453話
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「ダメだ、どこにもない・・・」
あの子の写真や痕跡、ありとあらゆる物がなくなっている。
まるで、元からいなかったかのように。
でも、俺達の記憶には確かにいるんだ。
うちに来て、初めて俺と触れ合ったあの子が。
母さんや親父に聞いても、あの子の写真とかは持っていないそうだった。
全部俺が管理していると思っていたらしい。それに、名前も覚えてないそうだ。
・・・やはり、何かが起きている。でも何が・・・なんでこんなことが・・・
「どうなってんだ本当に・・・!!」
「恭輔・・・」
「うー・・・」
連日俺が狂ったかの様に家をひっくり返すから、かなりみんなに心配を掛けている。
・・・わかってる。恐らくこれは今どうこうで出来るような問題じゃない。俺の知らないところで、もっと大きな何かが起きている。
未来の俺は、これを知っているのか?いや、そもそも覚えているのか?
「」(オー
「・・・ロラちゃん?」
「」(アソボ?
「・・・えい」
「」(???
ロラちゃんが、俺に遊んでーと来た。
正直、そんな気分ではない。
だけど、ロラちゃんを見るとなんとなく落ち着くようだ。
少なくとも、抱きしめるくらいには余裕が出来る。
まぁロラちゃんからしたら何?って感じだろうけど。
「・・・どこに行っちゃったんだろうなぁ」
「」(コテン?
「いやロラちゃんじゃなくて」
「」(ギュー
「・・・」
僕がいるからいいでしょ?ってことなのかな、これは。
・・・確かにそうかもしれない。
あの子がいたという事実は変わりないのだ。それは確かだ。
俺の記憶に残っている限りは、間違いなくいたのだ。
写真は見えなくなり、データは消えた。名前も思い出せない。
だけど、確かにいたのだ。
そして今は、ロラちゃんがいる。
俺の事を心配してくれる皆もいる。
・・・いつまでも、心配を掛けるわけにはいかないか。
「・・・よし。遊ぶか」
「」(ワー
「ああもうどうしてこうなってるのかしら!?」
「手動かして」
「動いているのだわ!?」
地球のどこか、いつもは白く、テーブル以外は何もない空間。
その空間が、今は灰色になっている。
それどころか、ところどころひび割れているようにも見える。
まるで、この空間が今にも崩れ去りそうだ。
原因は既にわかっている。
未来の大門恭輔が、厄災と呼んだあの花だ。
あの花が地球の奥底に根を張り。魔力をずっと吸い続けていることが原因だ。
地球の中枢部分に近いこの空間は、地球の状態に大きな影響を受ける。
だからこそ、地球の血ともいえる魔力を吸われている現状は、最悪の状況に近い。
今何とか女神と人型がこれ以上の吸収を止めようと踏ん張っているが・・・まるで歯が立たない。
一瞬たりとも止めることが出来ないのだ。
まるで、自分達より権限が上の存在を相手にしているかのような印象を、女神は受けている。
だがそれはあり得ないことだ。そんな存在が本当にいるのなら、自分はこうはなっていない。
「でも実際止められないのだわ!!」
「がんばる」
「がんばってるの!!」
人型は神力を持たないから、出来ることは女神のサポートのみに留まる。
故に、女神は実質一人であの花にあらがっていることになる。
そもそも、こうなる前に止められなかったのか。
出来る出来ないで言えば、可能ではあった。だが、気がついた時には既に遅かった。
厄災の花は、誰にも気がつかれないように芽吹き、少しづつ根を伸ばしていた。
女神が気がついた時には既に手遅れだったのだ。
気がついたのは、ヨミが魔力の吸収に気がついたのとタイミングが近い。
そして、今直接花と戦っている女神は確信していた。
この花こそ、自分達の運命を決める存在であると。
そういう存在がいることは、女神自身も分かっていた、だからこそ警戒していたのだが、その上手を行かれた。
それと同時に、疑問も覚えていた。
