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445話

終わりが見えてきて色々考えることがあります

次は・・・羽根の増えたバトちゃんとピッちゃんかな。

一緒に精霊ちゃん達もいるでしょ。


「って思ったらなにしてんの」

「ききー!」

「るる!」

「にゃ」

「ぐぅお」


二階のロフトにいた。

そこで持ってきていた毛布やクッションとかを散りばめて床を柔らかくしていた。


「ここで寝るのか?」

「きー!」

「るる~」

「珍しいな。バトちゃん木もあるのよ?」

「きーきー」

「ん?座る?」

「るる!」

「え?いやまだだけど・・・」

「るー!」

「うお何々」


ピッちゃんに背中を押されて、他の子を見て来いと言われた。

変なピッちゃんだ。


「・・・るーるー」

「き♪」



















その後もユニちゃん達庭組。すらっぴ達地下温泉組の様子を見た。

皆慣れない環境だからこそ、面白い物に見えて面白いんだろう。すらっぴとか広いお風呂でテンション上がってダッシュしてたしな。


夕飯もニホリが腕を振るい、楽しい時間となった。

これで明日は観光・・・流石にみんなは留守番だけど、今回はお休み・・・訓練も無しと言っている。

コロちゃんは不服そうだったけど。

ニホリも諏訪大社を楽しみにしているようだしな。フミも別の意味で楽しみらしいし。

何気に俺も行くのは久しぶりだしなぁ。まだキャラの書いてある絵馬とかあるんだろうか。


「あるんだろうなぁ」

『ああ、たくさんあったよ。よく覚えてる』

「お、未来俺ちーっす」

『慣れてきてんなぁ』


夜、二階にあるベランダから空を眺めていると未来の俺がやってきた。

最近女神が現れるのもわかってきたし、驚かなくなってきたな。

まぁ本当は駄目なのかもしれないけど。


『ダメじゃねぇけど、慣れるもんじゃないわな』

「まぁだよな。・・・お前もここには来たのか?」

『ああ、何回も来たよ・・・懐かしい。今日が初めてか』

「だな。雪ちゃんには感謝しないと」


夜の星空が、湖に反射して綺麗だ。

こんな景色を、未来の俺は何回も見ているそうだ。


東京じゃ見れない景色・・・だが、どことなく違うような気もする。


『うん。随分勘が良くなってるな』

「あ?」

『俺がお前くらいの時は、全然強くなかったからなぁ』

「え?弱かったのか?」

『ああ。17・・・だったな。それくらいだと、まだダンジョン潜ってたよ』

「いや俺も潜ってるし」

『そうじゃなくて、階層を更新してたんだよ』

「ああそういう」


紛らわしいな。

だが、今の時期も潜ってたとなると、神力云々の話は全然なかったのか。


『てか、暴走したのだってあの時が初めてだったよ』

「・・・フミの時か?」

『ああ・・・始めて自分を殺したくなったよ』


自分の手を見つめ・・・いや、睨みつけている。

今未来の俺の中には、激流のような感情が暴れているのだろう。

俺だって、フミを自分の手で殺してしまったらそうなると思う。


いや、その状況を考えただけで・・・


『そういえば、言ったことなかったな」

「何が?」

『俺が、フミを殺したのはちょうど俺が20の時だ』

「今から3年後?」

『ああ。まぁ今は俺たちの干渉でかなり早まってるけど』

「・・・いつ何が起きるか、わかってんのか?」

『大体はな・・・恐らく、今年中に起きるぞ』

「大体一月か・・・短いな」


出来ることは限られているが、時間はあればあるほどいい。

だがそれも一月か・・・


「・・・今の俺で、どうにかできるか?」

『さぁな。実際のところ、今のあれがどうなってるかは俺も知らないしな』

「あれってのは?」

『・・・まぁ大体想像は付いてるんだろうが、俺が暴走するきっかけになったやつだ』


それは、地球に巣食う病巣。

放置すれば、短い時間で地球そのものを食い荒らす怪物。


『俺は、あれを厄災の花って呼んでたよ』

「花・・・植物なのか」

『ああ・・・あいつのせいで・・・いや、違うか』

「ん?」

『・・・お前、未来の地球に来てどう思った?』

「どうって・・・随分寂しいなって」


あの地球は、文字通り何もないのだ。

ビルも家も、全部そこにあるのに、人の気配がしない。

いや、生きている生物がそこにいるって気配がなかった。


それはあの周辺にいたのは、未来の俺とコロちゃん。

他の子達がどこにいたのかってのはわからないけどな。


「それに、温かみっていうのか?それもなかったし」

『・・・本当に随分と俺とは違うな』

「そんなにか」

『俺だったらわかんなかっただろうよ・・・あの世界はな。俺達以外はもう何もいないんだ』

「・・・は?」

『・・・俺と厄災の花の戦いは、文字通り地球全土を巻き込んだ戦いになった』


お互いに、地球に干渉する力を持っていたためだ。

その力と力がぶつかり合い、環境が大きく変化してしまった。

結果・・・生物の住める環境ではなくなったのだ。


だが、そこまでしても、厄災の花を倒すことは出来なかった。

最後の手段として、未来の俺は地球との干渉を強めた・・・その結果、暴走した。


『花は倒せたけど・・・自分で自分を止められなくなった』

「・・・」

『あの暴走は、地球との干渉過多なせいってのは聞いたな?』

