463話
昨日予約投稿出来なかったのは休日が休日じゃなかったからってことにしておいてください
レベルを上げれば、確かに届くくらいの強さだろう。
だが、その為には俺が本来戦うはずの時間・・・数年後にならないとそこまでたどり着かない。
届かないわけではないのだ。
今の時点で、相手の物量に対して対応できなくなっているが、それはレベルを上げて強さが上がれば問題ない。
「だけど、その時間が全く足りひん」
「そうだ」
「やったら。それやるのはあかんやろ?」
「・・・最悪。本当に何も得られないで終わるぞ」
「恭輔的には、終わっても問題ないん?」
「・・・ないかもしれないってくらい」
渡された神力の塊である宝玉。
そして未来の俺が考えている策を含めて・・・恐らく勝ち目はあるのだろう。
そうじゃないと、未来の俺ももっと派手に動くだろうし。
それに、未来の俺が俺に何かやれって言ってきたことは、未来から来た誰かを探すことだけ。
これは俺の強さとかそういうの関係なしに、未来の俺が気になっているから言ってきたことだ。
つまり、本当に俺は何もしなくてもいいって考えているんだろう。
「ただ確証がないから、かも」
「やったらやろうや。先の事考えててもしゃーない」
「フミ・・・でもそれじゃあ」
「まぁ確かにうちの事なんやけど・・・今考えてもしゃーなくない?」
「は?」
「今は、可能性のありそうなこと全部やろうや。その方が恭輔らしいで」
「・・・俺らしい?」
「うん。恭輔なら、そうするやろ。てか、今までレベルなんて大して気にしたことないやん」
「うーうー」
「やろー?なのに今更レベルが~いうんわ・・・無いわ」
「う」
「恭輔は、今の自分で出来ることを考えて、それを実現させる方がええと思うわ」
「・・・」
・・・だから、俺の言ったことにすぐ食いついたのか。
恐らくフミもレベルを上げること自体は考えていたはずだ。
だがそれを、俺っぽくないという理由で却下した。
そんな時に俺がこんな話するもんだから、すぐに乗って来たのだろう。
確かにそうだ。
俺は今まで、自分のレベルという物に対して気にしたことはなかった。
どちらかと言うと、スキルの研究だったり、使う魔法の形を増やしたりって方が多かった。
後はみんなの事観察したりか・・・ああ。確かにそうだ。
今まで急にレベルを上げようと思ったのは一回だけ。
その一回で、俺は暴走した。
それはつまり・・・
「俺・・・向いてないのか?」
「あ、気が付いた」
「う」
「マジかぁ・・・」
というか、自分で強くなろうとこと自体向いていない?
考えてみれば、スキルのことだっておもしろいからーとかそういう方面が多かった。
強くなろうとしてやったのは数えるくらい。
フミとの模擬戦は、最初は強くなるためだったけど、途中から意地になったというか・・・色々出来るのがおもしろかったから。
ダンジョンでレベル上げと称して戦ったりはするが、それだって本気かと言われるとそうでもなかったか。
あの悪魔との戦いくらいが本気だったし。
無理は一度もしなかった。みんなの様子を見て、疲れたって思ったら帰る。
レベルがどれくらい上がったら帰るじゃなくて、このレベルになるまで次の階層行かないくらいで・・・
あ、違うわ。満足するまで戦って、結果的にレベル上がったって感じなのか俺。
「恭輔は自分のやりたいことをやってる時が一番効率良く強くなるんよなぁ」
「うー」
「ホンマそれ。理不尽や」
「うーうー」
「戦いたい敵だけ選んどったし」
「マジか」
「マジや」
・・・そんなつもりはなかったんだけどなぁ・・・!!
