478話
そろそろ一区切り
『俺と繋がりがあるからじゃなくて、俺といた記憶があるから繋がりが出来るんだ』
「なるほどそういうことか・・・」
「」(ゴロゴロ
ロラちゃんは今床をごろごろしておりまする。
「だから、ロラちゃんの事しかわからないし。他の子が生きてたとしても、思い出してないから他の生物と同じように死んでしまっていると」
『そういうことだ。だから、間違いなく俺の時代では生きてない』
「今なら・・・可能性はあると」
『そのはずだ。ただ、そう考えるとおかしなこともあるが』
「何でみんなに会えてないか・・・だな?」
『そういうこと・・・実は嫌われてたとかないよな俺達』
「ない・・・と信じたいなぁ・・・」
でも実際会えてないわけで・・・
「いや、会えてるけど思い出してないって可能性は?」
『あるけど・・・どうだか』
「・・・この話やめよう!!」
『そうだな!!』
「」(ウェー
誰も幸せにならない話だしな!!!
少なくとも、未来では生きてない。はい!閉廷!!
「・・・ちょっと探してみようかな」
『俺ももうちょい・・・』
「」(ジトー
「『・・・・なんだその目は』」
「」(テヘ
くそ可愛い。
これうちの子なんですよ。前世から好きでした・・・うん?
待てよ?
「未来のロラちゃんと、今のロラちゃんが合体すると、なんで前世のロラちゃんを忘れるんだ?」
『うん?どうした?』
「いや。お前がロラちゃんを忘れるのはまぁ分かるんだけど・・・俺は忘れないよな?」
だって、いなくなったのは地球の記録から消えたのは未来のロラちゃんだ。
今のロラちゃんはいるわけだし、転生したからって前のロラちゃんの事も忘れないだろう。
だけど、忘れてたよな俺。なんでだ?
後、他の子達も忘れてるのはおかしいよな?
『ああ、そのことか』
「知ってるのか?」
『ロラちゃんのせいです』
「ほう」
「」(ササ
「逃がさん」
ロラちゃんが部屋から離脱しようとしたので回り込んで抱える。
うおーと叫びながらジタバタするが、完全に固めたので逃げられない。
「」(ウオー
「何した貴様」
『まぁ俺も聞いてないからなぁ・・・想像は付いてるんてるんだけど』
「お、マジか」
「」(ハナシテ?
「いやです」
「」(ウオー
逃がすわけないでしょ。
『記憶がなくなってるのは、昔のあの子達だけだろ?』
「今のところは」
『俺はそれにプラスでロラちゃんだったな・・・これは未来から完全に消えたからだ』
「そこまではわかってるよ」
『まぁ聞けって・・・つまりな?記憶から消えるってことは、その存在が消えたってことなんだよ』
「・・・いや待てよ。じゃあどこに行ったんだ?」
『・・・こいつの中』
「ロラちゃん?」
「」(ウオー
『いつまで暴れてんだこいつ』
未来の俺が抱えられているロラちゃんをつんつん指で突っついている。
くすぐったそうに体をよじるロラちゃんを見て、猶更楽しそうに未来の俺はロラちゃんを触る。
俺は、深く考え込み始めてしまった。
あの子達が、ロラちゃんの中にいる・・・?
