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457話

総合評価が1万越えて・・・嬉しい!!!

いつもありがとうございます

視界が開け、初めに見た物は魔力が空間に影響を与えているのが見える空間だった。


「・・・漏れてんのか?」

「ガウ・・・」

「チュン」


いや、魔力が多くなりすぎて意識しなくても見えるようになっただけか。


普段の光景として、魔力が見える時はその時々で結構見え方が違う。

地面に残っている時は、引きずった跡や足跡みたいに見えたりする。

空中に見える時は、神力みたいに煙だったりする。


今は、魔力のせいで空間が歪んでいる。

歪んだ空間は、紫で染まっている。


「蜃気楼みたいなもんか」

「チュン?」

「砂漠とかである現象でな」


あれの魔力版かな。


だが、魔力がこんなにも濃く見えるのに問題の花が見当たらないのはなんでだ?

俺はちゃんといるであろう場所に跳べたはずだ。

なのにいない。だが、魔力はある。


実際、ハクコちゃんはずっと警戒している。

どこから来るかをずっとだ。だから間違いなくいる。

でも空を飛んでて見えないってことは・・・


「下・・・ッ」

「ガルルルルル!!」

「チ・・・チュン」


いた。そこにいた。

こいつは根本的には植物なはずだ。

そのはずなのに・・・今、目が合った。


「回避!!」

「ガウ!」


ハクコちゃんが黄煙鎧を一瞬で纏って離脱。

俺とフィニちゃんは炎に消える。

次の瞬間、俺達のいた空間に大質量の何かが通り過ぎていった。


姿の消えた俺達を狙わず、そのままハクコちゃんを追ってその大きな何か・・・蔓だ。

蔓はハクコちゃんを追いかける。

黄煙鎧を纏い、『昇華』が発動したハクコちゃんの速度はそのデカい質量では追いつけていない。

だが、振り切れてもいない。そのまま背後に付かれて追われている。


それも、すぐに捕まるだろう。

海面から、次々と蔓が飛んでくる。


「ハクコちゃんこっち!!」

「ガウ!!」

「チュン!!」


瞬間移動を一瞬だけ解除し、ハクコちゃんに近づいて再び移動を開始する。

蔓が当たる寸前に、炎に消えることが出来たので回避出来た。


急に姿が見えなくなったので、蔓が動きを止める。

・・・やはり、こいつ俺達を見ている。


「勘違いじゃなかったか」

「ウ・・・」


再び俺達が出てくると、蔓が向かってくると同時にビームまで飛んでくる。


「やっぱりこれもあるのか!?」


回避しないと・・・


「ガウ!」

「ハクコちゃん?」


黄色の神力の煙が、一瞬で俺達を覆う。

その煙は形を成し、俺達を覆う盾になる。


ビームが盾に防がれ、光が散る。


「・・・ガウ」

「いつのまにこんなものを」


盾は黄煙鎧と同じような装飾になっている。

それにこの盾・・・魔力を散らすことが出来るのか?ビームが当たって弾けるんじゃなくて、完全に散っている。

すげぇな。これを作ってたのか・・・


「チュン!」

「あ、すまん!」


見とれている場合ではなかった。

俺もこの隙に試さないといけない。


鉄槍を無数に生み出し、鋭く尖った木の枝を生やす。

盾の間を縫うように射出する。

複雑な軌道を描いてそれらは海中の花に向かう。

当たるまいと、蔓が振るわれるが、後ろから小さい的を動かすのならこれくらい回避できる。


槍と枝は見えている部分の一番上に突き刺さるが、特に変化は起きない。

花には。


「なっ・・・魔力が吸われた!?」

「チュン?」


槍に込めていた魔力が全部吸われた。

鉄槍の方は元が鉄と言うこともあり、魔力がなくなっても形を保ったままだ。

だが、木の枝の方がダメだ。完全に魔力を抜かれて、崩れるように消えた。


なるほど、自分に触れた物から魔力を吸収する。

何となく想像は付いていたが、この速度になるのか・・・

これは、俺以外は魔法で攻撃出来ないんじゃないか?