ここまで自分に気がつかれないで力を蓄えることの出来た存在が、何故今の自分で抵抗出来ているのかと。
これは人型も感じていることだが、この脅威なら一瞬で地球を干からびさせることも可能なのではないか・・・と。
それをしない理由・・・出来ない理由はなんだ。
・・・答えは、簡単だった。
女神や人型を超える・・・そして、花すら抑え込めるほどの何かが干渉しているのだ。
「未来の恭輔ちゃんやばくない?」
「知ってる」
「まぁ時間を自由に越えてくるあたりで察してはいたのだけれど?」
女神たちは、この状態を未来の恭輔が何かしてくれているからこその現状だと判断した。
それは、確かに的を得ている考えだろう。
少なくとも、現時点でこれに対抗できるような存在はいない。
恭輔が出会ったあの亀と龍が力を合わせればできなくはないだろうだが、元々得意な領域ではないだろう。自分以上に抵抗できるとは思えない。
で、あるのならば、自分すら殺し、かつてこの花を倒したであろう未来の恭輔なら・・・どうにか出来るのではないかと考えたのだ。
「はぁ・・・なんとか落ち着いたわ・・・後どれくらい耐えれるかしら」
「長くて1月」
「短くて来週までね・・・嫌になるのだわぁ」
何とか勢いを止められたようだ。空間に入っていた罅が戻っていく。
再現なく魔力を吸い続けるあの花・・・まだ開花はしていない。
だが、もし花が開いたら・・・どうなるか想像がつかない。
今以上に魔力を吸われるのか、それとも止まるのか。
あれが植物だと言うのなら、まぁ状況が良くなるとは思えないが。
「やっぱり直接あれをどうにかは出来ない?」
「無理。全部吸われた」
「うーん・・・本当にどうしようかしら」
魔力を用いた攻撃は、すべて吸われてしまったようだ。
唯一の攻撃手段は、魔力を使って生み出した物理攻撃・・・『土魔法』や『氷魔法』による物理攻撃。
または直接殴るなどの直接攻撃のみだ。問題は、近づくと自分の魔力も吸われてしまうことだが。
「恭輔ちゃんじゃないと無理かしらね」
「恐らく彼でも無理」
「・・・貴方が全力を出したら?」
「・・・分からない」
「そう。じゃあ無しね」
「・・・いいの?」
「あら?当然でしょう?絶対に倒せるのなら賭けてみるのも良いけれど、そうでないならダメよ」
命を捨てるようなことはさせないわ。
そう女神は強く言い切った。彼女にとって、人型は娘のような物だ。
自分が腹を痛めて産んだ子ではない・・・それでも、間違いなく女神の子なのだ。
それを理解しているから、人型も無茶はしない。
・・・出来ない無茶はしない。
それに、人型には人型の目的があった。それは、きっと話せば怒られる目的だ。
自分の友人の為に、すべてを捨てた初めての友達の為に行う恩返し。
「うん?どうしたの?」
「なんでもない」
「・・・そう」
まだ気が付けれていない。人型はそう判断した。
何か隠し事をしているのはバレているだろうが。
今は、それを問いただす暇もない。
再び、空間に罅が入る。再び花の魔力吸収が始まった。
「ああもうまたなの!?」
「頻度が上がっている」
「成長しているのね。本当にどこまで!!」
女神は、抵抗を始める。
恐らく、この花は恭輔が倒す敵であると思っている。
そしてそのために、未来の彼は過去に干渉してきたのだと。
それでどれほどの対価を払うことになっても・・・過去を変える為に、何でもすると決めたのだろう。
「だったらもう少しこっちに気を使って欲しいのだわ!」
「無茶言わない」
「わかってるの!!」
もう少しこっちを助けてもいいじゃない?と強く思う女神。
・・・だが、一つ勘違いをしている。
未来の恭輔は、この地球の魔力が吸われている現象に対して何もしていないのだ。
理由はあるが、少なくとも今この現状に落ち着いているのは未来の恭輔が原因ではない。
その事実に女神が気が付いた時・・・すべて終わっているだろう。
それが、大門恭輔の描く未来なのだから。