「いやでもそれだと、ロラちゃん=皆ってことになっちますし」
『ああ、それ違うわ』
「違う?」
『一体化じゃなくて、ロラちゃんの中に隠れてるってのが正しいかな?』
「・・・ニホリと同じか?」
『そういうこと』
「でも、お前ニホリは忘れてないよな」
『そらな・・・あいつがどれだけ隠れようが、魔力のラインが切れない限りは見失わないんだよ』
「あ、そっか」
ニホリの体・・・というか、そもそももっと根本的な部分。
存在の維持を行っているのも俺の魔力だ。
それの供給を行うために、魔力のラインだけは切れないし隠れない。
無くなると、ニホリ自体が死んでしまうから。
「じゃあニホリが例外なのか」
『そういうことだ。相性のいい人型に入ってるのもあるんだろうけど』
「相性?」
『ん?女神から聞いて・・・ああ、ないわな。俺もこの時期は知らなかったか』
なんでも、人型はモンスターに分類される人間という扱いらしい。
そして、そのベースになっているのは過去の魔法などが普通に存在していた時代の人間達。
だから、今の人間よりそういう存在への適応力が高いそうだ。
普通に知らなかった・・・
『分かりやすく言うと、今の時代の人間より魔力とか魂とかの許容量が大きいんだな』
「なるほどな・・・」
『まぁ俺たちは人型の10倍くらいデカいんだけど』
「なんなんだ俺たちは・・・?」
『それは俺も分かってないんだよなぁ』
いやまぁ・・・地球の力を受けとめるとか出来るんだからそら大きく当然か?
暴走するけどさ。
『パンクしないだけで充分驚愕らしいけどな』
「・・・なんか女神も似たようなこと言ってたな」
『ああ、あいつの作った冒険者用のスキル領域の事だな?』
「知らない言葉が出てきましたね」
『まぁ・・・スキルって別に自分の才能になっているわけじゃないんだよ』
「おおーん?」
噛み砕いて言うと、スキルは自分自身の力として持っているわけではないらしい。
正確には、スキルを得ることで地球からそれに分類される力を使う許可証を得ているそうだ。
俺の元『土魔法』も、地球から大地の力を引き出して使う為の許可証ってことらしい。
「コロちゃんの高速移動も?」
『あれは速く動くって概念を力として引き出してるんだな。だからそう言う意味では、俺達のは魔法スキルとかは昔に存在していた魔法とは別物になるんだな」
「おおー」
普通におもしろい話じゃんそれ。
つまりだ。魔力を得た俺たちは頑張ればその昔の魔法を使うことも出来るってことだよな?
『理論上はな』
「おおー・・・楽しそうだな」
『全部終わったら、そう言うことの研究をするのもいいかもな』
「面白そうだ・・・その前に夢は叶えるけど」
『夢?何かあったっけか?』
「おいおい。忘れたのかよ」
俺の手の届く範囲で、動物達が自らの力で生きていける場所を作る。
「ダンジョンで、自分達で糧を得られるようになれば、最悪俺がいれば皆生きていけるだろ?」
『・・・ああ、そういや。そんな夢も持ってたなぁ』
懐かしそうに眼を細め始めた・・・何かあれだ・・・きしょい。
『ひどくないか!?』
「うるせー最近気が付いたんだよ俺は」
『何を』
「まじめな顔はいいけど、感傷的になると心配される」
『・・・』
「特にフミにな。ほれ気晴らしに抱えろよ」
「」(ダッコー
『・・・ハハ。それもそうだな。よっと』
・・・渡しといてなんだけどあれだな。ムッとする。
『どうしようもないなお前!?』
「お前なんだよなぁ」
『そうだったよちくしょう!!!』
全て自分に返ってくるからな俺達。
『ハァ・・・』
『ワン』
『おうコロちゃん。ただいま』
『・・・ワフ?』
『あん?・・・ああ、呼びかた?・・・まぁ色々思い出せてな』
未来の恭輔と、過去の恭輔との違い。
皆の呼びかたの違いだ。
フミが死んでから、恭輔は皆の呼びかたが少しずつ変わってしまった。
どういった心境の変化があったのか、それは本人にしか分からないが・・・今、再び戻った。
そのせいか、コロちゃんの目には、今の恭輔が昔より良くなったように見える。
『クク。それにしても、俺そんな夢持ってのか・・・ああ、そうだな。いい夢だな我ながら』
『・・・ワフ?』
『ああ。最高にいいことがあった・・・なぁコロちゃん』
『ワフ?』
『・・・皆俺と一緒に死んでくれるか?って聞いたら。うんって言ってくれるかな』
『ワン』
『即答かよ』
『・・・』(クイ
『うん?』
『・・・ワン』
『・・・ハッハッハ。そうかそうか・・・じゃあ。みんなで行くか』
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