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442話

便利ヨミ

「んー?」

「・・・ワフ?」

「いや・・・コロちゃん。何か変わりました?」

「???」

「自覚なしと・・・うーん。何なんですかねこの違和感」

「あれ、来てたのかヨミ」

「どーもおはようございます恭輔さん」

「おはよ」


女神に宗吾を紹介すると言った次の日。

いつも通りに朝起きてくると、庭でコロちゃんの顔を撫でながら何やら呟いてるヨミがいた。

何してんだこんな朝早くに?


「何か用あったか?」

「あるから来てるんですよ・・・いやそれは後ででもいいんですけど、ちょっとコロちゃん見てください」

「ワン」

「はぁ」

「・・・何か感じません?」

「・・・?いや特に何も」

「そうですか・・・うーん気のせい?」

「ワン」

「ああ、ごめんなさい」


抱えられながら俺に見られていたコロちゃん。

ヨミから離れて俺の方に駆け寄ってくる。そして顔を脚にスリスリして・・・あー可愛い。


うんうん。コロちゃんはいつも通りに可愛い・・・うん?


「コロちゃん・・・何か重い?」

「ワフ?」

「重い?太ったんですか?」

「ガウ!」

「あいたー!?」


ヨミのしっぽに噛みつく為だけに高速移動したのかコロちゃん・・・


「いや重いってのはそういうことじゃなくて・・・いや多いのかこれ?」

「うん?」

「ワブ?」

「・・・とりあえず話してやったら?」

「・・・ワン」

「ヒェ」


この流れ久しぶりに見たな・・・


コロちゃんを撫でた時、確かにいつもと違う感じがした。

そりゃ毛並みはその日の天気とか色々な条件で細かく違ってくるけど、そう言うことじゃない。

触って気がついたが、コロちゃんだけを撫でてる感じがしなかったと言うか・・・

ふーちゃんとかを纏めて撫でた時の感じに似ていたのだ。

それを、感触が増えたのを重くなった、多いと例えたのだ。


「ふむふむなるほど?・・・手触りは変わんなくないです?」

「そらあんまり撫でないお前じゃわからんわな」

「・・・私の感じた違和感と同じ原因ですかね?」

「さぁて・・・最近ハクコちゃんと何かやってるのは知ってるけど」

「・・・ワン」(プイ

「はいはい聞かないよ・・・無茶は駄目だぞ」

「ワン」


あんまりそこは心配してないけど・・・何か変なことしてるんだよなぁ。

空いてる部屋に神力が出てるのは知ってるから、それ関連なんだけど。

まぁ俺にも今のところ何もないし。コロちゃんも大丈夫だと思いたい。

万が一があっても、ハクコちゃんと止めればそもそも何も出来ないだろうしな。あ、フィニちゃんも止めないとな。


「んで、ヨミは何しに来たのよ」

「あ、そうでした。この間の件なんですけど」

「あの魔力が吸われてるってやつか。何かわかったのか?」

「はい。最近吸収される量が増えてるんです」

「何?」

「自分で確かめたんで間違いないです」

「・・ちなみにどうやって?」

「え?穴に埋まって」

「シュールだ」


ヨミが地面に穴掘ってるってだけでも何か違うのに、その中に暫く入るのなんてもっと解釈違いなんだが。


「お前もうちょいおしとやかに出来ないのかよ・・・」

「面倒なんですもん」

「埋まるのはいいのか・・・」

「雪ちゃんも楽しそうに掘ってたんで」

「何させてんだ。てか何してんだ雪ちゃんも」


あの子元とは言え、病弱娘だよな?


「はぁ・・・まぁいいや。吸い取られてる量が増えてる以外にはないのか?」

「今のところは。ただ、このことから恐らくこの現象は生き物が起こしている現象です」

「何でそう言い切れる?」

「増え方がおかしいんですよ。何かのスキルだったらもっと段階的に増えていくはずです」

「なるほど。本当に徐々に増えていってるからってことか」

「ええ。これだけ魔力を吸い取っておいて全く反応ないのは気になりますけど」

「うん?反応?」

「そりゃ。魔力を吸ってるんですから、その対象には魔力が溜まっているはずでしょ?」

「まぁだな」

「だったら、どこかに魔力の塊があるはずなんです」

「あー。確かに・・・それがないと」

「ええ。どこにも。そら地球全体を探したわけじゃないですからあれですけど」

「・・・この間、ちょっと外でデカいのに会ってるんだけど、それは感じれたか?」

「はい?何かいたんですか?」


ヨミは神力を感じ取れない・・・そして、亀や龍からは魔力を感じなかったということか。

もちろん、あいつらがその辺の偽装が得意だって言うんならわからなくても仕方ないけど。


てか、そもそもあいつらが魔力を集める意味はないのか。

神力があれば大抵の事はどうにかできるし。大量に力が必要だったとしても、個人で持っている量がすさまじいから問題ないだろう。


となると、奴ら以外にも何かが外にいるってことだ。

まぁこれは想定内・・・問題は。


「このペースで吸収量が上がるとどうなる?」

「・・・考えたくないですけど、魔力が無くなったて・・・」

「なくなって?」

「・・・地球全体を侵食し始めるかと」

「相手は寄生型精霊か」

「多分ですけど・・・そもそも、それ以外に魔力を吸い取るようなの知りませんし」

「俺もそうだよ。一回女神に聞いてみるか」

「気がついてるんですあの人」

「流石に気がついてると思うけど・・・俺に教えないのには訳がありそうだな」


冗談で神ってわけじゃないだろうし、地球規模で起きている現象だから気がついて・・・るよな?

