474話
ついに恭輔自身が・・・
「え、何いきなり」
「クゥ」
今俺の視界の半分に俺の顔が映っている。
恐らくふーちゃんの方も同じだろう。半分が自分の顔だ。
「・・・え、こわ」
「クゥ」
「ワフ?」
コロちゃんも目を開けて何何?と寄ってきた。
ふーちゃんにちょっとこういう意識をしてみて?って言ったらいきなりこうなったな。
何でだ?これってニホリの視界共有と同じだよな。
きっかけは・・・ふーちゃん側の意識か?
あ、戻った。
「わんもあ」
「クゥ」
「・・・あ、出来た」
え、出来た・・・え??
「俺は何を悩んでいたの・・・?」
「ワ・・・ワン」
コロちゃんの気遣いがつらい・・・
そうか。わかればそういうことか。
視界の共有という現象は、お互いに許可がないと出来ないのだ。
ある意味で、他の存在の体の一部を使っているようなものだ。そりゃ許可がないとダメだわな。
ニホリの時は、恐らくニホリだけ2つのラインが繋がっていて・・・あ、違うな。
ニホリが人形だからか。
当然ニホリは家族だが、『テイム』判定的にはニホリは俺が操っている人形だからか。
まぁニホリ自身も許可はくれるだろうけど、あの時はそんな意識はなかったはずだ。
俺の方が、完全に上位に立っているから許可が要らなかったのだろう。
だが、他の子の場合は違う。
他のこの場合は、『テイム』の影響を受けているとはいえ、彼らは独立した存在。
俺が上っていうのは・・・あくまでも家族内での立場だ。
大きく見て、俺達はただの生物と言う点では差が全くない。
これがニホリとの違いか。
「てかこんなん気が付くかよ!!」
「クゥ~」
ふーちゃん楽しそうだね!!
急に視界が高くなったんだからそら楽しいだろうよ。
そうかー・・・そういうことかー・・・。
つまりなんだ。『テイム』のラインでの何かしらの操作は、俺と皆の間で共通の認識がいるのだ。
恐らくスキルも使うのも・・・
「コロちゃんコロちゃん」
「ワン」
「『魔刃』使っていい?」
「ワフ?」
「いいからいいから」
「・・・??ワン!」
首を傾げながらも良いって言ってくれた。
まぁ普通に考えれば何を言っているんだお前はって思うな。
視界のチャンネルを戻して、『テイム』のラインを見てみる。
先ほどまでの線と比べて、より太くなっている。
それと同時に、俺の体に何かが流れてきているのだ分かる。
「よし、出来た」
「ワフ!?」
「コロちゃんも俺の『飛行』使ってみな」
「ワフ?・・・!?!?!?」
急にふわっと飛べたことに驚きを隠せないコロちゃん。
本当に急に飛んだから、じたばたしてる可愛い。
ふーちゃんは下でぼくもーボクもーとぴょんぴょんしている。
なるほどね。
使用許可が出ると、ラインを通じてスキルの力とでもいうべきものが体の中に流れて来るみたいだ。
その力を使って、皆のスキルを使えるようになる。
それが許可証なのか、力の分だけしか使えないのかは要検証だが。
「クゥ!クゥ!!!!」
「あーはいはいわかったから」
ふーちゃんどんだけ飛びたいのよ・・・
許可を出して、俺の体からふーちゃんにスキルの力が流れるのを確認する。
完全にいきわたったところでふーちゃんに使うように言う。
「クゥ~♪」
「君ら、結構簡単に飛んでくれるね」
「クゥ?」
「いや、飛ぶのはともかく移動するのは俺もそこそこ時間かかったと思うんだけど・・・」
コロちゃんは急だったから初めはじたばただったけど、今は慣れて空中を漂っている。
ふーちゃんに至っては既にちゃんと飛行していると言えるくらいだ。
・・・もしかして、元のスキル所有者のスキル熟練度とでもいうべきものも共有している?
じゃあ俺も変化できる・・・?
「ふーちゃん『変化』頂戴」
「クゥ~♪」
聞いてんのかわからん返事もらったけど、力が来たから聞いてたのだろう。
とりあえず『変化』して・・・
「とう!」
「クゥ!」
「ワン!」
『変化』するのはフミ狸モード。
今まで触ってきたフミを完全再現でき・・・てないな微妙に。
これはふーちゃんが『変化』が微妙に苦手だからか。俺の方が慣れてないからか。
まぁ熟練度が共有になっても、使用者が使い慣れてないとそら完璧には出来ないわな。
微妙に毛並みが固い。
自分で触れてみてそう思うし・・・あ、でも肉球はいい感じだな。
後フミに『変化』したはずなのに何か雄なんですけど。
「これも俺の不慣れが原因?」
「クゥ?」
「ワフ?」
まぁわからんよね。
とりあえずこの姿のまま飛んでみる。
他の子のスキルを使ってる状態でも、俺のスキルは問題なく使えるようだ。
もふもふ3匹が空中にふわふわ漂っている姿はきっと俺が外から見てたら飛び込んでくる・・・
「恭輔お布団ほさせ・・・ほあ!?」
「あ、フミが来た」
「クゥ」
「ワン」
とりあえず事情説明からかな。
「ほあ~・・・あっさり出来るようなったんやな」
「ほんとそれな」
マジでそれな。
何かもっと苦戦するものかと思ったけど。いや、結果がすぐ出たんだからいいんだけど。
フミが俺の『変化』した狸を膝に抱えている。
ふーちゃんは未だに飛んでいて、コロちゃんは既に降りている。
どうも、足が付いてない感覚が微妙らしい。『高速移動』で動く関係かな?
そこで足が付いてない感覚が嫌なんだろう。
「あれ?じゃあうちの『変化』も出来るっちゅうこと?」
「許可貰えばな?まぁでも・・・感覚的にあんまり意味ないかも」
「というと?」
「俺自身が慣れてないから、ある程度以上はまだ無理かな」
慣れてなくても有用なスキルとか、細かい制御が必要ないスキルなら関係なさそうだな。
それこそ、コロちゃんの『高速移動』とかいい例だな。
まっすぐ進むだけどか、緊急回避とかに使うなら一瞬だから慣れは必要ない。
だが、コロちゃん並みに動き回るのは今の俺には無理だろう。
そこは今まで使ってきたコロちゃんの経験には勝てない。
「だから、俺多分今以上には変わんない」
「ほぇ~」
「・・・聞いてます?」
「聞いとる聞いとる・・・うちはもうちょいなめらかやな」
「わかっとるわ」
毛並みのことは言うんじゃないよわかってんだから。
というか、自分が普段撫でまくる側だから今の状況は非常に変な気分だ。
フミに撫でられているし・・・こんな気分なの普段?
「普段お腹とか撫でとるやん?」
「やらせねぇよ?」
「わかっとるよ。あ、これならええかな」(ポン
そういうと、フミも狸になる。
狸が2匹・・・なんも来ないけど!!
「ほれ~」
「お?おお??」
何故かしっぽを追われるので俺も追いかけてみる。
ぐるぐると狸2匹が回っている姿・・・うーん上から見たい。片方俺だけど。
「このままハグ!ハグ!!」
「よっしゃ」
おおー!!全身でやわっこい毛を感じられる。
いいなこの体!!!
「・・・クゥ?」
「ワン」
「クゥ~」
かれこれ1時間くらい堪能した。
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