・・・皆も準備は出来た』
『そうか。なら・・・後は俺だけか』
『・・・出来るのか?』
『出来ないと、話しにならないんだよ・・・やるって決めたからな』
恭輔は、今確かに強大な力を手に入れた。
その力があれば、恐らく望めば何でも叶えられるのではないかと言うレベルの強大な力。
それを今、大門恭輔と言うたった一人の人間の中に押し込めているのだ。
その力・・・それの目的は
「」(オハヨ
『あ!ロラちゃん!!』
「」(ゲンキ?
『めっちゃ元気だよ!!・・・僕はね』
『恭輔がな。ちょっとマズイ』
「」(・・・
『おお・・・ロラちゃん。俺の感覚ではまだ数日振りだけど・・・合ってるか?』
「」(コクン
『・・・割と把握できるもんだな』
体の中から飛び出そうとする力の流れを、強引に押しとどめる。
そんなことを、過去から戻ってきてからずっと続けている。
激痛という言葉では足りない。
常人なら、とうに気が狂ってしまうだろう。
それを、既に恭輔は1週間続けている。
『てか、もうズレ始めたか』
『そりゃ・・・そうでしょ』
『当然だな』
「」(??
『えっとね・・・』
フィニちゃんが、ロラちゃんに説明する。
今、恭輔に強大な力があると言うのは既に知っての通りだ。
その力は、あまりの大きさで空間と時間に影響を与えているのだ。
正確には、空間に影響を与えることをした結果、時間にもその影響が出始めたのだ。
空間に、何かしらの影響が出ることとは一体何か。
ロラちゃんは、その内容について、凡その推測がついた。
だからこそ・・・何も言えなくなる。
「」(・・・?
『うん。僕たちも一緒にやるんだ』
『というか、流石に恭輔1人じゃ手に負えないからな』
『出来るわ』
「」(トウ
『うっ』
『ロラちゃんに小突かれただけでそれなんだから無理だよね』
『無理だな』
『ワン』
「」(!!!
『ワッフ』
ロラちゃんの背後に現れた大きな狼。
コロちゃんだ。
未来でも変わらないコロちゃんに、ロラちゃんは大喜びだ。
なにせ、ロラちゃんからしたらこのコロちゃんに会うのは数年振りなのだから。
「」(??
『ワン』
『みんなで行くんだ・・・ニホリは置いてっちゃうけど』
『仕方ないさ・・・連れていくわけにもいかないだろう』
『絶対怒られるけどね!!!』
『まぁ100年単位で後の話だからな。まだいいだろう』
『いや昔の恭輔怒られない?』
『・・・否定できないな』
「」(???
『ああいや。こっちの話だよ』
『ワン?』
「」(アソブー
コロちゃんに誘われて、ロラちゃんは走っていった。
誘ったコロちゃんは、一度だけ恭輔を見て、ロラちゃんを追いかけていった。
『・・・気を使われたな』
『あんまり見せたくなかったんでしょ』
『だろうな・・・ああいう気配りは本当に上手いよな』
『真似できなかったねぇ』
『あれがコロちゃんの良い所だからな。お前は別にいい所があるんだよ』
『知ってた』
『自分で言うのか・・・』
未来のとは言え、大門恭輔が苦しんでいる姿と言うのを、ロラちゃんに見せたくないのだろう。
家族として、止めなければいけない事を止めなかった。
だからこそ、大したことではないのかもしれないが、未来の存在として、しなければいけないと思ったのだろう。
恭輔も、少しだけ落ち着けたようだ。
『・・・ふぅ。過去のお前らとは話せたか?』
『うん。出来たよ。ていうか、その報告に来たんだよ~』
『ああそうだったか・・・本当に余裕ないな俺』
『見直す余裕はあるんだからいいだろ』
『まぁな・・・思ったより変換出来ないな』
『無理でも僕たちが頑張ればいいだけだしねぇ』
『全くだ。分けてくれれば、今からでも始めるが?』
『ダメだよ。これをやるのは、俺のわがままなんだからな』
未来の恭輔と過去の恭輔が一つになることで未来を変える。
これが、本来考えられていたフミの救済プランだった。
過去と未来の存在が一つになることで、許容量が増える。そうすれば、地球をの力を使っても、暴走が起きなくなる。
そしてその力を持って、厄災の花を倒せす。
これには一つ問題があった。
そもそも恭輔は、初め自分だけを使って未来を変える気だった。
残った子達は、過去の自分に任せればいいと考えていた。
問題とは、自分の家族を残してしまうことだ。
いくら自分であっても、過去の存在。厳密には、自分ではないのだ。
彼らは、それを良しとはしないだろうとはわかってはいるが・・・それでいいと思っていた。
だが、思い出したのだ。
自分の夢と目的を。
だからこそ、皆に話したのだ。
自分のやろうとしたことを。
結果・・・全員からボコられた。
『痛かったんだけど?』
『当然じゃない?』
『当たり前だろ』
『ひどくね?』
置いてこうとしたのだから当然である。
その結果、置いていくというのは無しになった。
『・・・本当にいいんだな?』
『くどいよ?そろそろポヨネあたりに怒られるんじゃない?』
『そこまで?』
『いや、もう一回ボコられるな』
『・・・はぁ。わかったよ。もう言わん』
『それでいいんですよ』
『あ、ポヨネだ』
『はい。ポヨネですよ』
『そっちも終わったか』
『はい。皆準備完了です・・・でも、いいんですか?』
『ん?』
『あれ?何か他にあったっけ?』
『・・・いや、覚えがないが』
『いやいや。誰もヨミに伝えてないですよね』
『『『・・・あー』』』
全員さっぱり忘れていたが、彼らがやろうとしていることを誰もヨミに伝えていないのだ。
一応これには訳がある。
そもそもヨミは、彼らとは違う思惑で動いている。
それがなんだかんだで未来を変えるのに繋がるのはわかっていたから、無視していたし放置していた。
それがあまりにも長すぎて、存在をうっかり忘れていたのだ。
後、ヨミはこれには反対するだろうという確信もあった。
『絶対にやらないと思わない?』
『いや絶対にやらないと思いますけど』
『そうだね絶対にやらないね』
『死んでもやらないな』
今ここに過去の恭輔がいたら
「いや、どんな印象なんだよあいつ」
と、思うだろう。
その結果、少しヨミに優しくなる。
『・・・後、3日かな』
『恐らくですが。幸い、過去にはロラちゃん達がいますから、タイミングは間違わないかと』
『ああ。本当に、頭が上がらないな・・・』
時間のずれは、時が進めば進むほど大きくなる。
3日も経てば、恐らく過去では年末になるだろう。
その時こそ、すべてに決着が着く。
『・・・っ・・・また来たな』
『少し寝てていいですよ。様子はこちらで見ますから』
ポヨネが人型になり、恭輔の頭を膝に乗せる。
かつてフミが恭輔にやっていたように。
『貴方は、今まで頑張ってきたんです・・・だから、もう少し、がんまりましょう』
『あぁ・・・そうだ・・・な・・・』
『・・・寝ちゃったね』
『ええ。これが最後の睡眠です。存分に休んでもらわないと』
『万が一があったら、俺達が行けばいいんだな』
『はい。可能な限り私が恭輔さんの力を調整しますけど。間に合わない場合もあると考えてください』
『分かってるって。それに、あっちの爺たちもいるしね』
『無茶はしないでくださいね』
『わかってるよ・・・欠けたら、置いてかれちゃうしね』
『全くだ』
『ふふ。そうでしたね』
終わりは近い。
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