「あ、ああ」

『いくら俺に才能があっても、地球そのものを受け止められない・・・だから、自分の中に入りすぎた力を解消する為に暴れるんだ』

「だからか・・・」


俺の時も、フミと全力で戦っていたと聞いている。

それも、自分に溜まっていた力を発散するためだったということか。

そして、ヨミに拘束されたあの瞬間に、溜まっていた力を吐き出しきった。だから、正気に戻れた。

・・・正直、運が良かったと言えるな。


『その通りだ。俺の性質上、地球の力と相性が良すぎるんでな。無限に強くなれる・・・』

「その代わり、制御できない」

『今のお前じゃな。てか、俺も出来ないし』

「いや出来ないのかよ・・・待て、じゃあどうやって今回は倒せば!?」


未来の俺が・・・そこまでしないと勝てなかった相手に、今の俺が勝つ?

どうやってだ。地球の干渉という点に置いて、俺はそこまで詳しくない。これは使わないようにしているからだけど。


いや、神力を使える状態の俺ならなんとかできるか・・・?


『さぁ・・・正直わからん。俺は使えなかったしな』

「未来の俺は、終わった後に使えるようになったのか?」

『あの亀共に教わったんだよ。まぁあいつらも俺も、極端な話地球があれば生きられるからな。コロちゃん達も、俺の影響で使えるようになったし』

「うぇマジ?」

『マジマジ。まぁあれは暴走した結果の副産物なんだけど』

「へぇー」

『軽くね?』

「俺も実感わかないような力だからなぁ」


制御こそ出来ている物の、俺自身が持っているわけではないってのもあるかな。

・・・うん?


「なぁ」

『なんだ?』

「未来のハクコちゃん達は、なんで俺の神力を持っていったんだ?」

『・・・??・・・あー、暴走するきっかけというか、神力を無意識で使ってたんだよ』

「おうおう」

『魔力の代わりにしてたんだけど・・・それがだめでな』


地球との繋がりは、魔力より神力の方が繋がりやすいとのことだ。

そのせいで、暴走がしやすい状況になっていたそうだ。


『だから持ってったんだろ。神力がなきゃ、暴走しないと思って』

「なるほどそういうことか」


神力を持っていったことと、俺が暴走することが繋がらなかったのだが、それなら納得だ。


だが、ハクコちゃん達の行動は無駄だった。

俺の暴走の理由は、俺自身のもっと根本的な部分が原因だった。


「『真化』の方は?」

『あれが俺の成長を促進してたからな。言っちまうと、俺が弱いままならフミを俺が殺すこともないだろうさ』

「その代わり、花に全部殺されると」

『そういうことだ』


勝つのには地球の力を使わないといけない。

だが、それを今の俺がすると暴走して、未来の俺の二の舞になる。

使わないなら使わないで、結局は厄災の花のせいですべてが終わってしまう。


・・・なるほど、確かに詰んでるなこれ。

未来の俺が、どうあがいてもフミを殺してしまうと言ったのはこう言うことか。


だけど、未来の俺は何かしらの理由があって行動しているのだろう。

それはきっと、過去を変えられると言い切れる程の何かなのだろうが・・・何をする気だ。


てか、今日のこいつは何をしに来た?

ただ雑談しに来ただけ・・・ってのは考えにくい。


「・・・何しに来たんだお前」

『・・・何。最後に見ておきたくてな』

「最後・・・?」

『それに、あの子にも会いたかったし』

「うん?」

『はは。わかんなくていいよ・・・なぁ。フミは俺の事を許してくれるかな』

「・・・また変なことを」

『俺が殺した・・・理由はともかく、俺が』

「・・・さぁ。俺はフミじゃないし」

『・・・はは、だよな』


どこか、諦めたような顔で笑う未来の俺。

その顔は・・・何か嫌な予感がする顔だ。

自分の命を・・・あきらm


『ハイ駄目』

「ッ!?」

『・・・考えんな』

「・・・お前」

『いいんだよ・・・どうせ、こうするしかないんだ』

「・・・」


・・・やはりこいつ、死ぬ気か。

何がどうしてそうなるか・・・それで何が変わるのか・・・だけど、間違いなく、自分の命を捨てる気だ。


『あ、言っとくけどお前の為じゃないぞ』

「・・・じゃあなんでだ」

『俺の為だよ・・・俺は、終わりたいんだ・・・』

「・・・」

『ずっと探してたんだ。終わる方法を。でも、あの子のおかげで、マシな死に方を見つけたんだ』

「・・・死ぬのにマシもクソもあるか」

『あるんだよ。少なくとも、俺には』


吐き捨てるように言う俺の言葉も、未来の俺には全く届かない。

確実に、決定的に・・・未来の俺は、諦めたのだろう。

生きることを、フミのいない世界にいることを。


だが、そんな中で、一つだけ見つけた希望。

あの子と言っていたか・・・誰かはわからない。

その誰かが見つけたそれ。それが未来の俺の唯一の希望になっている。

そうでなければ、すべてを諦めた俺が過去に干渉するわけないだろう。


・・・止められない。止めるべきじゃない。

止めたところで・・・今の俺にも、未来の俺にも何一ついい事がない。


「・・・悲しいな」

『本当にな・・・どうようもない』


諦めたような未来の俺の顔を見て・・・恐らく、自分も同じような顔をしているのだろうと思った。

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