「ガウ!」

「ッ!?」

「チュン!」


ビームを防いでいたハクコちゃんから避けろと声が飛んでくる。

足元から、再び大きな蔓が向かってくる。

完全に相手に刺さった槍を見ていたから、反応が遅れたが、フィニちゃんが間一髪技を発動してくれた。


俺達は10メートルほど後ろに再出現する。

危なかった・・・


「ありがとうフィニちゃん」

「チューン」

「ガウ」

「すまん」


忘れてた。こいつは本体を見てるだけじゃな駄目なんだ。

足元・・・いや、この魔力だ。全方位を警戒しないと不味いかもしれん。


それに、ハクコちゃんの盾もビームは防げても質量攻撃は止められないようだ。

盾を押しのけて俺達に向かってきてたし。


「・・・ダメだな。デカいのを作る余裕がない」

「ガウ?」

「神力の攻撃?黄煙鎧で殴るくらいしか出来ないぞ」


それも海中に全身が沈んでいるからダメだろう。

外から勢いよく攻撃を飛ばさないと届かない。


一瞬だけ海中に移動して殴れば行けるか?それも効果がそこまであるとは思えないけど。


回避に専念すれば、神力が続く限りは問題ない。

だが手が出せない。これでは意味がない。多少なりとも攻撃しないと。


すぐ攻撃できる手段では規模が小さすぎて効果がない。

それも鉄槍は刺さったままだが、木の枝は完全になくなり、刺さっていた跡も残っていない。

魔力を吸収されるなら、うちの魔法組の魔法じゃダメだ。

下手したらパワーアップさせるだけだなこりゃ。


後もう一つ気になるのは・・・


魔力を右に、俺たち自身は左に移動する。

すると


「やっぱりか!!」

「ガウ!」


こちらに飛んできたビームは盾で散らされる。

そして、魔力を移動させた方にもビームが飛んできた。


やはりだ、こいつ魔力で俺達を感知してやがる。

俺が目が合ったと思ったのは、魔力で捉えらえたと感じたからだ。

それを勘違いして目があると思ったのか。


なるほど、こいつが俺たちが瞬間移動した後に一瞬だけ攻撃が止まるのはそう言うことか。


神力は感知出来ないのだろう。

だから神力を使っている技である瞬間移動をされると俺達を完全に見失う。

最初にハクコちゃんだけを迷いなく狙ったのは、ハクコちゃんの魔力があったから、俺達もそこにいると思ったのか。

だが急に俺達が出てきたもんだから、その後は一瞬だけ止まった。


つまり、俺は神力を使って攻撃しないといけないわけだ。

問題は、俺は防御手段は持っていたが攻撃手段は持っていないと言うこと。

これは俺だけじゃなくてみんなもだけど。


「だけど、これなら限界まで観察は出来るな」

「チュン?」

「いいんだよ。今はまだ」


今回は偵察のつもりだったのだ。倒す気はない。

そもそも倒せない。決定打と恐らく与えられない。


なら、もっと相手の攻撃を見て、相手の札を引き出さないと・・・?


「なんだ・・・魔力が増えた?」

「ガウ?」

「空間が歪んで・・・なぁ!?」


その時、空間が爆発した。


















「・・・大丈夫か?」

「ガウ・・・」

「チュン・・・」


びっくりしただけのようだな・・・

目の前が大きく歪んで、甲高い音が響いた。

次の瞬間、空間が爆発した。


直前でそれが来ることが分かったので、前方に壁を生成。ハクコちゃんの盾の前に出して衝撃を殺す。

次に来る強烈な魔力の奔流は盾で全部散らせた。

だが、最初の物理的な衝撃で大きく後ろに飛ばされた。


「ハハ。自分の魔力があるところなら何でもありかよ・・・それに・・・でけぇよ」


空間爆発は、俺達の視界を塞いだ。

だから、その瞬間を見ることは出来なかったが・・・なるほど、遂に本気だと。


海中に沈んでいたその存在が、その大きな体を外に出している。

ところどころ何かが蠢いている。

魔力が根から流れているのだろう、血管のようなものの中に魔力が流れている。

そして俺が槍を刺した場所は、蕾のようになっているのがわかる。


「あれが咲くのか」

「チュ・・・チュン」

「まだだ。まだ逃げない」

「ガウ」

「わかってるよ・・・あれはやばい」


姿を海上に表しただけで、感じる圧が増えた。

感じる魔力も増えてきたし、何より体から出ている蔓の数が異常だ。

一本に一本が俺達を全部足した大きさより太い。


そして、一気にそれがこちらに向かってくる。

今までとは比べ物にならない数だ。


蔓が動いたのをちゃんと見る前に、全員まとめて炎に消える。

その場から離脱して、回避しようと思った・・・だが


「・・・は?」


移動した先は、蔓で覆われていた。

いや違う。自分の周囲を全て蔓で埋めて、俺達が消えても逃がさない様にしたのか・・・?


まずい。瞬間移動は連続では出来ない。


蔓が光る。マズイ、ビームが飛んでくる。

空間が狭すぎてハクコちゃんも盾が出せない

一瞬で詰まされた。


驚愕・・・それ以外の感情を浮かべる暇もない。

蔓がビームを撃つのを、ただ見ているだけしかできない。


フィニちゃんが、ポケットの中に入り込んでいるのがわかる。

ハクコちゃんも、何も出来ないと判断したのか、何もしない。

そして俺も・・・まだだ、まだ終われない。


『硬質化』と『真化』の全開なら、死ぬことはないはずだ・・・!!


ハクコちゃんに覆いかぶさる。

可能な限り俺の周囲に壁を作って耐えられるようにする。

・・・恐らく、無駄なことだが。


魔力が完全に高まる。

痛みを覚悟して、目を閉じる。














・・・・・・・・・

だが、一向に何も来ない。


「・・・あれ?」

「ガウ?」


周囲が明るい。蔓で覆われていたから、日の光も遮られていたはずなのに。

蔓がないのだ。なくなっている・・・いや、全部切られている。


『あっっっっぶな!!!!!』

『間に合ってよかった』

「・・・ハクコちゃんにフィニちゃん?」

「ガウ?」

「チュン?」


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