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439話

やっぱりシリアスするより遊んでる方が書きやすい

「こうやって見ると、異常にデッカイわな」

「うー!」


ニホリがぴょんぴょん跳んで喜んどるわ。

正直うちも興味のままに見ていたいんやけど・・・そんな余裕はないわな。


あの亀の時もそうやった、格が違いすぎて体が強張る。


自分がこの地球上でほぼ敵なしなのはわかっている。

戦いにすらならず、殆どの存在は問題にならない。


だが、この神力持ちは違う。

自分は強いが、それでも最強だとは思ったことはない。

それでも・・・こんなのがいるのかと、正直驚いた。

そして、ハクコちゃんとフィニちゃんも恐らくこの領域にまで行くのだろうと思うと・・・嫉妬するわ。


うちは、恐らくここまでにはなれない。

恭輔みたいに鍛えたり努力したらもう少し実力は伸びるだろうが、彼らに比べたら微々たるものだろう。

神力を持っておらず、他から借りなければいけないという欠点はあるが、恭輔も神力を使えるようになった。

『真化』込みでも、そうそう負けることはないと思っていたが・・・今はどうなんやろ。


元々恭輔は底が知れんとは思っていた。

だからこそ、最初は怖かったわけやし。

それが最近、より顕著になってきている。どこまで強く・・・いや、出来るようになるのか。


それに・・・うちは付いていけなくなる。

まだ他の子達の方が可能性があるだろう。


恐らくその差が、今も出ている。

うちは下手に実力差がわかってしまうから体が強張る。

他の子は?実力差がわからないわけではないのだろうが、緊張はしていない。

恭輔が一切緊張していないのが伝わっているからなのか、それとも・・・本能的に彼らに届くとわかっているからなのか。


・・・それが、とても羨ましい。


















「たでーまー」

「うー!」

「めっちゃ高かったわ」


頭の上に乗ってて、かなりの速度だったのに全く風を感じなかった。

あれも神力の何かなのだろうか。

だとしたら非常に気の利いた技なのでシュルちゃんに覚えてもらいたいんだけど。

あれ、似たようなことは出来るんだっけ?


それにしても、なんであんな遠くまで跳んでしまったのだろうか。

俺の感覚では龍の頭の横くらいに跳ぶ気だったのに、そのはるか上にまで行ってしまった。


なんでだろうか?

あんまり知らない奴の神力だからか?