俺の事に構ってばっかりで気がついてないとかないよな?


「あ、でもまだ微量と言えば微量なので気がつかないかも」

「はぁ?」

「えっとですね。地球自体が魔力を生み出しているのは知ってますよね」

「それは当然」


そもそも生み出す量と使う量のバランスが取れてないからダンジョン出来たわけだし。


「今の吸い取ってる量って、多分全然生み出されている量より少ないんですよ」

「その心は?」

「私の魔力が空にならないんで」


ヨミの生み出す魔力の量と、地球の生み出している魔力の量では後者に軍配が上がる。

なのにも関わらず、埋まっていたヨミの魔力を空に出来ない程度の吸収速度。

この程度なら、問題にならないだろうという判断だろう。

確かに納得のいく話だ。それなら確かに問題はなさそうだし、気がついてなくてもおかしくない。

消費が少し増えたからしら?くらいにしか思ってなさそうだ。


いや、万が一があるから聞くけどな。

何かあるってことは、俺とフミにとって大事なことかもしれないし。

何か起きて、こちらの展開が遅れるようなことがあれば、未来の俺の二の舞になってしまうかもしれない。

それだけは避けなければ。


ヨミの用件は、その話を俺に伝えることだったようだ。

念のために、頭の片隅に置いておいてくださいと言うことだろう。


そのまま家に上がって朝食を食べていくってのが目的ではないはずだ・・・多分。






















「はぁー・・・やっぱり朝は納豆とみそ汁が・・・」

「きき~」

「あら?バトちゃんどうしました?」

「き」

「相談?いいですけど。恭輔さんに秘密ですか?」

「き!」

「はいはい・・・最近多いですね」


最近になって、ニホリちゃん経由で私に恭輔さんの家の子達が相談を持ち掛けてくることが多い。

持ちかけられ始めたのは、ここ1月くらいだ。

だけど面白いことに、相談内容が皆同じなのだ。


自分が今以上に強くなるにはどうしたらいいか。


・・・これを、恭輔さんではなく私に聞くのは少しわからない。

まずだ、いくら私がポヨネより強い『鑑定』を持っているとしても、常日頃からみんなを見ている恭輔さんほど効果的なアドバイスを送れるとは思えない。

私が出来るのは、皆を『鑑定』して能力の伸ばし方をアドバイスすこと。

幸い、スキルの知識などは恭輔さんより詳しいだろうから、そのあたりではいいアドバイスが出来ると思うが。


まぁ結論から言って、最初に私じゃなくて恭輔さんじゃね?ってことだ。

何より恭輔さんに秘密って・・・これがまたわからない。

強くなるんだったら、猶更教えた方がいいと思うのだが。


お姉様と恭輔さんの変化から、あの2人に何かあるのはわかっているのだが・・・まぁ今はいいか。


「それで、内容は強くなる方法と?」

「き」(ブンブン

「あれ?違うんですか?」


おや?どうにも毛色が違ったようだ。

バトちゃんは、一度私から離れて、部屋の隅からある物を持ってくる。

スキルスクロールだ。しかも『悪魔化』

まだ使ってなかったのこれ?便利だと思うのになぁ


「それで、これの相談と?」

「き!」

「ふむふむ。これの何を聞きたいんですか?」


『妖怪化』と同じようなものだ。使えば強くなる。単純なスキル。

確かに種族がマルマル変わるから、その面では苦労するかもしれないが・・・


「って、もしかしてそこですか?」

「き~」

「あー」


なるほど、それは私に聞くし恭輔さんに言えないわけだ。

バトちゃん自体は、『悪魔化』は使ってもいいと思っている。

だが、恭輔さんが嫌がっている・・・ああいや、口に出してそう言ったわけではないようだが。


恐らく、『悪魔化』で何になるのかを警戒しているのだろう。

ふーちゃんの時は、何になるのか想像がついていたし、間違いなくそれになるという確信もあったのだろう。

だから使った・・・それでもかなり悩んだとか聞いたが。


確かにこの『悪魔化』は、『妖怪化』に比べると差異が大きくなる傾向にある。

元となる種族が大きく影響するスキルだしね。

それに・・・悪魔になるってのが問題だ。


悪魔・・・ダンジョンの中にも悪魔は出てくる。

奴らは魔法を主体とするモンスターで、非常に強い。

問題は、その獰猛さ。同種ですらお構いなしに攻撃してくる残酷さもある。

悪魔になると、それをどんな悪魔になろうと無条件で手に入れる可能性が高い。

恭輔さんが警戒しているのはそれだろう。

例の知識の流入から得たか、自分で考えたかは知らないが。


・・・まぁ色々考えたが、これは私が言うことはないな。


「恭輔さーん」

「おう」

「きき!?」

「ここに手癖・・・口癖の悪いコウモリちゃんがいるので話し合った方がいいですよー」

「は?」

「きー!!」

「それー」

「きゅぱ!?」

「おうバトちゃん!?」


折角ですから、水入らずで話してください。

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