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475話

PS5が欲しい

「おお~・・・結構疲れるのねこれ」

「きき~?」


バトちゃんに『変化』してみて飛んでみたら結構疲れるわ。

本人もでしょー?とか言ってるし、これは木に止まりたくなりますわ。


「フィニちゃんも似た感じ?」

「チュン」

「ホバリングはきついと・・・」


そう考えると、蜂ってすごいんだな・・・

あれは体が軽いからっていうのもあるのかもしれないけど、あの速度で羽ばたけるのはやばいって。


何かあっさり他の子のスキルを使うことが出来るようになり、今は・・・というか今も『変化』で遊んでいる。

皆に一回ずつ変身してみたけど、かなり違和感はある。

まぁ俺は人間だから当たり前なんだけどさ。


だが面白いことに、フミの『変身』・・・だったっけ?

まぁ『変化』の上位スキルを使うとこの違和感がさっぱりなくなる。

本当に俺の体がこれだったかのようなフィット感があった。

ちなみにスキルの使用を中止する・・・フミ側から停止する感じ?許可を取り消す感じ・・・まぁどれでもいいんだけど、

フミ側からスキルを強制的に止めてもらうと姿が元に戻る。

フミは元の恰好を覚えてないと戻れないとか言ってたけど、俺の場合はそういうのはないみたいだ。


あ、一応スキルも一通り試した。

使いやすいのは単純な強化系とか。

後は『高速移動』とか『浮遊』とかかな。移動系は使えば移動してくれるから便利だと思ったよ。


「でも、『変化』の出来がいいのはフミだったなやっぱり」

「きー?」

「いやそりゃね」


当然でしょ?


「」(チラ

「あ、ロラちゃん・・・ロラちゃん?」

「き?」

「チュン?」

「」(??????

「ああ、すまんすまん」


バトちゃんの恰好だったから混乱させてしまったか。

元に戻してロラちゃんを抱きかかえる。


「ほれ。俺だよ~」

「」(

「混乱してるよ」

「」(・・・?

「どういう風に思われてんの俺」


遂に恭輔が動物になったのかってどんな印象なの。

・・・そういえば、ロラちゃんのスキルって使ったことなかったな。

薬作るのは、ロラちゃんは耳からだけど俺の場合はどこからになるんだか。


意識を切り替えて、ロラちゃんと俺の繋がりを確認する。

しっかりと白い線が『複数』伸びているのを確認して・・・んん??


「・・・」

「」(?

「・・・」

「」(・・・ア


ロラちゃんがすっと抱っこから離脱して・・・逃げ出すのをバトちゃんが阻止する。


「きき」

「」(ワー!


ロラちゃんの進む先に風の罠をしかけていたのだ。

それを踏んだロラちゃんが風に浮かされて動けなくなるっていう。

何気にこれフミと飛べる子以外は皆身動きが取れなくなるっていうやばな技だな。

俺達の戦い方的にそれ使う暇ないからあれなんだけど。


「ロラさん?」

「」(タラー


器用に汗かいてやがる。


今ロラちゃんに『テイム』の繋がりが複数見えた。

それも、コロちゃん並み・・・いや、それ以上に強い繋がりが見えた。

それはつまり、それだけ長い間俺と一緒にいたってことを示している。

だけど、うちでコロちゃんを越える付き合いの子はいない・・・はずなのだ。

てか、なんで今のタイミングで見えたんだ?


少なくとも、今うちにいる子達では、コロちゃんが最長なのだから。


では、なんでロラちゃんにその繋がりが見えたか・・・

まぁ原因は恐らく。


「未来の存在と一つになると、そうなるのか」

「」(ウーウー

「ニホリみたいにうーうーするんじゃないよ。ようやく見えたってことか・・・いや、これは」


俺が知らなかったから見えなかっただけかな?

未来のヨミから、その事実を聞いたから初めて見れるようになったのだろう。

今までは全く見えなかったしな。

未来で繋がっていた分・・・と言うか、未来のロラちゃんが自分自身を消した結果、繋がっていたはずのラインが切れた。

だけど、存在はしているということは間違いない。その分が俺と繋がってラインに現れたのだろう。


だが、それを含めても強いような・・・?


