459話
火曜日は休みじゃないので普通の平日と同じ投稿時間です
「ず、随分大人っぽくなるんだな恭輔・・・」
『まぁ100年生きてたらそら大人にもなるさ』
「まずその100年ってのがどういうことなんだか・・・」
親父と話す未来の俺は、何か楽しそうだ。
花との戦いで、自分達以外の生き物が全滅した・・・親父達も例外じゃないのだろう。
いや、そこじゃない。何か感動の場面かもしれないがそこじゃない。
「今ハクコちゃん達が戦ってるんだぞ!?」
『んあ?あのくらいなら時間稼ぎするだけなら問題ないよ』
「だからって!」
「ん?あのくらいって・・・なら未来の恭輔が倒せばええんとちゃうんか?」
「あれ?確かにそうですよね」
「え、皆驚かないのか?」
パニックだわ。親父が。
だが、まぁフミの言うことは間違ってない。
あの程度て言っていて、ここにこいつがいるのならこいつが倒せばいいんじゃないのか?
そもそもなんで俺が倒さないといけないんだ?
『んー・・・倒してもいいんだが、多分他のがまた来るぞ』
「は?」
『過去を変えるにあたっての特異点・・・過去を変えられるのはお前だけなんだよ』
「いやだから。俺ならお前だって出来るだろう」
『この時代に生きている俺って前提が必要だな。未来の俺がやっても意味がない』
「・・・なんでだ?」
『よく考えれば、当然だと思うんだけどな』
「・・・ああ、そういうことか」
「親父?」
親父が何かわかったようだ。
未来の俺と俺の話を聞いている間に、混乱も収まったようだ。
親父は何がわかったんだ?
「いや、例えばなんだが・・・実際に動くのは今の恭輔だろ?」
『・・・マジか、今のでわかるのか親父』
「あん?」
『一回落ち着いて考えてみな。あいつらが心配なのはわかっけど』
・・・落ち着いているつもりなんだがな。
実際に動くのは俺・・・この場合、未来を変える為に動くのは俺ってことになる。
だけど、実際には未来の俺も過去を変える為に行動してるわけだし。
俺以外にも、ハクコちゃんやフィニちゃんも戦っている。
だから、動いているのは俺だけじゃないんだ。
親父は何が言いたいんだ・・・?
「うーん・・・未来は変えられても、過去は変わんないだよ」
「・・・え、待って。じゃあ」
『マジで親父頭良いよな。ビックリだわ』
「・・・俺の時代でフミが死ななくても、お前には何の意味もない?」
『・・・まぁ・・・ないな。俺の時代には』
「並行世界ってやつだな」
今はまだ、俺のいる時代と未来の俺といる時代は地続きになっている。
これは、まだ未来が変わっていない・・・結果的に、フミが死ぬし、俺達以外の命が失われるからだ。
だが、この未来は変わったらどうなるか。
簡単だ。地続きだった時間が、分かたれる。違う道を歩んだ世界として、全く違う世界になる。
だから、今の時代で何をしようが、何を変えようが・・・いや、変えた瞬間に未来の俺はこの時代に干渉できなくなる。
そして、未来の時代は何一つ変わらないと言うことになる。
「じゃあなんで」
『そら意味ないとは言え、俺にとってフミはフミだし。俺は俺だ。嫌だって思った経験を、俺にしてほしくないのは当然だろ?』
「完全に自己満足じゃんか」
『そうだな。てか、ずっとそうだったぞ?』
「・・・うちは戻らんのに?」
『ああ』
「・・・それは」
俺が、自分の事とは言えそこまで自分にするか・・・?
何か隠してる。何かを気がついていない。
『教えないけどな』
「・・・心読むな」
『しゃーないだろ。俺なんだからわかっちゃうんだよ』
「俺は分からないけど?」
『そら俺はお前の上位互換だし』
「・・・ずるくね?」
『お前もいずれこうなるんだよ。あ、違うか。ならないな』
「ああ?」
『まぁ関係ないから気にすんな。今はあの花に集中すればいいんだよ』
「・・・」
完全に誤魔化されてるな。
「じゃあ聞きたいんですけど」
『おうなんだポヨネ』
「直接倒せないのはわかりました。じゃあ弱らせたりするのは出来るんじゃないですか?」
『ダメだな。俺が俺に干渉するのと、花に干渉するんじゃ反動の大きさが違っちまう』
「花に干渉するとどうなります?」
『あー・・・今の現状がハクコ達が俺に干渉した結果だから・・・大体10倍くらいひどくなる』
「・・・そこまでですか」
『俺の力と花の力を比較したら、それでも少なく見積もったけどな』
最悪反動で地球が一瞬で崩壊しかねないからなと、未来の俺は何てこともないように言う。
思い出すのは、俺が見た未来の光景。
命が何一つ感じることのできないあの空間。
あれが、この時代でも起きる・・・最悪、あれ以上。地球そのものがなくなりかねないってことか。
「じゃあ、あの花に関してはどうするつもりですか?」
『俺に干渉する。裏技使って、反動をゼロにする』
「裏技?」
『干渉の反動ってのは、あるべき未来に戻そうとする世界の力だ。それを無くせるんだよ』
「それを最初からしなかったのは?」
『そもそも出来るってしらなかったからな。あの子がいなきゃ、今も気がついてなかったよ』
「その場合どうしてました」
『どうもこうもないな。俺にアドバイスするだけして終わるつもりだったし』
「あん時俺を呼んだのはそれか」
『そうそう。まぁ予想外の事もあったけど』
「ロラちゃんだな」
「はい?」
「え?ロラちゃんですか?そちらのロラちゃんは何かあるので?」
『・・・まぁそうだな。こっちのというか、ここのと言うか』
「あの時来たのは俺の時代のロラちゃんだったな」
「・・・あん時抱えとったっけ?」
『そもそも呼んでないな』
「・・・ロラちゃんが何かした結果、貴方はそれに気がついたと」
『そういうこと。全く■■は、心配性と言うかなんというか』
「???今なんて言った?」
『ああ、やっぱり聞こえないのか』
名前が聞こえない・・・てか、認識できない?