ハクコちゃん達のは無意識のうちに日常的に体で感じてるだろうし、コントロールしやすかったからとか。


または、神力の性質かな。

水っぽいと言うか・・・なんというか。


『うんうん。ちょっと想定外の力もあったけど。いいんじゃない?』

「何が?」

『いやだなぁ。元々、君の未来を変えるって話でしょ?』

「ああー」


自分が出来ることが少なくてなぁ・・・

正直龍のインパクトで忘れてた。


『周りの子も問題なさそうだしね~』

「・・・うちも?」

『・・・貴方は戦っちゃダメなんじゃない?』

「それは」

『うん。だって、そういうつもりなんじゃないの?』

「恭輔?」

「・・・まぁ俺だけでも問題なさそうなら」


そもそも、問題が発生して、俺一人でも問題ないと判断した場合は誰も連れてく気はない。

俺1人でケリをつける気ではいる。

それならば万が一は起きないし・・・気を付けるのは俺の暴走だけだ。


「恭輔それは!!」

『・・・頼らないってわけじゃない?』

「それはない」

「へ?」

「だって、そのせいで失敗しそうだし」

『わかってるならいいかなー』


恐らく、未来の俺の最大の失敗はそこだろう。

自分1人でどうにかしようとした結果・・・暴走した。


あれは俺が集中しないと起きない現象だ。

もちろん根本的に実力が足りなくてどうにもならなかったとかは確かにあるが・・・なんとなく、これは違う気がする。


コロちゃんやみんながいればできることを、自分だけで解決しようとした。

今の俺がそうなのだ。可能なら、俺だけで問題を終わらせたいところだ。

だけど、それで何もかも失ったら意味がない。

未来の俺は、フミを殺したが・・・今の俺は、フミだけで済むのかどうか。

すでに過去は随分と変わっているのだろう。その分の反動で、フミだけという結果が変わる可能性は否定できない。もちろん悪い方にもいい方にも。


「だったら、マジで無理ってなったらすぐ言うよ」

「・・・ほんまやな?」

「ほんまほんま」

「・・・ならええわ」

『まぁ・・・色々彼も考えてるみたいだし。大丈夫なんじゃない?』

「未来の俺か?」

『そそ。そもそもそれ自体も未来の君が』

『まだ言うんじゃないよあほトカゲ』

「・・・おやおや」

「なぁ!?」

『あちゃー』


俺はこのタイミング来るかと

龍はあらま聞かれてたかーと言った感じの反応。手があれば頭に当ててただろう。

フミは・・・今の俺とのあまりの違いに驚いている。


俺から見たら、あの俺はある種いつか辿り着く領域で、届いてしまうかもしれないって感じの俺だ。

だけどフミからしたら・・・


『・・・はぁ。出来るなら、会いたくはなかったなぁ』

「・・・なぁ」

『・・・なんだ』

「後悔はないんか?」

『・・・後悔ばっかりだったよ。今も昔も』


フミからしたら、あの俺は辿り着いたんじゃない。

辿り着いてしまった・・・辿り着かせてしまった俺だ。


自分が死んだから。自分がいなくなったからこそなった大門恭輔。

それはとても残酷で・・・あまりにも悲劇的な存在だ。


『まぁ今は色々あって後悔は・・・あるけどマシになってるけどな』

「お、いい事あった?」

『ああ。おかげさまでな・・・大切な家族が、ずっと頑張ってくれているのを知れたしな』

「はい?」

『なんでもないよ・・・ニホリってこんなに小さかったか?』

「う?」

『いや、俺の記憶だともっと大きかったような・・・』

「ニホリが大きくなるのを母さんが許可したの!?」

「うっそやろ!?」

「う!?」

『いやそんな驚くこと・・・だわ。めっちゃ驚くわ俺も』


あれ、うちの母さん変わらなすぎ・・・?と、顎に手を当ててニホリを見つめる未来の俺。


未来のニホリは・・・フミが死んでから動かなくなったそうだ。

だから、未来の俺にとって、動いているニホリを見るのはとても久しぶりなはずだ。

その思いは、考えるだけで胸が締め付けられる。

もし、ニホリが何かが原因動かなくなったら・・・


『・・・違うな。どこにいるんだ?』

「・・・う?」

『いや・・・なんでもない。ちょっと予想と違ったくらいで』

「う?」

『いやサイズ』

「う!!」

『いって』


ニホリにその話はNGでーす。


おもいっきし脛を蹴り飛ばされたのに反応が薄いわ。

常時『硬質化』でもしてんのか俺は。


「てか、なんで来たの?」

『あ。そうだった。おい龍。何喋ってんだ』

『ええーどうせバレるからいいじゃんかー』

『そういう問題じゃないわ。俺にも色々考えがあるんですよ?』

『隠すようなことでもなくなーい?』

『いや俺の関与を隠したかったんだけど?』

『僕たちを育てたのは君なのに?』

『そらそうだけど・・・ほら、言わなきゃバレないっしょ』

「・・・あれやな。恭輔て基本恭輔のまんまなんやな」

「うー」

「どういうことだわれぇ」


いや普通に気がついてたわ。


「てか、亀は普通に教えてくれたぞ」

『・・・え、マジ?』

『あれ?知らなかったの?』

『いや聞いてな・・・うそー・・・』

「・・・いや、ホンマに変わらんな」

「うー」

「ですね」

「どういうところが?」

「「自分の事に関して時々ポンコツなところ?」」

「うーうー」


ここまでではないと思うんですよ。





















現代の恭輔達は、あの後すぐに帰っていった。

その様子を、龍と未来の恭輔は見送った。


・・・未来の恭輔がここに来たのは、別に龍に注意するのが目的ではない。


『それで?何しに来たの?』


龍の声は、先ほどより鋭い。敵意を持っているのかと思われるような声だ。


『何・・・ちょっと探し物をな』

『探し物?』

『ああ。結局当てが外れたけど』

『・・・あの人形の子が関係しているんだね』

『まぁな。他にも探してるのはあるんだけど』

『ふーん・・・その探し物が見つかれば、君はやり方を変える?』

『変えないよ。探すのは・・・見つけてやらないと、俺はフミに顔向けできなくなるよ』

『・・・ハァ。だから嫌いなんだよお前は』

『ハッハッハ。そんなに死んでほしくないか』

『普通、死にたがりを好きになるってないと思うけど?』

『違いない。でも、別に死ぬわけじゃないんだけど』

『一緒だよ。どうしたって、君は消える』

『だろうな。そういう風にしたわけだし』

『狂ってるよ、自分の為に自分を消すなんて』

『だから消えるでも死ぬでもないんだけど?』

『一緒だって言ってんだよ』


徐々に、龍の言葉つかいが悪くなってくる。

それだけ、龍に取って未来の恭輔が取る手段が気にくわないのだろう。


『今の君は知らないんだろう?』

『言ってないよ。言ったら多分止めるだろうし。フミが変な事しかねない』

『・・・そんなに、生きてる意味はないか』

『ない。今ままでだって、惰性で生きてたようなもんだ。でも・・・』

『でも・・・?』

『・・・いや、なんでもないよ』

『・・・?』



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