441話
短め。
そして歯に詰め物入れたばかりなのでいつ痛みが来るか戦々恐々としておりますはい。
「そ、それはどんな子なのかしら?」
「気になるんかい」
「んー・・・まぁいいやつだな」
笹原宗吾。俺の友達。
んでまぁ・・・いいやつ。
「恭輔もそれしかないんか・・・」
「いやなぁ。あれを紹介するのにそれ以外に表現方法がないって言うか・・・」
そもそも昔の俺に対して普通に接してるって時点ですごいいい奴なの確定というか。
「ああ、アウトドアが趣味だわ」
「良い趣味なのだわ!」
「肯定ボットになっとるな」
「う?」
「あ、紅茶頂戴」
「あとは・・・器の大きさはぴか一だな」
「それ同じこと言うとる・・・」
「うーうー」
ニホリがうーうーしか言わないのを見ても何かしら察してちょっと遠慮してたけど数分で慣れてたしな。
そういう適応力は俺よりあるんじゃないかあいつ。
やろうと思えば何でもできるタイプ。俺とは違うタイプの天才型と言うか。
あれだ、常に『真化』の学習能力だけを持ってる感じ。
まぁ気になった物に対してじゃないと全くやる気出さないから普段は目立たないけど。
「そういえば、冒険者になりたがってたなあいつら」
「あいつら?他の友達もそうなん?」
「ああ。宗吾ともう一人のやつとめっちゃ仲良くてな」
あっちは確か・・・いや。あれはいいか。今は宗吾の話だし。
「ちなみに女神の結婚条件は?」
「えー!・・・や、優しい人が良いのだわ///」
「それだけなん?」
「だって・・・やりたいことも欲しい物も自分でどうにかなるし」
「あー」
「それがあったな」
この女神の結婚相手って考えると、それかなり難易度高いのでは・・・?
いや、それでも宗吾ならワンチャン?
懐の広さって部分の一点突破で何か行けそうな気がするわ。
あ、そうわ。あいつに女の好みを聞いてみよう。
「・・・あ、もしもし宗吾?俺俺」
『携帯からかけたんじゃオレオレ詐欺は出来ないぞ』
「そんなことはどうでもいいんだけど、お前どんな女が好みか言ってくれない?」
『え?何久しぶりに電話掛けられて聞かれてるの俺』
「はよ言いなさい」
『えぇ・・・おっぱいの大きい人?』
「OKアザッス」
『うい』
「・・・胸の大きい人がいいって」
「今の本当に聞いとったんか!?」
聞いてましたけど。
うんうん。女神の見た目なら好みは大丈夫そうだし。今度呼ぶか。
「結婚・・・結婚・・・うふふ」
「・・・」
「どうしましょうかしら。男の人と会うなんてどれだけ振り・・・あ、恭輔ちゃんは男の子だったのだわ」
地球のどこかにある白い空間。
そこで、椅子に座りながら色々考えている女神。それを見ている人型。
女神はまさかこんなタイミングで来るとは思ってもなかった出会い話にテンションが上がっている。
人型の視線に全く気がつかないくらいには上がっている。
「ふ、服とか変えた方がいいのかしら・・・露出多いって言われたし・・・」
「・・・楽しみ?」
「ふぇ?・・・あ、人型ちゃん。ええ。ええ、楽しみなのだわ」
「そう」
「でも。まだ現を抜かすって時じゃないから、会わないのだけれどね」
「??何故?」
「だって、恭輔ちゃんの未来を変えないと、私も死んじゃうしね。出来ることはやりきらないと」
「・・・貴方は」
「うん?」
「貴方も、未来を見たい?」
「・・・うん。そうね。見たいわ。でもね・・・私より、あの子達を優先したいの」
「何故」
「うーん・・・元をただせば、私がきっかけとも言えるって言うのもあるけど・・・」
「・・・」
「あの子達なら、私がいなくてもなんとかしてくれる・・・そんな気がするの」
「・・・死ぬ気?」
「全然!これっぽっちも死ぬ気はないのだわ!万が一ってことよ。どちらかの命を選ばないといけないなら、自分のを捨てるってだけなのだわ」
「・・・」
人型は、その思考が良く理解できた。出来てしまった。
この女神も、恭輔やフミと変わらないのだ。
誰かの為に、大切な人の未来の為に。自分自身すら捨てる覚悟でいる。
それは、彼らにとって何一つ苦にならない行動なのだろう。
そしてそれは。人型も・・・■■■もそうだ。
そうでなければ、彼女はここにいない。
人型も、未来の話は聞いている。
未来では、ニホリが動かなくなっているそうだ。そして、女神がいないのなら自分もいないのだろう。
ニホリが動かなくなる・・・つまりはお菓子がなくなる。
それだけではない。自分を友達を言ってくれたあの子に、二度と会えなくなる。
そして、■■■の戦う理由は・・・
「人型ちゃん?」
「!?・・・何?」
「どうしたの?何か考えてたようだけど・・・」
「・・・なんでもない」
今はまだ、言うわけにはいかない。
彼女の使い方は決まっているのだ。彼女自身が決めた、命の使い方がある。
自分の役目は・・・彼女をその場に連れていくこと。
それが例え、どれほどの痛みを伴おうとも。
「・・・ガウ」
「ワフ」
コロちゃんとハクコちゃんが空き部屋で籠っている。
部屋の中は、黄色い煙が充満している。
その中で、本来なら神力を感じることも出来ないコロちゃんに・・・変化が起き始めた。
瞳の色が、紅く光る。
「ガウ!!」
「・・・」(フルフル
だがその光はすぐに消えてしまう。
ハクコちゃんは成功だと喜ぶが・・・まだ足りていない。
ずっと一緒にいる恭輔の事は、大体わかる。
自分を撫でる手付きや匂い。感じる体温から、彼の調子は把握できる。
今の恭輔は・・・今までで一番調子がいい。
さらに、恭輔自身が今までを超える速度で強くなっている。
感じることも出来ない力・・・神力とか言うあれを使うようになってから、何段階も飛ばして強くなっている。
特に、フミに何かを話して以来はその傾向が顕著だ。
だから、その恭輔に並ぶためにはこれでは足りない。
何やら急いでいるようだし。時間がない・・・いや、いつその時が来るのかわからないのだろう。
恐らくは・・・フミに関することで、何かあるのだろう。
恭輔が、自分の事を好きなのはわかっている。
そもそも自分が小さいころより一緒にいたわけだし。
まぁ人間の恭輔が、狼の自分にべったりというのはどうなんだと思わんでもなかったが。
それが、フミが来てから変わった。いい方向に。
それでもやっぱり自分に抱き着いてくるのは・・・まぁ悪い気はしない。
そして今、その恭輔がフミを一番に考えて行動している。
ならば自分は何をするべきか。今での自分も、恭輔基準で動いていたという自覚はある。
飼い主で、兄弟のようなものだ。
ならば、その兄弟の未来の為に、自分が何が出来るか・・・どうすれば、自分達は強くなれるか。
答えは出ている。
狼は、群れるものだ。その群れは・・・別に同種で群れる必要はない。
自分はそれを・・・家族から教わった。
「・・・ワン」
「ガウ」
再び、ハクコちゃんに煙を頼む。
黄色に包まれると再びコロちゃんの瞳が紅く光る。
・・・当の本虎は気がついていない。
コロちゃんの瞳が紅くなっている時・・・自分の目も紅く光っていることを。
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