「色々聞きたいんだけど?」

「」(オクチチャック

「言わない気満々じゃんか・・・でも、今回は答えてほしいんだ」


ロラちゃんが強情なのはわかっている。だけど、これだけは聞かなきゃいけない。


「なんで、皆のお墓を・・・この時代に飛ばしたの?」

「」(・・・


そう、これだけは聞かなきゃいけなかった。

かつていた俺の家族のお墓・・・言ってしまえば、今回の件には関係ないはずなのだ。

というかそもそも、俺はあのお墓の存在をみんなに教えていないのだ。

この間、フミに言ったのだって初めてだ。

未来の俺も、それは変わっていないだろう。

教えない理由は、単純だ。あの場所は、俺にとって終わりの場所だから。

皆があそこに来るのは、一度だけでいいって思っているんだ。

今生きている誰かが死んだとき・・・その時だけ、一回だけ訪れて終わりだ。


「知らないはずのお墓を・・・なんで知ってたの?」

「」(・・・


ロラちゃんは口を手で塞いで答えようとしない。

それだけ、言いたくないことなのだろう。

それでも・・・聞かなきゃいけないんだ。

名前も思い出せなくなったあの子達の事を、俺が完全に忘れる前に。


名前を忘れて、お墓を忘れた。

そこまで自覚した段階で、遂に姿を思い出すことが難しくなってきた。

それに対して、違和感はない。まるでそれが普通であるかのように。

死んだはずのあの子達に起きている現象は、ロラちゃんがやったことは違うことだろう。

だって、ロラちゃんのは生きているからこそ出来ることなのだから。


「・・・なんで?」

「」(・・・


俺がいつもと違うと気が付いたのだろう。

だな。普段ロラちゃんと顔を合わせる時は笑っているが、今の俺は笑えていない。

近くで見ているバトちゃんもフィニちゃんも、黙ってこちらを見ている。


「」(・・・アノネ


ロラちゃんは、話し始めてくれた。

ただ、全部を教えてくれたわけではない。

なんでお墓の場所を・・・存在をしっていたかを答えてくれた。


その答えは・・・前から知っていただ。

















『・・・』

『・・・恭輔』

『おお、ハクコか、調子はどうだ?』

『絶好調だよ・・・何考えてたの?』

『んあー・・・そんな風に見えたか』

『うん。見えた。それに、ここに来るのって久しぶりじゃん』


恭輔は、かつて自分の家だった場所の庭・・・中のお墓の前で座っていた。

前に来たのは、フミが死んだ時以来だ。


『まぁ・・・感慨深くってな』

『もう終わるのが?』

『ああいや。そこじゃなくてな・・・本当に、あの子らはいい子だったなって』

『???』

『俺はもう、姿どころかいたことすら覚えてなかったけど・・・ああ、そうだな。無駄じゃなかったって思えるくらいには』

『何言ってるの?』

『ハッハッハ。まぁ意味わかんないよな』


思い出すのは、ロラちゃんの事。

過去の時間で、どれくらい久しぶりかと思うくらいに遊んだ。

あの子は、もう未来の恭輔の知っているロラちゃんではないが、それでも確かにロラちゃんなのだ。


そして何より・・・あの子達と、また遊べるとは思わなかった。


『・・・俺さ、ずっと前もこんな風に、すべてをやり直したいって思ったことが一度だけあったんだよ』

『そうなの?』

『ああ。本当に昔に、一度だけな』

『・・・それって、初めのあの子?』

『そう。あの子が死んだ時は、それはもう落ち込んでな。あんな思いをするくらいなら、初めから仲良くなるんじゃなかったなとも思った』

『今は違うの?』

『違うかな。そうやって出会って分かれて・・・それが生きることだってわかったしな』


だけど、ずっと振り切れない思いもあった。


『フミが死んだ時・・・あの時に死ななかったのはまぁそういうことなんだけど』

『ああ、だからなんだ』


ハクコから見て、当時の恭輔は酷かった。

周りに当たり散らすわけではない。本当に何もしなくなったのだ。

かろうじて、生きるための行動はしたが・・・それでも、しばらくは生きた屍の状態だった。


フミが死んですぐは、まだ死ねた。

今となっては、それをしてしまうと他の子に迷惑が掛かるからやらない・・・そもそも出来ないが。


『正直、結構ギリギリだったけどな』

『見てたから分かるよ』

『ハハ・・・まぁ、踏ん張った甲斐があったよ』

『ロラが、希望を見せたから?』

『そうだな。あの子達が、見せてくれた希望だよ』

『・・・あの子達?』

『ずっと前から、見守ってくれてたんだ。ロラちゃんは・・・あの子は代表なんだよ』

『・・・いや、まさか』

『ああ。俺もあり得ないって思ってた。だけど、俺の存在がそれを可能にしてた』

『恭輔が?・・・まさか』

『ああ。俺が地球と繋がった段階で、俺との繋がりを持っていたあの子達もまた、力を得ていた』


大門恭輔と言う人間は、星に愛されている。

だからこそ、この世界のありとあらゆる生物と言葉を、意思を交わすことが出来る。

それを、人は才能と言うのだろう。

・・・では、何故大門恭輔は『テイム』を手に入れたのか。

『テイム』は、テイムしたモンスターや動物との意思疎通を可能にし、冒険者カードに名前を登録するためのスキル。


『カードに追加は・・・あれは女神が手を加えた結果だからな』

『そ、それじゃあ・・・』


後天的に、ダンジョンの為に調整されたスキルと言う存在だから、彼らの名はカードに乗ることはなかった。


大門恭輔は・・・元々持っていたのだ。

彼らと共にある才能を。


その才能に、名前を付けるとするのなら・・・


『俺が、誰にも誇れる最高の才能は・・・『テイム』って名前になるんだろうな』


故に、彼らは動く。

願いを、悲しみを越えるために。

自分達が愛した、愛してくれた、大門恭輔に報いるために。

死してなお、越えてくるのだ。


『ああ・・・本当にいい子だよ』

『・・・ロラちゃんは』

『あの子は・・・偶々だろうな。だから逃げなかった。逃げれなかった』

『・・・すごいな。先輩は』

『そらな。お前らの先輩で・・・家族だからな』


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