「まぁそんなわけやから、一遍先の事気にせんで思いついたことやった方がええで?」
「うー!」
「ほれ、ニホリも言うとる」
「う?」
「もっといったれ」
「うーうー!!」
「・・・そうかぁ」
フミはそれが言いたかったのか・・・
「うちの事助ける為にー言うんわ・・・恭輔的には本当は考えたくもないことやろ?」
「当然だわ」
「やから、全体的に効率悪なる」
俺のここ最近の行動は、そこにある。
フミが死なないように、花を倒すこと。それが前提にあった。
フミは、俺の中にその考えが常にあるからダメなのだと言いたかったのか。
ああなるほど確かにそうだ。
フミが死ぬなんて、考えるだけでも嫌だ。
俺にとって、一番いい状況は誰の事も心配しなくていいことだ。
それを、フミ自身が忘れろと言うのだ。
ほかならぬ、フミ自身が。
「うちは、恭輔が好きにやってる方が好きやで?」
「・・・自分が死ぬかもしれないのに?」
「かまへんかまへん、やりたいことやってええ。その結果、うちが死んだら・・・そん時悲しんでくれればええわ」
「ああ・・・うん。わかった。だけど、忘れない。めっちゃ意識する」
「・・・はい?」
こいつは何聞いてたんだって顔してるなフミ。
まぁ当然だわな。だって今しがた気にするなって言って、俺も納得したわけだし。
だが、まず無理だ。
忘れられないし。めちゃくちゃ気にする。
土台無理な話なのだ。俺がフミの事を気にしないなんて。
だから、約束しよう。
「約束?」
「全部終わったら、本気で子供作ろう」
「ふぁ///!?!?」
「う」
フミが一気に赤くなって、ニホリが、あ、爆発したってぼそっと言った。
「考える未来が、楽しいことだったり嬉しいことだったらいいだろ?」
「そ、それはそうやけども・・・///」
「嬉しい未来が待ってるなら・・・頑張れるよ。
もしフミが死んだら・・・?
そんなこと、考えるのはもう止めた。
考えると弱くなる?だったら、それ以上に思えばいい。
絶対に勝つ。絶対に救う。
意地でも未来を変えてみせる。
俺は、フミとこの先も生き続ける。
未来の俺が救われないとか、どうでもいい。
細かいことは無しだ。
俺の目指す未来は・・・それだ。
『・・・お。決まったな』
『何が?』
『覚悟が。ようやく準備出来たか』
未来の地球で、恭輔とフィニちゃんが大きなコロちゃんに座りながら話している。
花との戦いを終えて未来に戻ってきたのだ。
そして、過去の恭輔が至ったことを悟った。
これで、後は時間を待つだけだ。
『はぁーそれにしてもようやくかぁ』
『だから何がー?』
『んー・・・俺はやりたいことしかやりたくない人間だったからなぁ』
未来の恭輔にとって、今やりたいことはフミの死という過去を変えること。
でもそれは、必ずしも過去の恭輔と共通する未来ではない。
なにせ、それが嫌だったから変えたいと願っているのだ。
過去の自分にとっては、それこそ考えたくもない未来。
それを考えるだけで、まともに戦えなくなるくらいには。
『『真化』は、気分で性能変わっからなぁ・・・マジで不便だったわ』
『今は違うの?』
『違うぞ。かるーくそのレベルは越えてるし』
過去の俺は、未来の恭輔からフミの死を聞かされた時点で弱くなった。
正確には、本気で戦うことをしなくなった。
元から暴走しないように、抑えめに戦っていた時期だ。
そこからさらに・・・無意識のうちにだが、本気を出せなくなった。
海中から襲ってきた根を迎撃する時もそうだ。
本来ならあの場面は、槍でも剣でもなんでもいいから魔法で生み出して自分の周りで操作して撃ち落とした方が良かった。
確かに切ることは有効だが・・・それ別に自分がやらなくていい。
多分魔法の操作に集中することで、戦闘に入り込むと暴走すると思ったのだろう。
まぁ間違いじゃない。
一回目の暴走は、悪魔の大群と戦っている時に起こった。
多くの敵を、同時に、広い範囲で戦ったから。
それをわかっていたのだろう。
だからこそ、剣を持って戦っていた。
『見てたけど、あれは酷かったなぁ』
『そんなに?十分強くなかった?』
『まぁお前らはそう思うだろうけど・・・コロあたりが見てたら酷評してたぞ』
『うぇー・・・あれ?本当は僕たちの援護要らなかった?』
『いや要らないことはないけど・・・まぁもっと戦うことは出来たな』
『教えてあげても良いじゃん』
『ダメなんだよ・・・これはフミに言ってもらわないと駄目だったんだよ』
『どうして?』
『・・・俺を本気にさせてくれるのは・・・いつだって家族だったからな。特にフミ』
『あー・・・わかるぅ』
『んだその反応』
『いや・・・好きな人の為にあんなことするなんてねぇ』
『愛してる証拠だよ』
『おもーい』
『ハッハッハ・・・別に、お前らが付き合う必要はないんだぞ?』
『お?恭輔やっぱり鈍いよね』
『おおん?』
『・・・僕らだって、恭輔が大好きだもん。だから、皆一緒だよ』
『ワン』
『ほら、コロちゃんも言ってるでしょ?』
『・・・そうか。ありがとな』
『るる!』
『お、終わったか・・・じゃあ、始めるか』
落とし物、全部拾いに行くか
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