でも聞いたことのある名前だ。
・・・ロラちゃんじゃない?ロラちゃんなら名前を認識できるし。そもそも未来の俺はロラって言っている。
誰だ?
『どうせ聞こえないからいいんだよ。それに、何かあの子以外にもこっち来てるみたいだし』
「はい?」
『いやな?俺の想定だと、この段階ではまだあの花とお前は戦いにはなるはずだったんだよ』
「・・・手も足も出てなかったけど?」
『そうそう。それな、多分俺達以外の誰かが過去に干渉してるぞ』
「は!?」
『俺もやる予定の裏技使ってるみたいだからそこまでの反動じゃないけどな』
「いやそういう問題じゃないだろ・・・」
こいつの言う通りなら、今の時代に干渉している未来の存在は4。
未来の俺。ハクコちゃん。フィニちゃん。そして誰か。
この誰かは、未来の俺でも誰かわかっていない・・・のか?
ともかく、何者かが干渉していることは間違いないらしい。
「誰やろ。ヨミやったり?」
『あいつはあいつで何かやってるみたいだけど。俺には干渉してないから問題ないな』
「問題だわ」
『本当にな・・・』
別の問題が発生してないかそれ。
『でもまぁ、ヨミじゃないな』
「そもそもそんな簡単に時間を超えられると思わないんですけど」
『条件さえ満たせば割と簡単だよ。特に神力持ちならな』
「じゃあ亀か龍・・・?」
『違うよ。俺が存在をちゃんと認識してた連中は皆違う』
「誰を覚えてないんだよ」
『それを覚えてないんだよ』
それもそうか。
『でも、違和感はあるんだよな』
「違和感?」
『ああ。誰かがいたはずなのを忘れてる・・・そこまでは出るんだ』
「それは・・・いい事では?」
『俺の言ってる裏技使うと、それも出てこなくなるんだよ』
「じゃあ方法が違う?」
『というか、予定外の要素が入ってきたって感じ・・・だと思う』
「そこは確信ないのか」
『裏技使うとな?地球と繋がってる俺だからこそ分からなくなるんだよ』
「そういうもんなんか」
『万能じゃないんだよこの知識』
何でも知っている地球の知識を見れるのが、俺の知識の流入。
だからこそ分からなくなる?どういうことだ?
『まぁ気にしなくていいよ。誰かはわかんないけど、どこにいるかはわかってるし』
「止めなくていいのか?」
『必要ないしな。どっちにしろ、俺の方が終われば全部終わるし。後・・・』
「後?」
『・・・いや、何でもないよ。ああ、そうだそうだ。コロちゃんに渡す物あるんだわ』
「ワフ?」
『そうそう。お前お前。本題をさっさと済まさなきゃな』
そう言うと、未来の俺の体の中から光が出てくる。
あの光は・・・俺の中にあった神力か?
『お、流石に分かるか。まぁ正確には、神力そのものじゃなくて神力を使うのを補助する才能だな』
「才能・・・」
『お前の中に合ったのを改良してな。他の子でも使えるようにしたんだ』
「うちじゃアカンのか?」
「そうですね。実力ってことを考えるのなら、お姉様の方がいいと思いますけど」
『未来のコロちゃんを基準に改造したから、コロちゃんが一番いいんだよ。ほれ、おいで』
「ワン」
・・・こうやってコロちゃんが警戒しないで近寄るのを見ると、俺は100年経っても変わんないのかと思う。
何かが変わってたら、恐らくコロちゃんは近寄ることはしないはずだ。
顔が俺と同じなら、なおさらな。
光が、コロちゃんの中に入っていく。
すると、体中を覆うように発光して、すぐに収まった。
『どうだ?違和感とかないか?』
「・・・ワン!」
『そうか。良かったよか・・・え、なんでもう使えるの』
「ワフ?」
「ガウ」
『・・・まぁヨシ!!』
「は?コロちゃん神力使えるの!?」
「ガウ!」
「ワン!」
黄色の煙がコロちゃんを包むと、コロちゃんの目が紅く光る。
た、確かに神力を使ってる。
まだ力や技として固まってないけど、確かに使っている。
練習してたの知ってるけど・・・マジか
『あれぇ・・・なんでこうなった?』
「も、元から才能あった・・・とか?」
『否定できねぇ・・・』
未来の俺も、俺も頭を抱える。
その姿を見てた皆の感想。
恭輔・・・全く変わらないんだね・・・だそうです。
・・・コロちゃん、相変わらずすごいなぁ




